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23
冷涼な大気が肺を満たすたびに、澱んでいた身体が洗い流されていくのを感じるエレノア。
そのせいもあり、ただでさえ魔力に敏感だった身体が、より鋭くなっていくのが自分でもはっきりと分かった。
今までなら気がつかなかったであろう何かを感じ取ったエレノアは魔力を込めた手を上にかざした。
「エレノアさん?」
普段のんびりしているエレノアが、まるで臨戦態勢を取るかのような行動に驚くアルテア。
その動作にフィニスもそっと片方の剣に手を添える。
「敵か?!」
その場で立ち止まり、辺りを見回すフィニス。
「うふふ。今日までこんな嫌な感じしてなかったのに……まさかこの綺麗な森の生き物に擬態した魔物がいるなんて気づかなかったわ」
エレノアのかざした手が輝き出し、その輝きの中からゼフィリアが現れる。
『なになに〜どうしたの?』
いつも通り、緊張感の無い小さな妖精。
「エレノアさん。大丈夫ですか?」
体調が戻ってきたとはいえ、どうしても寝込んでいたイメージが払拭できていないアルテアが心配そうな声を出すも、ゼフィリアを肩に乗せ、自信満々に笑うエレノア。
「心配してくれてありがとう。私は……お母さんやエラリスのように魔力の波長を捉えたり、自分の魔力を変えたりすることはできないけど……」
肩に乗ったゼフィリアに優しく微笑みかける。
「その分、この子との付き合いは2人よりもずっと長いし……そして何より、魔力量に関しては2人にも負けてないのよ?」
そう言いながら、次々と指をさすエレノア。
『ふ〜ん。了解!それにしても……よくあんなところにいるなんて分かったわね』
「この綺麗なマナが充満している空間に、似つかわしく無い物が紛れ込んでいるのよね」
『目立たないように1人で歩いている人とかを狙って、静かに襲いかかる感じなのかも』
2人の会話を聞いたフィニスが小さな声でアルテアに尋ねる。
「アルテア……分かったか?」
それがエレノアの言う魔物を感知できていたか……という意味だということはアルテアにも分かっている。自分でも感知能力には自信があったが、敵がいると言われてもなお全く感知できないアルテアは、聞き取れないような囁き声で呟いた。
「いいえ……全く……」
エレノアの足から小さな風が渦巻き始める。
「それじゃ……お願いするわね」
そう言いながら、まるで踊るかのように身体を回転させるエレノア。振り付けの一部のように、先ほど指をさした方向へ腕を振り抜く。
そして、その動作に合わせるようにゼフィリアも両手をかざし始めた。
ザシュッ!
ザシュッ!
それと同時に、周りの景色に擬態した魔物達が、次々と風の刃で両断されてゆく。
「あんなところに?!」
「!!?」
白い炎をあげて消滅してゆく魔物達。それを目の当たりにするまで、そこに魔物がいたなんて信じられないほど完璧な擬態である。
ゆっくりと回転を止め、フィニスとアルテアの方を向き直るエレノア。最後に2人のわずかな隙間に指を弾くような仕草を入れた次の瞬間……
ビュン!
2人の間に物凄い勢いの風が通り過ぎていくのを感じた2人。
パァーン!
「「!?」」
何かが破裂するような音が背中から聞こえ、即座に振り向く2人。そこには、まるでトカゲのような身体をした魔物の上半身が吹き飛んでいた。
ボッと白い炎をあげた魔物を確認し、視線をエレノアへ戻す2人。そこには、スカートの両脇の裾を持ち上げ、2人に笑顔でお辞儀をするエレノアがいた。
「うふふ。ご鑑賞、ありがとうございました」
すっと体勢を元に戻すエレノア。
「す……すげぇ」
「本当に……踊っているようでした……」
その言葉にふふん!と自慢げに胸を張るゼフィリア。
『まぁ、私のおかげだけどね!』
「ふふ。ゼフィリアもありがとう」
そう言ってエレノアの手にハイタッチをするゼフィリア。
「エラリスとはまた違った戦い方なんだな……」
その言葉に笑顔のままフィニスを見るエレノア。
「こっちの世界では、この子達は基本自分たちの力を思い通りに使うことができないのは知ってるわよね?使うにしても……それこそ膨大な魔力を使わないと力が発動しない……でも、元からある物を利用することはできるのよ」
「元からあるもの……あ、確かにライナさんはあの姿のまま……雷を操っていましたよね」
「うふふ、その通り。元から発生している……この子なら吹いている風の向きを変える、と言った感じね。でも雷のように、普段発生している風そのものを攻撃にするのは……中々難しいわよね」
その言葉に少しだけ不貞腐れるゼフィリア。
『雷はそこいらで鳴ってるわけじゃ無いし!風の方がどこでも吹いているからいいの!』
「ふふ。そうね。とにかく、この子達の力をうまく借りれるように、魔力を込めた現象を発生させるの」
「さっきのは魔力を込めた風を弾いたってことか」
「その通り♪」
不貞腐れているゼフィリアのほっぺたを優しく突くエレノア。
「魔力が籠った風であれば、そこにこの子の力を上乗せして威力をあげることができる。0を1に……は難しいけれど、1を2に。10を100に。みたいな感じで、魔力を込めればその分……波長が合う魔法にこの子達の力を乗せてくれるのよ。それに、私たちにはまだ必殺技も残ってるしね」
『ねぇねぇ!今度それやろうよ!』
「ふふふ。機会があったらやりましょう♪」
2人で再びハイタッチをすると、そのまま軽い足取りで先へ進んでゆくエレノアとゼフィリア。
「なんか……凄かったな……」
「綺麗な戦い方でしたね……」
一瞬の出来事に呆然としながら、先をゆくエレノアの後に続く2人であった。
コメント
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わあ…125話、読ませていただきました🥀 エレノアさん、めっちゃかっこよかったです…! 普段はのんびりしてるのに、戦闘になるとこんなに凛として舞うように敵を仕留めるなんて、ギャップにやられました。 ゼフィリアとのコンビネーションも息ぴったりで、すごくほっこりしました😌 「ご鑑賞ありがとうございました」のところ、思わず「ブラボー!」って叫びたくなりましたよ! 主人公の新たな一面が見れて嬉しかったです。続きも楽しみにしてます🤍