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何度読んでも素敵な作品です🥰🩷🥰🩷 海斗さん・美月ちゃん沢山の方々に祝福されて良かったね🤗 お幸せに✨✨✨
とても素敵なお話しありがとうございました😊宙は繋がっている。私も夜空を眺めるの大好きなので、このフレーズ最高です♪
海斗さん、美月チャン、末永くお幸せに🩷🩷🩷🍀🍀🍀 スーパームーン🌕️を見るたびに、お二人のこと思い出します🥹🩷 瑠璃マリコセンセイ💕 とっても素敵な作品をありがとうございました✨
それから一ヶ月が経過した。この日は海斗と美月の結婚式だった。
葉山のレストランには招待客の車が次々と到着しレストランの前では参列者が集っていた。
美月の母・佳代子は亜矢子夫妻とその息子の亮と共に美月の到着を待っていた。
その後大磯から海斗の家族が到着すると佳代子はすぐに挨拶に行った。両家は先日顔合わせの会食を済ませたばかりだった。
参列者には海斗のバンド仲間やマネージャーの高村、事務所の社長やスタッフも参列している。
それ以外にも親しくしている音楽関係者が招待されていた。
招待客の中にはあの『屋台のおやっさん』もいた。
海斗と美月が初めて食事をしたのがおやっさんの屋台だった。
おやっさんは海斗と美月の出逢いをサポートしてくれた大切な人なので二人は彼を招待する事に決めた。
白髪交じりのおやっさんはいつもの作業着とは違いスーツを見事に着こなしていた。そして『自慢のかーちゃん』を連れて来ている。
『自慢のかーちゃん』も聞いていたイメージとは全く違い50歳位の清楚でとても美しい女性だった。
主役の海斗はというと、グレーのタキシードに身を包みメンバーからは『馬子にも衣装』とからかわれていたが、招待客からは「カッコイイ! 意外と似合う!」と褒められていた。
特に亜矢子は興奮して言った。
「キャー、海斗さんのタキシード姿最高! カッコイイ!」
あまりにも亜矢子がはしゃぐので夫の浩がやきもちを妬くほどだった。
そこへ美月を乗せた車が到着した。
運転手がうやうやしくドアを開けると中からは美しいウエディングドレスを身に纏った美月が出てきた。
そこで参列者から感嘆の息が漏れる。
美月は襟元が花の刺繍で飾られたオフショルダーのとても素敵なドレスを身に纏っている。鎖骨を綺麗に見せる襟元は美月のほっそりとした首筋の美しさを際立たせていた。
お腹はまだそれほど目立っていなかったのでウェストから裾までは流れるようなスレンダーラインのドレスだ。このドレスは海斗がプレゼントしたものだった。
「美月、綺麗よー!」
亜矢子が目を潤ませながら言った。
「亜矢子、ありがとう」
少し照れた様子で美月は言った。
それからは美しい花嫁と写真を撮ろうと次々と参列者が集まって来る。
その間海斗はボーッと美月に見とれていた。あまりの美しさに声も出ない様子だった。
そんな海斗を見るに見かねて吉田が声をかける。
「おい、海斗! 見とれていないで美月ちゃんをちゃんとエスコートしろよ!」
そこで海斗がハッとしたので笑いの渦が巻き起こった。
その後招待客がレストラン内に移動すると海斗と美月の人前式の結婚式が始まった。
司会は海斗が昔テレビ出演した時以来の友人である有名アナウンサーが引き受けてくれた。
二人は参列者の前で誓いの言葉を立てると指輪の交換を行った。結婚指輪はもちろんあの銀座の店で購入した。
美月の結婚指輪はダイヤが途切れることなく全周に並んだ美しいエタニティリングだ。海斗がどうしてもこれだと言って譲らなかったのでその指輪に決まった。そして海斗にはプラチナ製の少し太めのシンプルな平打ちリングを選ぶ。
これならロックバンドのボーカルがはめていても違和感はない。
指輪の交換が終わると二人は誓いのキスをした。
その瞬間参列者からはおめでとうの声やヒューヒューという指笛、そして盛大な拍手が沸き起こり祝福の嵐が続いた。
その後海斗は美月をエスコートして着席させるとレストランに設置した簡易ステージへ行きギターを手に取った。
そこで『solid earth』のミニライブが始まった。
会場に来ていた招待客はまさか結婚式で演奏が聴けるとは思っていなかったので皆興奮していた。
海斗の甥の星也は舞台の近くまで進み出ると食い入るように海斗のバンドを見つめていた。
三曲ほど演奏しレストラン内は大きく盛り上がっていた。
そして最後の曲が終わると盛大な拍手が沸き起こる。
演奏を終えた海斗がギターを置いた時、突如屋台のおやっさんが前に出て来て言った。
「このギターを借りてもいいか?」
海斗は一瞬驚いたようだったが「どうぞ」と笑顔でギターを渡した。
すると突然おやっさんは『Moon River』を素人とは思えない指さばきで演奏し始めた。
それを見ていたドラムの吉田とベースの山崎がおやっさんのギターに合わせて演奏に加わる。
レストラン内には思いがけずしっとりした名曲が響き渡りその素晴らしい演奏に誰もが感動していた。
その時会場にいたマネージャーの高村が呟く。
「あれ? あの人、もしかして及川さんか?」
それは高村がまだ若い頃、あちこちのライブハウスを回っていた時にとあるバンドに彼がいたのを思い出した。
高村は海斗の席まで行ってそれを伝えると、
「やっぱりな」
海斗はニヤリと笑ってそう答えた。
それから一年の月日が過ぎた。
海斗と美月は青山の高級スーパーで買い物をしている所を週刊誌にスクープされた。
その見出しは、
【『solid earth』のボーカル沢田海斗、青山の高級スーパーで家族と買い物ショット!】
【売れっ子音楽プロデューサー・作詞作曲家の沢田海斗のプライベートを激写!】
という内容だ。
週刊誌の見開きには小さな男の赤ちゃんを抱いた海斗と美月が仲睦まじく笑顔でショッピングを楽しむ様子が写っていた。
<了>