テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ねむ
851
橘靖竜
ハァハァと言う息遣いが、フロアに反響するボスオークの血を吸い、攻撃され、また血を吸うを繰り返してどれぐらい経っただろうか
ボスであるオークは既に生き絶え、その骸は
血液が無くなりミイラの様に干からびている
骸に跨り荒い呼吸を繰り返しながら心臓の昂りを押さえ込む私。徐々に呼吸が正常に戻り心臓の音も戻っていく。
「ハァ…ハァ…おっ終わった…」
私の粘り勝ちだったが危なかった。
レベル47になってもボスは危険だった、
スキル吸血が無かったら死んでただろう。
「体力も回復したし魔石抜いて、戦利品集めて早く出よ…」
私は干からびたボスの死体から魔石を抜き取りドロップ品だと思われる黒の羽織りを手に取り次の階層へ歩いていく。
次の階層には転移ゲートが設置されていて直ぐにダンジョンを出る事が出来るはずだが、
私は体感1ヶ月ぐらいは此処に居たと思う。
行方不明者扱いされてるかも知れない。
騒ぎになったらめんどくさいな…
「どうしよかっなぁ…でも早く帰りたいな」
私は事件になってない事を信じて階段を降りていく。11階層の入り口を出ると周りが砂漠に囲まれた大きな岩陰に出る。すぐ近くに水が出てる噴水とゲートを見つける。
私はまずゲートを使う前に噴水で出来る限り身体と服洗う。服は1ヶ月のボス戦により布切れの様になっており、もはや服として機能を有していない状態だが布切れでも裸よりマシなので着ることにする。
「裸よりマシだけど、ほぼ半裸だなこれ」
私は半裸状態を隠す為に膝丈まである羽織りを着る。ボス戦で唯一手に入れた戦利品が防具で良かった。今のうちにオプション見ておくかな。
【王のマント】効果は攻撃力を2倍にする。
分かりやすい単純な強装備だな。
1ヶ月の地獄に見合ってるのか分からないが
私的には満足かな。
羽織りを来てゲートに入る。
「さぁ、帰るぞー」
転移ゲートであるドアを潜り抜けると、来た時と変わらない見慣れたダンジョン前の景色が広がっていた。ゲート前に待機していた人や守兵と目が合ったが何も騒がれはしなかった。
どうやら事件にはなっていないようだな。
私は素早く駅まで移動して自宅へ続く電車に乗り込み自宅まで帰る。自宅の前まで着くと緊張感が押し寄せてくる。電車内で日付を見たら1ヶ月半も私はボス部屋に閉じ込められていたらしい。
私が帰らないから居なくなっていたら…
他の人の元に行ってしまっていたら…
私は緊張しながら玄関のドアを開ける。
「たっ、ただいま…」
声は返ってこない、がリビングのドアからテレビの音が聞こえてくる。私はゆっくりと廊下を歩いて行きリビングのドアを開ける。
「あちち…あっ、おかえり〜愛菜」
コウモリさんが台所でお料理していた。
フライパンに目が行く。見た感じ唐揚げを揚げているらしい、自身の血液も材料に入れているのか血の匂いも嗅ぎ取れる。
「…良い匂いですね」
「ん、貴女が帰るのに合わせて作ってたけど間に合わなかったわね。料理は苦手だわ」
そんな事を言いながら手際よく唐揚げをお皿に移し綺麗に盛り付けをしている。
「…何故、帰りが分かったのですか?」
「視界共有ってスキルを貴女に仕込んで見てたからね。危なくなったら助ける予定だったけど無事で良かったわ」
「見てたなら…いや、コウモリさんが私を手助けしたら意味がないか。すいません」
「ん、その通りよ。私が手助けしたらせっかくの成長のチャンスを逃す事になるわよ。
貴女には期待してるんだから」
その通りだなと思う。私は強くなってコウモリさんを助けるのが目標なのに、本人に助けられてちゃ意味ないよな。コウモリさんが居なくなるなんて事考えてバカみたいだな。
「ご飯出来たから早く食べましょう」
「はい…お腹空きました」
「あと、私は居なくならないから安心しなさい。後先考えない危なっかしい可愛い娘を1人に出来ないからね」
「は、ちっ、違う!別に心配してない!はっ早く食べちゃいましょう」
考えていた事を簡単に当てられて恥ずかしい
せっかくの手料理なのに味が分からない
二人して唐揚げをおかずに米を頬張る。
私はニヤニヤしながら私の顔を見てくるコウモリさんを無視して食べ続けた。
二人で夜ご飯を食べ終えて、次にお風呂、
シャワーで汗を洗い流し、頭にシャンプーを付けて髪を綺麗にしてお風呂に入る。
「んんっ、気持ちいいぃ」
1ヶ月もダンジョンに居たから身体にお湯が染み渡る、泥と血で汚かった私の体を浄化してくれる。さらに背後には枕も完備されていて
今すぐ夢の中に旅立ちたいレベルだ。
「やっぱり、お風呂は良いわね」
「んですねぇ〜」
二人してお風呂を目一杯堪能した後、パジャマに着替えベットにインする。変わらずコウモリさんに抱き枕にされるが、久しぶりの女性特有の柔らかさと私とは違う落ち着きがある良い匂いがして私は直ぐに眠りに落ちる。
次の日の朝、まだ眠いが今日はやる事があるから気合いで起きた。
コウモリさんの腕をゆっくり剥がしモゾモゾとベットから出ていきリビングのソファまで移動した。ノートパソコンを使い福音ダンジョンについて調べる。本当に私の事で事件になってないか調べてみるが私についての事は見当たらない。
「大丈夫そうかな…1ヶ月半か」
あのダンジョンに入り丁度1ヶ月半
私の体内時計すごいな、結構合ってたな
学校無断で休んじゃってるなぁ
私は、近くにある通信制に通っている。週に一度学校に行き課題をだしてその日の授業を出ていれば良いだけの結構楽な学校。
今日は学校に行って事情を説明する予定だ。
私は制服に着替えてから、コウモリさんに書き置きを残して学校に向かう。
30分程で学校の校門前に到着する。
退学になってない事を信じて建物内に入ろうとすると周りから視線を感じる。
耳を済ませれば周りから声が聞こえてくる。
『あんな子いったけ?』
『銀髪だ。地毛かなあれ』
『くっそ可愛くね、あの子』
『お前声かけに行けよ』
『クール系か、表情が分かりづらいな』
全日制の生徒達だ。通信制は週一の土曜日が登校だから全日制の生徒とはほぼ会う事がない。初めて見る生徒、派手な銀髪の女、全日制の人から見たら転校生に見えるのだろうか
ちょっと、いやかなり恥ずかしい…
私は気持ち速めに職員室に行く事にした。
結果だが、退学一歩手前だったらしい。
危なかった、1ヶ月も音信不通だったので失踪扱いで退学にするか先生方で話し合っていたらしい。通信制の生徒は急に辞める方が多いので退学するかの判断も迷っていたとの事
いや、マジで申し訳ない。
事情を話したら分かってくれて怒られずに済んだ。あとB級以上になると出席日数とか免除してくれる制度がある事を教えてくれた。
また新しい目標が出来てやる気が上がったよ
後、姿に関してはイメチェンでゴリ押した。
学校を後にした私は次に携帯ショップに行って、 新しいスマホとスマコンを購入した。
【スマコン】スマホと連動したカラコンで。どうやら目の動きや脳波でスマホを操作できるらしい。何それ、怖いなと思ったが探索時にスマホを触る時間が減って便利だと思って
同時に購入しておいた。
今日のタスクは終了だ。
暫くはゆっくり家でコウモリさんと過そうと考えながら私は我が家に帰っていく。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!