1940年____6月
土砂降りの中で数えきれない程の
銃声が各戦地に轟く。
その中でも1つ。ズバ抜けて
激しい音と戦いが繰り広げられている所があった
そこには
独裁を掲げたハーケンクロイツと
自由を掲げた十字架。
国のモットーも2人の関係性も対立している
いかにも『宿敵』という言葉が似合う。
戦争を象徴するような、冷たく残酷な雨は
2人にこれでもかと言うほど降りかかった
その最中で気味の悪い笑みを浮かべるのは
『ハーケンクロイツ』 ナチス・ドイツ。
卍 …ふっ
十 …なぜ笑う
卍 お前に質問だ
十 質問に質問で返すな…
卍 じゃあ聞くぞ。お前は…
先程まで鳴り響いていた轟音は、気付けば
密度の高い雨音にすり替わっていた。
少しばかり高圧的に話す姿勢をとるナチスに
フランスは固唾を呑んで奴を見つめる。
卍 お前は…
今、ここで私に勝てると思うか?
十 ………
子供の様な無邪気な質問に、
ナチスの嘲笑う感情が露呈している
そんな問いかけに、フランスは良くも悪くも
怒りが湧いてきていた。
しばらくの沈黙が続いた後
ようやくフランスが口を開き始める
十 …負けると思えば負ける。
だから何時も勝つ気でいる、それだけだ。
苛立ちをこめたはずの言葉は
決意のような言葉になっていた
昼なのにも関わらず暗い戦地は
より一層『戦争』と言うものを感じさせる。
その暗くも明るいような場所で
フランスのオッドアイは輝いていた
奴が困惑すると思っていたナチスは
フランスのまっすぐな回答に驚きが出てしまう
が
流石残酷な独裁者と言われただけである彼は
すぐさま表情を変えて見せた。
卍 そうか……お前の答えはそれなのだな
十 ああ、変えることもない
卍 その考えは褒めてやろう。素晴らしい
だが……
背中をとられるのは非常に情けないな?
十 …?
突然の発言に動揺が隠せないフランス。
その謎の発言は
すぐさま痛感することになる。
彼が違和感を感じ振り向いた時には
もう時すでに遅し。
フランスの背に
今までに感じたことのない痛みが身体を蝕む。
頭の良い彼でも気がつくのが遅かった
この痛みが電撃だという事を。
ビリビリ、ヒリヒリと身体を傷つける雷は
フランスの身体全体の細胞を死滅させ
この戦をナチスの勝利へと導いた
十 が……ぁ……
水に電気は鬼に金棒。
いつにも増して痛みが倍増されるのだ。
十 (脳が…働かない……)
ガタ…とその場に膝から崩れ落ちる。
その様はとても見ていられないくらいだった
ザアザアと無慈悲に降り続ける大粒の雨。
1人が倒れ込み1人がそれを見下す…
なんて残酷な世界なのだろうか
卍 さらばだ…自由を掲げし者よ……
お前が…私に勝てることは無いのだ…
十 (もう…痛みすらも…わから……ない)
もう終わりなのだな…私の人生は
“弟”よ、すまない……
いつかお前と芸術を嗜みたかった……
そんな権利はないのだな…私には
平和に生きるんだぞ フランス共和国___
1940 year Jun 22nd
追記:
十字架の旗はヴィシーではなく自由フランスの方でした…ごめんなさいッ…🙏
修正致しましたが、今後も何らかのミスが起こる可能性もあるので大目に見てやってください…!!
精読お疲れ様です!
コメント
7件
作中の日付は降伏(正確に言うと休戦協定)のことっぽいです
きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあ、これが...神作!!
くぁああああああああああああああああああああす、好きだあああああああああああああ すいません今回出てきたフランスって旗的に多分自由フランスの方だと思いますっ(早口)