ベイビー、アイラブユー

少しして、ツアーが始まった。

2人部屋が与えられる事になって、康二とラウールは早くもめめの争奪戦を始めている。

🖤「俺、阿部ちゃんと一緒にできますか」

めめが放った一言に、俺はもちろん、みんなも固まる。

💚「どうして？」

努めて冷静に尋ねると、『色々相談事とかしたいから』とめめは答えた。

あぁ、恋の経過を聞くんだと思いながら『俺は全然いいよ』と返し、かくて俺とめめが同室になった。

さすがに密室で2人きりでは、今の自分が何をするかわからないから今日は何もせずに過ごそうと思っていた。

けど、部屋に弁当を持ったふっかが現れたり、康二やラウールが遊びに来ていったりと人の出入りも多く、2人になった頃にはお互いぐったりだった。

ベッドに沈むと気持ちよくて、杞憂だったな、このまま寝てしまおうと思ったその時。

🖤「今日は何もしないんだね」

確かにめめがそう言って、俺は顔が上げられなかった。

必死に言葉を探したけど、結局とぼけるしかなかった。

💚「何のこと？」

🖤「阿部ちゃんに俺、ずっと恋の話してたよね」

💚「それは、うん」

めめはベッドに座ってこちらを見ている。俺も寝転んだまま辛うじて顔を向けた。

🖤「あれから、俺付き合ったの」

💚「…良かったじゃん」

全然嬉しそうに言えなかった。めめも同じ事を言って笑う。

🖤「だけどさ、すぐ別れたんだ」

💚「え？何で…」

わざとだろ、と言いたくなるくらいの大きなため息をついて

🖤「ほんとさ、どうしてくれんの。もうめちゃくちゃだよ」

と言い出した。

💚「意味がわからない…」