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第11話 「影を裂く閃光」
🚀 シーン1:静寂の前兆
夜の街を覆うように、濃密な静寂が広がっていた。
ゼイン(然)とナヴィスは、高層ビルの屋上に身を潜め、遠くに展開するヴェール・バインドの部隊を見下ろしていた。
「……かなりの数がいるな」
ゼインが低く呟く。
彼の黒い戦闘ジャケットの裾が、夜風に揺れる。
その左腕には、碧色の刻印が淡く脈打っていた。
「まぁな」
ナヴィスは軽く肩をすくめ、無造作な黒髪をかき上げる。
彼の青い瞳が、ネオンライトを反射して鋭く輝いていた。
「でも、いつも通りやるだけさ」
ゼインは目を細める。
“いつも通り”——それがどれほど難しいことか。
ヴェール・バインドの戦術は、確実に進化している。
数日前の戦闘では、**“寿命を燃やして強化する技術”**を導入し、彼らは明らかにパワーアップしていた。
「さて……どうする?」
ナヴィスが問うた瞬間——
「——撃て!」
鋭い声と共に、光の閃光がビルの屋上を焼き払った。
🚀 シーン2:開戦
「チッ、強引に来やがったな!」
ナヴィスが叫びながら、素早く宙へと跳躍する。
ゼインもそれに続き、着地と同時に左腕の刻印を光らせた。
「《オーバーライド》」
ビルの端に設置されていた監視カメラと電子制御装置が、一斉に機能を停止する。
「いいぞ、ゼイン!」
ナヴィスは手をかざし、青白い防壁を展開する。
「《リバースバリア》」
ヴェール・バインドの兵士たちが放ったエネルギー弾が、空間に弾かれ、逆方向へ跳ね返る。
敵の一人が反射弾を受け、吹き飛ばされた。
「……ふざけんな!」
残った隊員たちは、特殊な装甲スーツの力を解放する。
その身体が青白く輝き、加速する。
「また来たな、**“寿命ブースト”**か」
ゼインはナイフを逆手に持ち、身構える。
高速化した隊員たちが、一瞬で距離を詰めてきた。
「遅い——!」
ゼインは最小限の動きで回避し、敵の腕を掴んだ。
「《オーバーライド》」
——敵の身体がピタリと停止する。
「なっ……動け……ねぇ……!」
ゼインは刃を閃かせ、敵の装甲の隙間に突き立てた。
青いスパークが弾け、装甲の機能が完全に停止する。
「次!」
🚀 シーン3:戦場の駆け引き
「やるな……だが、こっちはまだ終わっちゃいねぇぞ」
通信機から、ヴェール・バインドの指揮官の声が響く。
「新兵器、起動——」
その言葉と同時に、ヴェール・バインドの後方部隊が展開した。
一瞬後、ゼインとナヴィスの足元に、奇妙な違和感が走る。
「……なに?」
——空間が歪む。
「チッ……新しいやつか」
ナヴィスが舌打ちする。
「《アンチ・フラクタル・フィールド》」
——フラクタルの発動が制限される領域が展開された。
ゼインの腕の刻印が淡く光るが、それ以上の反応がない。
「マズいな……」
ナヴィスが拳を握る。
「フラクタルが使えねぇ……」
敵がじわじわと距離を詰める。
このままでは、戦う手段が制限される。
「なら、殴るしかねぇか」
ナヴィスは軽く笑うと、拳を握りしめた。
ゼインもナイフを構え、迎撃の態勢に入る。
「やるしかねぇな」
戦場は新たな局面へと突入するーー