「風呂、入るか。下着はあとから改めて鑑賞させてもらう」
「そうですね」
そのあと私は広々としたスイートルームを探検し、尊さんはバスルームに行ってお風呂の準備をしてから、ルームサービスでシャンパンを頼んだ。
私たちは夜景を見下ろせるジェットバスで、シャンパンを飲みながら優雅なバスタイムを過ごした。
お風呂から上がったあとは、また尊さんが私の髪を乾かしてくれる。
洗面所にはハイブランドのアメニティがあり、お嬢様気分だ。
(改めて『これからベッドに行くんです』ってなると、恥ずかしいなぁ……)
いつもならポンポン会話をしているのに、緊張した私はいつのまにか口数少なくなっていた。
尊さんはそれを察したのか、ドライヤーをかけ終えて私の髪をサラサラと整えながら言う。
「俺、ちょっとメールチェックするから、先にベッドルームに行っててくれるか?」
「分かりました」
その気遣いがありがたく、私はホッとしながらお礼を言った。
ゆっくりスキンケアをしている間、尊さんは手早く自分の髪を乾かし、バスルームを出ていった。
私は無意識に息を吐いたあと、鏡に映ったバスローブ姿の自分を見る。
(覚悟を決めますか……)
胸の奥で呟いた私は、籐の椅子から立ち上がった。
ドキドキしながらベッドの上で待っていると、それほど待たずに尊さんが来た。
「待たせて悪いな」
「いいえ」
彼は何も言わないけれど、私が恥ずかしくないように気を遣ってくれたのは分かっている。
でもひねくれた人だから、指摘してお礼を言えば「無粋だな」と言われてしまいそうだ。
だから彼のさり気ない優しさは、そのまま受け取っておく事にした。
尊さんはバスローブのベルトを解き、ベッドの上に乗る。
「ん」
そして、私の手にポンとブラウンの箱を置いた。
「へっ?」
エッチが始まると思っていた私は、いきなりプレゼントを渡されて声を漏らす。
そして手にある箱を見て、思わず恐れおののいてしまった。
ブラウンとグレーが混じったような色味の箱には、シャンパンゴールドの字でブルガリのロゴが刻まれていた。
「もっ、もらえません! 何で!?」
「クリスマスだろうが」
「あっ、やっ、そうだけど……!」
私も尊さんにクリスマスプレゼントを用意していて、明日の朝にブランド物のネクタイを渡そうと思っていた。
フライングされた……。いや、そうじゃなく。
「ていうか、もらえないって言われても困るよ。俺がつける訳にいかねぇし」
「そりゃそうですけど……」
私は溜め息をつき、オレンジのリボンが掛かった正方形の箱を見つめる。
「じゃ、じゃあ……見るだけ……」
緊張しながら箱を開くと、中にはシンプルなシルバーのペンダントがあった。
シンプルと言ってもリング状のチャームにはブランドの名前が刻まれていて、一目見れば超高級品だと分かる代物だ。
デザインはシンプルでも、チャームの側面にはメレダイヤがびっしりついている。
うう……、幾らするんだろう。
ていうか、先日のヴァンクリのアルハンブラもだし……。
「そういうの似合いそうだと思って。普段着ている服もクール系が多いし、ピンクゴールドとか可愛い系よりは、シルバーのほうが身につけやすいかな、って」
「……あ、ありがとうございます……」
そういうところを見て、プレゼントを選んでもらえたのは嬉しい。
「つけてやるよ」
尊さんはそう言って、ペンダントを手に取る。
「髪、前によけて」
「はい」
ペンダントをつけてもらうだけなのに、物凄くドキドキする。
私はロングヘアをうなじから左右に分け、胸の前に垂らした。
「……ほっせぇ首」
コメント
2件
素敵過ぎるクリスマスプレゼント....🎄🎁💝✨ そして、自ら付けてくれる優しさにズキューーーン♥️♥️♥️(///ω///)
ん〜(*^^*)❤できたオトコ( ー̀дー́)و 朱里ちゃんいーなー(*´v`)