テラーノベル
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穏やかな午後だ。花が香り、鳥が歌い、空は晴れ渡っている。こういう午後には一杯紅茶でも飲みたいものだ。
「ご主人様、ニヤニヤしないでください。気持ちが悪いです」
外の美しい春の景色とは裏腹に裾が長い服に白いエプロンというシンプルな装いの男の名はエドマンド・ハリントン=スミスという。主人に対してあまりにも不敬な言葉を言い放つ。全く、どちらが主人かがわからなくなりそうだ。
この宝石のように美しい瞳を持った美男子は続けた。
「ですが、そろそろ集中力がなくなってくる頃かと存じますので、ご主人様のお好きな紅茶をご用意させていただきます」
たまに毒を吐く事以外は完璧なのだ。この男は。花が描かれた陶磁器からトクトクと深い琥珀色の液体が注がれる。柑橘系の香りが鼻をくすぐった。
コト、とカップが置かれる。匂いから楽しむのが紳士の嗜みというやつだ。
エドマンドはその様子をじっと見ている。エドマンドが屋敷に来て久しいが、いまだ紅茶を淹れることにはなれていないようだ。
「美味しい」
ほっと息を吐くエドモンド。こういうところが人間らしいと感じる。
そしてまた、背筋を伸ばしこういうのだ。
「当たり前です。」
嬉しいくせに、素直に受け取らないのも、彼らしい。
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