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涼ちゃんはスマホを握ったまま、ベッドに倒れていた。
送ったメッセージ。
「ごめん、熱出た」
画面を見る。
……既読がつかない。
数分経っても、つかない。
元貴も、若井も、誰も。
(……まだ寝てるのかな)
それとも、もうスタジオに向かってるのかもしれない。
でも。
もしこのまま既読がつかなかったら。
(休むって…伝わらないよな)
涼ちゃんは少しだけ眉を寄せる。
(……てか)
ふと、思う。
(このくらいなら行けるんじゃないか)
熱はある。
体もだるい。
でも、動けないほどじゃない。
昨日もスタジオで色々話していたし、
レコーディングの予定もある。
(ここで休んだら…)
頭の中で、いろんなことがぐるぐる回る。
しばらく画面を見つめたあと、
涼ちゃんは小さく息を吐いた。
そして。
送信を取り消した。
「……はぁ」
ゆっくり体を起こす。
体が重い。
頭もぼんやりする。
それでも、ベッドから降りた。
クローゼットを開けて、
普段より少し厚めのパーカーを取り出す。
長袖を重ねて、首元も隠す。
鏡を見る。
顔は少し赤い。
「……まぁ、いけるでしょ」
小さく呟く。
バッグを持って、家を出た。
スタジオへ向かう道。
歩くだけで、少し息が上がる。
体もだるい。
でも涼ちゃんは歩き続けた。
(大丈夫大丈夫)
自分に言い聞かせる。
(レコーディング終われば帰れるし)
スタジオの前に着く。
ドアを開ける。
中から元貴の声が聞こえた。
「お、涼ちゃん」
みんなが振り向く。
涼ちゃんは少し笑う。
「おはよ」
そう言いながら、静かに中へ入った。
誰もまだ気づいていない。
涼ちゃんが熱を出していることに。
RanJam
#病み