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「ふぅ、、」
軽くストレッチをして、ウィンドブレーカーの袖をまくる。8:37を示したスマートウォッチが僕の顔を眩しく照らした。
ズボンの裾を上げてからしゃがみこみ、スパイクの紐を結び直す。
久々に履いたスパイクは少し履き心地が悪い。気を引き締めるようにもう一度深呼吸をして、僕は靴紐をきゅっと結んだ。
「気合入ってるねー」
振り向くと、いつもの通り上下ジャージ姿の 北野
「お前その服しかないの?」
僕のツッコミを華麗にスルーして、北野は僕の足元に目をやる。
「スパイク?」
「いつでも走れるように」
花子さんにビビっていないと言ったら嘘になる。
花子さんがトイレから飛び出して僕らを一晩中追いかけ回すっていうシリアスな絵面を想像すると、ちょっと面白くなっちゃうんだけど、、
もしも、それが現実になってしまった時のために、、。
「まぁとりあえず座れよ。腹ごしらえしてから行こう」
と、北野の手にはコンビニの袋。
中から取りだしたのはピザまんと肉まん1つずつ。
「どっちがいい?俺はピザまんが好きだけd、」
「僕もピザまん派」
僕は容赦なく北野の手からピザまんを奪い取る。言っておくが僕がこいつに気を遣う義務は無い。
「いじわるだなぁー、」
そう言いながらも、北野は楽しそうだ。これから起こるであろう恐ろしいことに、ルンルンが止まらないらしい。
ベンチに座ってピザまんにかぶりつく。
「で、花子さんに会って何がしたいの?」
「単純に何がしたいのか気になるんだ。あ、見て」
と、北野がスマホを差し出す。
画面に出されていたのは、いわゆるオカルト掲示板。
『2024/02/14 公園のトイレに人が入ってったのに出てこなくて、気になって見に行ったら誰もいなかった! 』
『2024/02/24 東第二公園の女子トイレから、「花子さん遊びましょ」って女の子の声が聞こえて、気になって覗いたらまじで誰もいないんだよ!連れてかれたんじゃねぇの?』
「なるほどね。」
「どう?ねぇワクワクしない?こんなん調べるしかないでしょ」
、、頭がおかしい、。
「こんなの、誰かが面白半分で流したデマかもしれないのに」
「だから確かめるんだよ。火のないところに煙は立たないって言うだろ?ここに書いてあることがもし本当だったら、それって超面白いじゃん!」
僕にもこんな現役5歳児みたいな好奇心がまだ残ってたら、人生楽しいだろうな、、
ピザまんの最後の一口を口に放り込み、立ち上がる。体を伸ばして軽くジャンプ。
「横田、もしかして緊張してる?」
「お前こそそんな余裕ぶっかましてて平気かよ。何事も準備が大事なんだよ。準備が。」
「はいはい分かった分かった」
と、僕と同じようにストレッチをしだす横田。よしよし。そういえば横田(仮の姿)は、だいぶ運動苦手そうだったけど、あれもキャラ作りなのかな?そう思って声をかける。
「運動能力まで女の子のフリするなんて、お前も大変だよな」
「え?」
「この前の体育大会、100m走ビリっけつだったろ?」
「あれ、俺の本気だけど」
「、、、」
女子と走って本気出してビリ、?嘘だろ、?
早くも雲行きが怪しい。
この前こいつの腕を引っ張って走った時妙に重く感じたのはそのせいか、、