テラーノベル
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大阪までの三車線の高速道路は空いていた、淡路島を抜けて明石海峡大橋に差し掛かると、目の前の視界いっぱいに360度の青い海が広がった
荒々しい鳴門の潮がうずまき、水面がきらきらと揺れている、つい今朝まで旅館の庭から眺めていたのと、同じ海だ
ジンは運転席でハンドルを握ったまま前だけを見ていた、助手席の浜崎は中折れ帽をひざの上に置いて、静かに前方を向いていた
車内は長い沈黙だった・・・音楽すら流れていなかった、大阪方面の標識が流れていく、神戸、尼崎、梅田、見慣れたはずの地名が今日は別の惑星の言葉のように見えた
しばらくして、ジンが口を開いた
「僕に残された猶予は?」
低く、事務的な声で浜崎は言った
「・・・24時間以内にあなたが国外退去していただければ・・・山田桜さんには、何のお咎めもありません」
浜崎は前を向いたまま続けた、心なしかその声は優しさが滲んでいる様だった、ジンの胸の奥で何かがストンと落ちた・・・桜には何もない、それだけでよかった、それだけで十分だった
「では・・・僕は会社に戻り、辞任表明をした後、空港に行きます」
「わかりました」
浜崎が静かに言った
「私はあなたが韓国行きの飛行機に乗り込んだのを見届けたら・・・」
一拍の間があった、浜崎が肩をわずかにすくめた
「この件はこれで終わりです」
それきり、二人はまた黙った
道路標識が流れていく、車線変更をするたびに、ウィンカーの音だけが車内に響いた、ジンは気づかれないように、そっと息を吐いた
目の奥が、じんと熱くなった、こらえようとしたがこらえられなかった、運転しながら涙だけがこぼれた、ハンドルを握る指にわずかに力が入った、もう日本には戻る気は無い
助手席で浜崎はじっと前方を見ていたが、やがてその視線が、ほんのわずかにジンにずれた、浜崎は泣くジンを見たが、やっぱり彼は何も言わなかった
淡路島の海が遠ざかれば遠ざかるほど、心の中に桜の笑顔が浮かんでは消えた
ジンはそっと心の中の桜に囁いた
さようなら・・・桜
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コメント
3件
えーーん😭ジンさん韓国帰ってしまうよーー💦このままでいいの💦
桜、ジンさんを追いかけて💦
やだよ😭 行かないでよぉジンさん😭 桜ちゃんをおいてかないで‼️😭