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渋谷事変後色々あって転生しちゃったという話。
かるーい設定
虎杖悠仁(兄)、虎杖宿儺(弟)
悠仁も宿儺も高専入学はしてない
なんやかんやあって(ご都合)宿儺が両面宿儺の生まれ変わりで悠仁の双子の弟。
宿儺は両面宿儺だった頃の記憶はあるが人(悠仁と双子)になったことが影響で鏖殺する気力がなくなった(めっちゃ丸くなった)そして悠仁に対しめっちゃ過保護。両面宿儺時代の面影は全くない。
今の悠仁との関係性を気に入っており、維持したいのでなるべく悠仁の記憶を思い出させないよう日々奮闘している。
悠仁は記憶がない、けど宿儺とは生まれる前からの縁のようなものを感じている。
悠仁以外は全員記憶あり
色々あって入りから何度も書き直してる没作品です。
一応全部の入りパターン載せます……。
①高専入学後で京都姉妹校交流会前
俺は虎杖悠仁。
見てわかるように高校一年生だ。
数日前に俺たちを育ててくれていたじいちゃんが息を引き取り、その後なんやかんやあって今はこの呪術高等専門学校に通う一年生になっている。
俺たち…と言ったように、俺には双子の弟がいる。
名前は、虎杖宿儺。
性格はお世辞にもいいとは言えないが、いいところが無いというわけではない。
ただ単に人との関わりが苦手なだけだ。だからなのか、大抵は俺の側にいることが多い。
悪いやつじゃない。それは俺が一番わかっていることだ。
でも…心の奥底で俺は宿儺に突っ掛かりを感じていた。生まれるよりもずっと前から宿儺を知っていたような気がするし、この状況がおかしいと感じることさえある。全くもっておかしな話だ。
そんな宿儺を横目で捉えると高専に運び込まれた俺たちの荷物の荷解きをしていた。
宿儺を見て俺も目の前の段ボールに手を伸ばすが引っ込めてしまう。
なぜなら、いくら荷解きをしても段ボール箱が減る様子はなく疲労が溜まっていくからだ。
そして何よりずっと屈んだ体制での行動だからか腰が痛い。
一度立ち上がり固まった体を伸ばそうと背伸びをする。
宿儺「愚兄、これはどうする?」
声をかけられて屈んで作業をしている宿儺の手元を見る。
俺の好きな女優のグラビアポスターだった。
俺は宿儺からポスターを受け取るとベッドの横の壁に飾ろうと思いベッドの上に乗る。
宿儺「はぁ…全く飽きん奴だな」
呆れたような宿儺の声に俺は振り返って口をとんがらせて言う。
虎杖「趣味の一つや二つくらい別にいいだろー?」
宿儺「趣味どうこうという話ではない」
ため息を挟んだかと思ったら怪訝な顔で、何故その位置なのか、と問われた。
虎杖「え?んー…」
正直飾る場所なんていくらでもあると言えば確かにあるだろう。
でも、そこじゃないとしっくりこないという謎の感覚があった。
あまり深くは考えず答える。
虎杖「なんとなく?」
②悠仁視点
スマホのアラームで目が覚めてベッドから起き上がる。
隣で寝息を立てている寝起きが悪い弟を起こさぬよう静かにベッドから出て洗面所へと向かう。
洗面所の鏡に写る自分を見て蛇口を捻り、朝の冷水を手に溜めて顔を洗う。
そしてタオルを片手に台所へと向かった。
冷蔵庫を開きこの前買っておいた卵とウィンナーを取り出す。
フライパンをコンロに置き火にかける。
ある程度フライパンが温まってところでウィンナーを炒めはじめる。
すると丁度、昨日セットしておいた炊飯器が炊けた音が聞こえる。
俺はフライパンを一旦放っておいて炊飯器の米をかき混ぜる。
ジューっと焼ける音が大きくなってきたところで卵を割り入れる。
悠仁「双子……」
一つの卵から二つの黄身が出てくる。
珍しいこともあるもんだなぁ、とか思いながら料理を進める。
火がある程度通ったらお皿に盛り付ける。
そろそろ宿儺を起こさないといけないと考えていたら、宿儺が自ら起きてきた。
眼を擦りながら歩いてくる姿を見てまだ寝ぼけていると思っていると急に背後から抱きつかれた。
悠仁「おはよう、すくな」
宿儺「…ん」
宿儺は俺に抱きついたまま再び眼を閉じた。
悠仁「おーい寝るなー」
俺がそう言って宿儺を引き剥がす。
そのまま半分寝ている宿儺を食卓に着かせる。
俺は使った調理器具を流しに置くと、二人分のお茶碗を手に取り米を盛る。
盛った米を片手に食卓に並べて席に着く。
ようやく目が覚めたのか目を開いている宿儺。
悠仁「やっと起きた?」
宿儺「…あぁ」
声に少し曇りがあるが目は覚めたのだろう。
悠仁「それじゃあ、いただきます」
宿儺「いただきます」
朝食をペロリと平らげた俺たちは片付けに入る。
その後、各々の好きな時間を少し取り登校時間になる。
俺はいつも通り時間ギリギリに急いで準備をしていた。
宿儺視点
朝食が終わり、自由時間を過ごした後制服に着替えて玄関を出る。
宿儺は悠仁よりも用意周到なので時間ギリギリになって急ぐなんてことは殆どない。
この日も玄関先で悠仁の支度が終わるのを待っていた。
スマホを眺めながら時間を潰す。
特に何かあるわけではないが、この行動が癖になりつつある。
「やぁ、僕のこと覚えてる?」
突如声をかけられて顔をスマホから離す。
目の前には白髪のアイマスクをした長身の男が立っていた。
奴には忌々しい程の記憶がある。
白髪の男改め、五条悟。
前世で現代最強と謳われた呪術師の一人だった。
何故そんな奴が15年も経った今突如として現れたのか、心当たりがないわけではない。
ちょうど今は、前世で虎杖悠仁が両面宿儺の指を食らった時期に近しい。
だからコイツが仙台に来ることなど容易に推測することができた。
五条「おーい?聞いてるー?」
屈んで顔を覗き込まれる。実に不愉快だ。
ここは一つ、小僧との有意義な時間を守るためにも一芝居打つ必要があると判断した。
宿儺「誰だ?」
五条「え?」
明らかに困惑した表情を浮かべる奴を見て心底うんざりする。
五条「僕のこと覚えてないの!?えっ??」
宿儺「だから誰だ?」
俺は再びスマホへと視線を向ける。
その時とんでもない呪力を感じた。
顔を上げてはならない。スマホを眺めて知らぬフリを続ける。
五条「もう一度聞く、僕のこと覚えてるでしょ?」
宿儺「だから、誰だ?俺は貴様など知らん」
その時、急に手首を掴まれた。
反射的に顔を上げて奴を見る。
五条「その呪力、術式、態度といい…僕を騙せるとでも?」
アイマスクをするりとはだけさせ隙間から垣間見える碧眼がはっきりと俺を捉えている。
そう言えばそうだったな。コイツは六眼の持ち主だった。相手の術式や情報が手に取るようにわかるのか。
さて、しらを切るべきか…それともここで種明かしをするべきか……。
小僧のことを考えるとこのまま知らぬフリを続けていた方がよいような気がするが……
五条「両面宿儺、高専への同行を願おうか」
宿儺「…だから誰だと言っている、貴様など知らん、ましてや両面宿儺とやらもだ」
五条「……」
状況が拮抗している。いや、悪化しているな。
さて…この状況をどう打破したものか…。
「すくなごめーんっ!」
阿呆らしい能天気な声が玄関から聞こえてきた。
俺は奴から目を離す。
視界の先にはバタバタと忙しなく玄関を出てきた小僧の姿があった。
俺の前まで来ると小僧は頭を傾げた。
悠仁「誰、その人?」
五条「悠仁…」
悠仁「え?」
奴が小僧に見惚れているうちに手を振り払う。
そして俺は小僧の手を掴み学校の方向へと歩き出す。
悠仁「えっ!ちょ……すくなっっ!?」
宿儺「遅れる、さっさと行くぞ」
悠仁「あの人は!?」
宿儺「知らん、人違いだ」
俺はそう言い切り、学校へと連行する。
その間の小僧が喚く事など耳に入れなかった。
悠仁視点
いきなり宿儺に腕を掴まれ学校へと連行されている。
それよりも、宿儺と話していたあの人が誰だったのか気になる。
見たことがあるような、ないような……。
取り敢えず、すっごいイケメンだったのは確かだ。
うーん……。
考えているうちに学校に着いてしまった。
宿儺が手を離す。
そのまま何事もなかったかのように歩き出すその背中を見て、背筋が凍ったのは俺の気のせいだと思いたい。
教室に入り授業が始まる。
いつも通りだった。昼休みまでは。
昼休みに入る。
俺の前の席に座っている宿儺が振り向き俺の机に弁当を並べる。
悠仁「おい、俺の弁当置く場所どこだよ…」
宿儺「そんなものあるはずがないだろう」
悠仁「はぁ…お前なぁ……」
呆れてため息をついた。
すると、宿儺が箸を持ち弁当のおかずを掴んだかと思ったら急に俺の口の前まで運んできた。
宿儺「愚兄、お前は俺に差し出されたモノだけを食っておればよい」
悠仁「…はいはい、わーったよ」
宿儺と飯を食べる瞬間だった。
教室の前に一人の学生が現れた。
黒い髪と瞳。身長は俺と同等くらいだろうか。
何故か目を離せない。
吸い込まれそうだ。
その学生は宿儺の名を呼んだ。
はっと我に帰り宿儺を見る。
悠仁「宿儺の知り合い?」
宿儺「…まぁな」
どこか濁すような言い方をする宿儺に違和感を感じる。
宿儺は席を立ち学生がいる方向へと歩いていく。
数歩歩いたところで振り返り
宿儺「すぐ戻る」
と言い残して教室を出て行った。
宿儺視点
朝からとんだ目にあったものだと思っていたが、まさか伏黒恵と出会えるとは思っても見ない幸運だった。
教室を出て伏黒恵に近づく。
伏黒「急に呼び出してすまないが少し話があるんだ、ついてきてくれ」
俺は素直に後をついて行った。
たどり着いた場所は校舎裏。
人気のないこの場所で一体何を話すというのだろうか。
おおかた見当はついているが……。
伏黒「宿儺、高専へ来てくれ」
いつにも増して真剣な表情の伏黒恵を見た。
だが答えは決まっている。
宿儺「断る」
目の前で言い切ったにも関わらず表情は崩れない。
俺がこう答えることを見越していたのだろうか。
宿儺「そもそも、何故俺がいかねばならん」
伏黒「お前が…両面宿儺の転生体だからだ」
宿儺「どいつもこいつも…だからなんだそれは?」
伏黒「……記憶が…ないのか?」
宿儺「さっきから何を言っておる?」
眉間に皺を寄せて話す。
まるで、何も知らない愚かな人の様に。
③アラームで目が覚める。
まだ隣で眠っている弟を起こさぬよう部屋を出て洗面所で顔を洗う。
早朝の冷水が身体に沁みる。
タオルを片手にリビングに行き簡単な朝食をつくり、弟を呼ぶ。
悠仁「すくなー?朝飯できたよーー」
のそのそと朝に弱い弟が瞼を擦りながら部屋を出てくる。
宿儺「うるさいぞ、愚兄…」
悪態を吐くいつもの姿を見て安堵する。
俺の元まで来て二度寝しようとしていた弟に「顔を洗ってこい」と言い洗面所へ向かわせる。
その間に出来た朝食を皿に盛り付ける。
使った調理器具を洗いながら弟を待つ。
ペタペタと裸足でフローリングを歩く音が聞こえ振り向くと顔を洗って少しは目が覚めたのか、水の滴る弟がいた。
悠仁「お前なぁ…いつも言うけどタオルで拭けってば」
俺が宿儺に近づき自分の使っていたタオルで髪を拭いてやる。
いつもなら少しくらい抵抗するのに今日は珍しく抵抗しなかった。
まだ寝ぼけているのかもしれない。
俺は宿儺の髪を拭き終え椅子に座らせる。
宿儺と対峙する形で俺も食卓を囲む。
手を合わせて「いただきます」。
なんてことない日常だけれど、このひとときがとてつもなく心地よい。