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久恋

2 - 2話 衝撃の告白

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2021年10月06日

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――今、なんて言った?

あまりに衝撃的な言葉に耳を疑い、ただただ呆然と彼を見返すことしかできなかった。

「聞こえてますか?」

少し身を屈め、私の顔を覗き込んできた。

「あ、え!?」

突然、近づいてきた蓮くんの顔に驚き、危うく椅子から落ちそうになってしまう。

でも寸前のところで蓮くんが私の腕を掴み支えてくれたおかげで、無様に椅子から落ち変に周りの視線を集めずに済んだ。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫よ!」

慌てて蓮くんの手を振り払い、平静を装いながら椅子に座り直す。

そんな私を見て蓮くんが口元に手をやり笑うのを誤魔化しているのが分かった。

くやしい……

完全にからかわれているんだと分かった。

と同時にほんの少しでも真に受けそうになってしまった自分が悔しい。

恨めしそうに睨むと、蓮くんはどこかしてやったり顔で私を見ていた。

「あのさー」

文句のひとつでも言ってやろうと思ったのに

「志乃さん、ありがとうございます」

タイミング悪く理恵子ちゃんがお手洗いから戻ってきてしまい、私は言いかけた言葉を渋々、飲み込むしかなかった。

「パスタランチ2つですね。少々お待ちください」

理恵子ちゃんが私の向かいに座ると蓮くんは何事もなかったように満面の営業スマイルで再度、注文を復唱して軽く一礼して厨房の方へと戻っていってしまった。

「蓮くんと何を話してたんですか?」

「え?」

急に話をふられ、私は咄嗟に答えることができず、つい動揺の色を滲ませてしまった。

「もしかして蓮くんに口説かれたとか!?」

興奮のあまり理恵子ちゃんが机に身を乗り出す。

「ない、ない、ない、ない!」

「本当ですか?」

自分でも大袈裟だと思うくらい思いっきり否定してしまい、余計に理恵子ちゃんに怪しまれてしまった。

「本当だって!蓮くんと私、いくつ離れてると思ってるの」

これはヤバいと焦りつつも冷静に答えると

「確かに。蓮くん、私の1つ上だから26歳で志乃さんとは8歳も違いますもんね」

理恵子ちゃんは納得しながら現実的な数字を突き付けてきた。

あまりの年齢差に一瞬でもときめいてしまった自分が恥ずかしくなるくらい、一気に現実へと引き戻される。

「そうだよ」

必死に笑いながら答えるが内心、かなり動揺していた。

冷静に考えれば分かったものを蓮くんの言葉に少なからず、ドキドキしてしまった。

――馬鹿みたい……

年齢差は分かっていたはずなのに、改めて数字を聞くと見えない太い線を引かれ区分されたように感じてしまった。

自分でもあり得ないと思っていたはずなのに、おかしいくらいしっかりショックを受けていて、もう笑うしかなかった。

そして完全にからかわれたんだと分かり、段々苛立ちが込み上げてきた。

出来る事なら今は蓮くんとは絡みたくなかったが会計をしなくてはいけなくて、渋々レジに立つ蓮くんの前に行くと無言で千円札を差し出す。

「千円ちょうどのお預かりになります」

蓮くんは私の気持ちなんて微塵も気づかないと言った感じで、いつものように営業スマイルでお金を受け取る。

蓮くんの営業スマイルに苛立ちを感じ、そのままそっぽを向いて店を後にしようとした瞬間

「さっきの冗談とかじゃなくて本気なので真剣に考えてくださいね」

近くにいた理恵子ちゃんに気づかれないくらい小さな声で言うと、レシートと一緒に私の手に一枚の紙切れを握らせた。

「え?」

「志乃さん急いでください!休み時間終わっちゃいますよ」

蓮くんの言葉と手のひらの紙切れに驚く私に理恵子ちゃんの急かす声が届く。

「呼んでますよ、行ってください」

動揺し動けなくなっている私に蓮くんは年下のクセに余裕な顔で早く行くように促した。

「分かってるわよ」

私は精一杯の強がりを口にして店を後にした。

――…

―…

「で?その紙に何が書かれてたの?」

あの日から3日経ってしまった。

私は蓮くんに連絡もできないまま、どうすればいいのか分からず蓮くんの事を相談するために良子に電話を掛けていた。

「電話番号とメッセージアプリのID」

「もしかして連絡してみたの?」

「ううん、まだ」

声の感じからして、蓮くんに対して良い感じを持っていないのが分かった。

「やめときな。そのカフェの彼、いくつだったけ?」

「確か26歳?」

「でしょ?確かに恋愛しろとは言ったけど、彼は問題外でしょ。言っている意味分かるよね、志乃」

まるで言い聞かせるように私の名前を強く言う。

蓮くんは8歳も年下で、格好も良いし店でも人気がある。

そんな彼が敢えて私なんて好きになるわけないし、もし少なからず好意を持っていてくれていたとしても、未来の事なんて見据えたものではない。

結婚したい34歳の私には未来のない軽い恋愛なんてしている余裕なんてないのだ。

「うん、分かってるよ。分かってるけど……」

どうしても気になってしまう。

「分かった!よく行っているお店の店員だから断り辛いんでしょ?リハビリがてらご飯だけでも行ってみたら?で、その時きちんと断ればいいよ」

そういう意味で言ったわけじゃないのに、私の 曖昧(あいまい)な態度に良子が誤解してしまったようだ。

「うん、そうだよね。そうする」

慌てて良子の誤解をとこうとも思ったが、自分でも分からなかったがそれを止めてしまった。

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