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でもそこがいいんだろ!?
リリアーヌの魅力は外面の記号だけじゃないんだ! あのふわっとした、春の日向の匂いがしそうなクリーム色の髪!
すべてを見透かすように透き通るような群青色の瞳!
ちょっと自信なさげだけど、実は芯の強い、不器用で真っ直ぐな性格!
そして、俺だけに見せる、泣いた時にほんのり赤くなる目元と、左目の下の小さな泣きぼくろ……
あれが、どれほど最高に愛おしいか分かってんのか!?
むしろその控えめさこそが『俺が隣にいて支えてあげなきゃいけないんだ』っていう、全細胞が震えるような独占欲と守護感情を掻き立てる
奇跡的な黄金比のポイントなんだぞ!?
ブスって誰基準で言ってんだよ、俺の推しをバカにすんな!!
まずそもそも美しさの尺度ってのは個々人の極めて主観的な感性に基づくものであって
自分の矮小で偏った価値観だけで他人を否定して優越感に浸るなんて、知性の欠片も感じられないナンセンスすぎる行為だし
それに比べてリリアーヌは中身も外見も、俺にとっては全次元・全宇宙・全歴史を通じても最強かつ唯一無二のSSR級特効ヒロインなんだから
下手にいじるとガチ恋勢から総攻撃食らうぞ。
特に、人生のすべてを彼女に捧げると決めた俺みたいな過激派・限界オタクからはなっ!!!
………
刹那的に頭の中で五十年分くらいの早口独白を済ませた俺は、怒りで震えそうになる唇を必死に噛みしめた。
今にも泣きそうなリリアーヌの前で、醜い怒声をぶつけるわけにはいかない。
感情を鋼の意思で押し殺し、代わりに絶対零度よりも冷酷な眼差しを令嬢たちに向ける。
「失礼ながら、貴殿らの審美眼は随分と偏狭であるようです。我が麗しい姫君の美しさは外面だけではありませんから。……失礼致します」
これ以上、この汚れた空気を彼女に吸わせたくない。
ことを荒立てぬよう、貴族としての最低限の礼節を形だけ保って一礼し
俺はリリアーヌの細い手首をそっと、しかし二度と離さないという強い意志を込めて引いた。
令嬢たちから遠ざけるように歩き出す。
だが、数歩進んだところで、リリアーヌが震える小さな声を出した。
「……っ、別に…私一人でも大丈夫だったのに、余計なことしないでよ」
涙を湛えたまま、顔を伏せてポツリと呟くその姿があまりにも健気すぎて、俺の胸がギュンと疼いた。
「余計なことしないでよ」と、いつものツンツンした態度で怒鳴りそうなセリフなのに。
今の彼女は、まるで「自分のせいで貴方にまで迷惑をかけてしまった」と謝っているような、申し訳なさに満ちた表情と声色だった。
しんどい。可愛すぎて今すぐその場で抱きしめたい。全力で慰めたい。
「ごめん。リリアーヌが泣きそうな顔してたから…」
「なっ!な、泣きそうになんてなってないわ!! 勘違いしないで……っ」
強がりながらも、我慢しきれずに一粒の涙が彼女の頬を伝い落ちる。