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リビングは静かなままだった。
涼ちゃんはカーペットの上で横になっている。
さっきよりも体を丸めて、
ほとんど動かない。
若井はしばらく立ったままその様子を見ていた。
それから小さく息を吐いて、
キッチンの方へ戻る。
シンクに置いてあったスプーンを洗う。
お粥の容器も片付ける。
水の音だけが静かに流れる。
若井は無言で片付けを終えると、
蛇口を止めた。
ふと、リビングを見る。
涼ちゃんはさっきと同じ姿勢のまま。
若井はゆっくり近づく。
「……」
顔を少し覗き込む。
目は閉じている。
呼吸もゆっくり。
どうやら 完全に寝てしまっていた。
さっきまで起きていたのが嘘みたいに、
静かな寝顔だった。
若井は少しだけ視線を落とす。
それから部屋の隅にあった 毛布 を手に取る。
そっと広げて、
涼ちゃんの上に ふわっとかけた。
起こさないように。
ゆっくり。
毛布を肩まで整える。
「……」
少しだけそのまま立って、
寝ている涼ちゃんを見る。
金髪が毛布の上に少し落ちている。
弱っている顔。
若井は何も言わない。
ただ一瞬だけ視線を落として、
小さく息を吐く。
それから静かに玄関へ向かう。
靴を履く。
ドアノブに手をかける。
振り返ることはしなかった。
カチャ。
ドアが静かに閉まる。
部屋の中には、
毛布に包まれて眠る 涼ちゃんだけ が残った。
RanJam
#病み