テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「……可愛い」
「か、可愛くなんて……」
はしたない姿であられもない声をあげて……卑猥で淫乱で、可愛さなんてどこにもないのに。
「本当に。可愛くて綺麗で、できることなら俺の手で滅茶苦茶にしたいくらい」
「えっ……!」
「嘘。優しく抱くよ。緋真にひどいことなんて、絶対にしないから」
伊織さんが自らの腰紐を引き抜くと、しっかりとラインの入った胸板が露になる。初めて見る伊織さんの体は、想像していた以上に胸板が厚く鍛えられている。服の下にこんな鎧を纏っているなんて。
「っ……」
「どうかした?」
目のやり場に困るほど美しいそれに、ただただ見惚れてしまって――
「ず、ずるい。全部、かっこいいなんて……」
つい、本音がこぼれてしまった。
伊織さんはしばしキョトンとした顔でこちらを見ていたけれど、すぐに口角を上げた。
「全部って、他もそう思ってくれてるってことかな」
「そ、それは……」
自ら墓穴を掘るなんて、間抜けにもほどがある。
だけど仕方ない。出会った時からずっと、彼に憧れにも近い感情を抱いていたのだから。
知られてしまったならば誤魔化す必要もない、か。
「……伊織さんは、いつだってかっこいいよ。私にはもったいないくらい、とても」
容姿だけじゃない。内面もすべて含めて彼のかっこよさなのだ。話し始めたらキリがないので、最低限の言葉で収める。彼は少し困ったように笑って、私の首筋に顔を埋めた。
「伊織さん……?」
「今そんなこと言われたら、加減できないな」
「ひゃっ……あんっ!」
耳元で囁かれたあとで、かぷと耳朶を食まれる。それだけならまだ我慢できたが、伸びてきた彼の指が十分に潤った蜜口に侵入した反動で声を上げた。
自分でもわかるくらい、ぬるぬると摩擦もなく彼の指を飲み込んでしまう。
「緋真の中すごいな。わかる? たくさん溢れてぐちゃぐちゃだ」
嫌でもわかってしまう。
伊織さんが少しでも指を動かせば聞こえるはしたない水音は、すべて私のものなのだから。
「こんなにするっと俺の指飲み込むなんて。本当にはじめて?」
「は、はじめてだよ。それは伊織さん、が……」
「俺が?」
「たくさん、触るから……」
「うん?」
ああもう、何を言わされようとしてるの?
私が初めてで、どうしてこんなになってるのか、彼はわかっているはずなのに。
私の言葉を待ちながら蜜口で蠢く指に、もどかしさを感じる。言わなきゃ、それ以上は与えないというように。
「……っ、気持ち、良くて、ぁっ」
ぽつりと呟けば、耳元に寄せられた彼の舌が、耳の入口をぐるりと刺激する。同時に蜜壺に埋めた指が肉の襞を突き刺すように律動を始めた。
「じゃあ、もっと気持ち良くなって」
「や、あっん、んっ……!」
ぐちゅぐちゅと音を立てながら、一点を攻められる。耳を刺激する音と相まって、聞いたことがない淫猥な音が響き渡る。
「ここ、イイんだ。すごい締まる」
「わかっ、ああっ……」
そこから突き上げられるたびに、伊織さんの腕にしがみついて善がる。
先ほど初めて達することを覚えたばかりの体はとてつもなく敏感で、再び快楽が押し寄せてきた。
「だめ、ぁっ! また、変な、のきちゃ……」
「好きなだけおかしくなっていいよ。緋真が感じてるところ、たくさん見せて」
「そんな、やあっ、あああっ!」
抗う間も与えられず、嬌声と共に体が弓なりになる。二度絶頂に達した体は完全にくたびれていて、自分が一糸纏わぬ姿であることも忘れてしまうほどだ。
「はあ……伊織さん、もう……」
「そろそろ挿れないと、もたない?」
「えっ?」
「……なんて。もたないのは俺のほうだな」
気が付けば、股の間に彼の屹立があてがわれていて、目を見張った。これが本当に私の中に埋まるのだろうかと、半信半疑だ。
いつの間にか枕元に用意されていた避妊具へと伊織さんが手を伸ばす。
あ、付けるんだ……。
どこか残念に思う自分もいるが、自らは言いづらい。それによく考えたら、私たちは家族計画について一度も話をしていないのだ。
何も言わず装着されるのを待っていると、準備を終えた伊織さんの手が両膝に触れた。
「……痛かったら言って。止めるから」
こくりと頷くと、彼がゆっくりと腰を埋めていく。十分に慣らされた蜜口は、膨張した彼のモノを飲み込むけれど、みちみちと音が鳴りそうなくらいの激痛に顔をしかめた。
「っ、大丈夫……?」
「う、うん」
「ゆっくり息して、少しずつ挿れるから」
硬くなったものが侵入する度に、痛みに伴って内壁がぎゅうぎゅうと締め付けていく。その度に伊織さんの顔も余裕がなさそうに歪んだ。
もしかしたら、伊織さんも狭くて痛いのかもしれない。しかしながら今は彼を気遣う余裕もなく、強く目を閉じる。
伊織さんはその間も、気を紛らわすかのように空いた片手を握っていてくれた。
「……っ、全部入った」
数分かけて、彼の自身が私の中に埋まる。正直「入った」なんて言われても、よくわからない。二人を繋ぐ部分からは、未だ張り裂けてしまいそうな痛みでジンジンしているし、先ほど気持ち良さでおかしくなった体が嘘みたいだ。
それでも、やっとひとつになれたのだと実感し、自ら伊織さんの背中に腕を回した。
「緋真?」
「何だか嬉しくて……」
体を重ねることだけが夫婦の証ではないけれど、また一歩伊織さんとの距離が縮まった気がする。彼も何も言わずに抱擁を返してくれて、そうしているうちに次第に痛みに慣れていった。
「痛みはどう?」
「平気、そう」
「……それなら、少し動いても大丈夫?」
「う、うん……ぁっ……」
彼が腰をゆるゆると動かし始めれば、麻痺していた蜜壺にいっぱいの異物感を感じる。お腹の下辺りを突かれ、痛みがほんの少しずつ快感へと変わっていった。
「っ、痛くない?」
「もう大丈夫……」
「わかった。もう少し速めるから」
「えっ、ん、ぁっ……」
伊織さんは体を起こし、しっかりと私の腰をとらえると、先ほどより一層腰の動きを速めていく。股の間で出し入れを繰り返すと、結合部からは重い水音が響き鼓膜を刺激した。
「っ、緋真の中、熱い……」
見上げれば伊織さんの熱を孕んだ視線と絡み合う。いつだって冷静な彼の表情は歪んでいて、それがいたく色っぽく、情欲を煽り立てられた。
ああ私今、伊織さんに抱かれてるんだ。
彼の分身をこんなにも深くまで飲み込んで……。
その事実に、お腹の奥がきゅうっとなった。
「締めすぎ……もっと、力抜いて……」
「ご、めんっ、あっ……ん」
体の力を抜くことなど簡単なはずなのに、まるで自分の体ではないみたいに、膣襞が強く彼を拘束する。もう、ここから出て行かないでというように。
その度に彼のモノは硬くなり、端正な顔が崩れていく。その表情からは感情が一切読み取れず、無意識に伊織さんの頬へと手を伸ばした。
「伊織、さんも……気持ち、い……?」
「っ、気持ち良すぎて、どうにかなりそう……」
「嬉しい……」
「……ごめん、もう……」
「え? あっ、あああっ……!」
これまでとは比べ物にならないスピードで、腰を打ちつけられる。叫び声にも近い嬌声を漏らしながら絶頂を迎えるころ、後頭部を引き寄せられて唇が重なった。
貪るような口づけを交わすと中の締め付けは最高潮になり、埋まった楔が一気に膨張する。次の瞬間、どくんと波打つ感覚と共に熱い精が吐き出された。膨張したモノはしばらくビクビクと震え、やがて鎮静する。その後は僅かに残った気力で互いの舌を絡め合い、恍惚感に浸ったのだった。
◇
しばらくベッドの上で抱き合いながら余韻に浸ったあと、汗と欲にまみれた体を流すため露天風呂へ入った。もちろん、今度は伊織さんと二人で。体を重ねた後でも温泉に入るのはまた違う恥ずかしさがあり、縮こまってしまう。
「緋真、もう少しこっち」
「……十分近いよ?」
「せっかく一緒に入ってるのに、寂しいな」
「わっ……」
するりと腕を引かれ、後ろから抱きしめられる形で伊織さんの腕に収まる。抱きとめられた腕にはしっかりと筋肉があって、背中に当たる胸板が生々しい。
先ほどこの体に抱かれていたのだと思うと、また体の奥が疼いた。
「あの、この体勢は……」
耳元に息がかかって、このままじゃ再び感じてしまいそうだ。
懇願するように呟けば、伊織さんは謝って向かい合わせにしてくれた。
「見られたくないよな。ごめん」
「あ……」
そっか。さっき抱かれた時だって、彼は私の背中を見ようとはしなかった。おかげで、火傷の痕のことなんて全く気にせずことを終えることができたのだ。
だけど、このままじゃ伊織さんに抱かれる度に同じことを気にしてしまう気がする。
――そんな自分とはさよならしたい、
「ち、違うの。あまり近くにいると、またドキドキしちゃうからっていう意味で……背中のことは嫌とかじゃなくて、やっぱり怖くて……」
「怖い?」
「伊織さんは気にしないって言ってくれたけど、汚くないかなとか気持ち悪くないかなとか……やっぱり気になるの。嫌われたくなくて」
長年背負ってきたコンプレックスは、簡単には消えない。実際過去に振られたトラウマもあるのだから尚更だ。
素直な気持ちを伝えると、伊織さんの手がゆっくりと頬へと伸びてくる。
俯きかけた顔を引き寄せられると、白い湯気が立ち込める中、すこぶる優しい瞳とぶつかった。
「俺が緋真を嫌うなんてありえないよ。そこは信じてほしい」
「伊織さん……」
「だから、嫌じゃなかったら見せてくれないかな」
「っ……」
伊織さんは、絶対に私を拒絶するようなことは言わないだろう。
根拠もない確信に頷くと、おそるおそる彼に背を向ける。お湯の中で膝を立てると、背中に冷たい空気が伝った。
聞こえるのは、お湯が湧き出る音と水面が揺れる音。無言に耐え切れず目を閉じると、背中に彼の手のひらが添えられた。
「伊織さん……?」
「……汚くも、気持ち悪くもない」
「あ……」
囁きながら、伊織さんの唇が背中を伝う。そのまま控えめに音を立てながら、背中全体に隈なく口づけを落としていった。
丁寧に口づけを重ね、最後に私を後ろから抱きしめると、耳元で低い声が響いた。
「……全部含めて愛しいよ」
「っ……」
熱い吐息が、耳の奥まで入り込んでこもっている。
「なん、で……」
どうして伊織さんは、私にこんな風に愛を注いでくれるの……?
親同士が決めたお見合い結婚で、お互いのこともまだ多くは知らないのに。
私だってそうだ。なぜ彼のことを、こんなにも愛おしいと思うのだろうか。
「緋真」
誘われるようにその声のほうへ顔を向けると、濡れた唇が重なった。
啄むように何度かキスを交わすと、自然に向かい合って体を密着させる。
そのあとは言葉などなく、互いの熱を分け合うような口づけを交わした――。
#恋愛
ばたっちゅ
20,605
コメント
1件
えっ、えっ、えっ……!?!?!?😭💕 もう語彙力飛んだわ…!! 「全部含めて愛しいよ」って…伊織さん、そんなんズルすぎるやろ〜〜〜!!!🔥🔥 背中の傷まで愛してくれるとか、理想の夫すぎて心臓持たん…っ! 温泉での口づけシーン、もう言葉いらんくない?ってくらい濃密で、読んでるこっちまでドキドキが止まらんかったよ🥺💗 はぁ…尊すぎて何回も読み返す未来しか見えへんわ。寧子さくら先生、最高やで…!!!🌸