テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
その日の夜。
びしょ濡れのまま帰った涼ちゃんは、
とりあえずシャワーだけ浴びてベッドに倒れ込んだ。
(なんか…だるいな)
そう思いながらも、
(まぁ寝れば治るでしょ)
くらいに思っていた。
――次の日の朝。
目が覚めた瞬間、違和感があった。
体が重い。
頭がぼーっとする。
「……あれ」
涼ちゃんはゆっくり体を起こす。
喉も少し痛い。
なんとなく嫌な予感がして、体温計を手に取る。
ピッ
しばらくして表示された数字を見て、
「……はぁ?」
思わず声が出た。
38.2℃
涼ちゃんはベッドの上で頭を抱える。
「マジかよ…」
昨日の大雨が頭に浮かぶ。
びしょ濡れの服。
冷たい風。
(あーもう…)
ベッドに顔を埋める。
「なんで今なんだよ…」
今日もスタジオがある。
曲もまだ途中だし、
みんなで合わせる予定だった。
それなのに。
タイミングが最悪だった。
涼ちゃんは少しイライラしたように髪をかく。
「はぁ……」
熱があることよりも、
このタイミングで体調を崩した自分に腹が立つ。
(昨日なんであんな濡れたんだよオレ)
(着替えろよ)
(もっと早く帰れよ)
頭の中でぐるぐる考える。
でももうどうにもならない。
天井を見ながら小さく呟く。
「……最悪」
そして、ふと思い出す。
昨日、スタジオで弦を渡したときの若井の顔。
少しだけ黙っていた。
あれが何だったのかは分からない。
涼ちゃんは小さく息を吐く。
「……今日、スタジオ行けないな」
スマホを手に取る。
メッセージを送る前に、
少しだけ画面を見つめた。
それから短く打つ。
「ごめん、熱出た」
送信ボタンを押す。
そのままベッドに倒れ込んだ。
窓の外は、まだ少しだけ雨が降っていた。
RanJam
#病み