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そのまま十分ほど走ってから、彼女はようやく走るのをやめて歩き出した。手はつないだまま。
「僕は恋愛経験全然ないから分からないけど、元彼と会うのってそんなに嫌なもの?」
「ただの元彼なら気にしないだろうな。前から言ってるが、リクはボクにひどいことをいっぱいしたんだ。今は一秒だって同じ空気を吸いたくない」
「ひどいことってたとえば?」
「性的な話だというのは分かるよな。まして女子であるボクに対してそんなふうに軽々しく性的な質問をしてはいけないんじゃないか?」
「ごめん。デリカシーなかったね。言いたくないなら言わなくていいよ」
「まあいいか。夏梅は自分が童貞のくせに非処女のボクを恋人にしてくれた心の広い男だもんな。それにリクは彼氏のいる女を寝取るのが大好きなんだ。しかも性格の悪いやつだから、寝取ったあとはおまえの女にこんなことをしてやったと彼氏にいちいち報告するんだ。夏梅にも会ってバラそうとしてくるかもしれない。リクにバラされるくらいなら、ボクの口から教えたい」
リクとはさっきちょっと話しただけだけど、ずっとニタニタ笑っていて性格がよくないのは分かる。しかも寝取るのが大好き?
彼女がそれを知っているということは、きっとリクとの交際中に何度も浮気されたのだろう。浮気相手は彼氏のいる女が多かったわけか。彼女の言う〈ひどいこと〉はそういう類の話だろうと予想した――