赫 × 水 。確率
自習の時間。二限で書ききれなかった板書を写しながら水は窓を見つめた。
窓の外から見えるのは、運動場でリレーの練習をしている一年生だ。
もう時期体育祭が始まるから、それの練習だろう。
自由に 、風みたいに走っている一年生を見ながら 小さい頃の記憶を思い出す。
……あれは 、いつだったかなぁ 。
「もう 、橙ちゃんと友だちや ~ めるっ!!!」
小さい頃 、きっかけは覚えてない。たぶん 、たいしたことじゃなかったと思うけど。水が大好きだった友達と喧嘩しちゃって 、1人拗ねてたとき 。
わざわざ赫くんが探しに来てくれて……。
「水 、これ!!!」
って 、いきなり差し出された 、泥まみれの手 。握られてるのは 、雨に濡れたクローバー 。
「四つ葉のクローバーの出現確率は 、およそ一万分の一 。いっぽう 、全人類の中で水と橙が出会える確率は七十二億分の一 。」
淡々と 、でも芯の強い声が 、雨の中響く 。
「水たちが友達になったのは 、 クローバーが四つ葉になるより 、ずっとずっと……奇跡的な確率だったんだよ 。 」
当時の水には 、難しくてよくわかんなかったけど 。
赫くんが 、小雨の中すごくがんばって 、一万分の一しかないクローバーを探してくれた 。
水はそれが何よりも嬉しくて 、胸が 、熱くなって、苦しくなって 。
すぐさま橙ちゃんと仲なおりしに行った私に 、いっつもほとんど表情の変わらないクールな赫くんが見せてくれた 、……おひさまみたいな笑顔 。あったかい瞳 。
その笑顔に 、水は、初めての恋をしたんだ 。
コメント
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おぉぉぉ!!! ひさびさ?のほのちのノベル!! 表現が好きすぎて惚れた(( てぇてぇぇぇ!!!!
赫水は尊いってはっきりわかる