テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
4,944
#不遇職
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
中部街にあるローベルク家の前に、黒騎士の騎士服を身に纏った2人の男が立っていた。
「まさか、ギルベルト様に女顔出来るとはなぁ?噂だと、めちゃくちゃ可愛いいらしいじゃん?」
「口を慎め、公爵家の前だぞ」
「誰も出て来てねーんだから、良いだろ?てか、女嫌いのお前がよく引き受けたな」
「うるさくて、下品な女が嫌いなだけです。団長からの直々に頼まれしたので」
小麦色の肌をした男の問い掛けに、眼鏡を掛けた男は冷静に答える。
「引きこもりのミラまで、俺達と一緒に来たしよ…。何者なんだ?芣婭って子はよ、ミラ」
「んー、不思議な子だよ。今日は色々と聞きたい事もあるし」
「あ?聞きたい事?」
「お待ちしておりました、魔法医師御一行様」
小麦色の肌の男とミラが話していると、執事長のグロービィが門を開けながら声をかけてきた。
***
甘野芣婭(17歳)
チュチュチュチュ…。
「…」
自然と目を覚まし、脳内で昨日の出来事を思い出していた。
今考えてみたら、結構ヤバかったよね!?
可愛いって、何回か言ってたし!?
と言うか、不細工な寝顔を晒してしまったんだよね!!?
「はぁああ…」
思わず大きな溜め息を吐くと、芣婭の膝の上で猫の姿に変えて寝ている2人の耳が動く。
「あっ、起こさないように…、そっと…。そっと…」
ケロちゃんとベロちゃんを優しく抱き上げて、布団の上に置き直し、静かにベットから抜け出す。
ふと、テーブルに飾られたピンクの薔薇達と、1枚の紙れに目が止まる。
何も考えずに紙を手に取ると、ギルベルト君の名前が見えた。
「芣婭が寝てから書いてくれたのかな?なになに…?」
紙切れ書かれていたのは、1週間後に必ず帰って来る事、芣婭に護衛騎士を2人付ける事が書かれていた。
「護衛騎…、何故に??それにしても…。んー!!!めちゃくちゃ体が軽い。ほっ、ほっ!!!」
その場で中腰の体勢のまま、ジャブを何発も撃ち続けても疲れない。
「え、全然疲れないんだけど?おらおらおらー!!!パンチ、パンチ!!!」
シュシュシュシュッ!!!
「ふ、芣婭様?」
声のした方に視線を向けると、シーちゃんと昨日のツートンカラーの男の子が立っていた。
「あははは!!!それだけ動ければ、大丈夫そうだね!!!だけど、診察はさせて下さいね?」
「あ、おにーさんは昨日の!!!えっと?」
「ミラです」
「ミラ…、じゃあミー君だね。ミー君のポーションのおかげで、元気になりました」
芣婭がミー君にお礼をしていると、ケロちゃんとベロちゃんが足に擦り寄ってくる。
2人を両手で抱き上げていると、ミー君が聞きづらそうに尋ねてきた。
「その、診察した時に手首の刻印を見てしまったのですが…。芣婭嬢は悪魔と契約なさっているのですか?」
ミー君の言葉を聞いたケロちゃんとベルちゃんの耳が、ピクッと反応する。
「え?うん、そだよ⭐︎と言うか、ふ…」
「おいおい、いつまで俺達を廊下で待たせる気だよ?ミラ」
芣婭の言葉を遮るように、男の人の声がしたと思ったら、2人部屋の中に入って来た。
小麦色の肌に切れ長の赤い瞳、唇や眉にピアスが開いていて、耳にも沢山のピアスが嵌められている。
印象的なドレッドヘアーに、派手なピンクの長めのターバンが巻かれ、着崩された騎士服から赤色のトライバルのタトゥーが見えた。
「ニックス!!!勝手に部屋に入って来るな」
「そんな怖い顔すんなよ、シエサ。おっ、アンタが噂の芣婭様?」
シーちゃんの横を通り過ぎて、ニックスと呼ばれた男の人が芣婭に近付いてきた。
ジーッと、芣婭の顔を見始めると、背後から誰かに首根っこを掴まれる。
グイッ!!!
「グヘッ!?何すんだよ、レヴァ!!!」
「いきなり女性の顔を、まじまじと見るものではありません」
「肩とか掴めば良いだろ!?首じゃなくてよ」
ドレッド君の言葉を無視して、騎士服をキッチリ着ている男の人が芣婭に頭を下げた。
シルバーアッシュカラーの短髪はツーブロックにしていて、色白の肌にターコイズブルーの綺麗な瞳がよく映えている。
ブルー味掛かった眼鏡、眼鏡チェーンにもターコイズが装飾され、綺麗なお兄さんだ。
2人とも、左肩に赤いマントが付いてる。
「申し訳ございません、芣婭様。ニックスが無礼を働きまして」
ぶ、無礼って、お兄さん難しい言葉を使うなぁ…。
「お兄さん、めちゃお綺麗!!!よく言われません?」
「そっ、そんな事言われませんよっ…。お、恐れ入ります」
思わず褒めてしまうと、眼鏡お兄さんは耳を赤くさせながら芣婭から顔を逸らす。
「お前等…、芣婭様の着替えも済ませてないのに、部屋に入って来るな!!!」
「へ!?」
「ハッ!!!も、申し訳ございませんっ…」
「それは良いんだけど、この人達と知り合いなんだね?シーちゃん」
芣婭の言葉を聞いたシーちゃんは、気まずそうに顔を背ける。
「おいおい、お前が敬語なんて似合わないって。何?この子に言ってないのか?」
「芣婭に言ってない事?」
「シエサは元、俺等の騎士団に所属してて、しかも副団長だったの」
「余計な事を言うな!!!」
ドレッド君と芣婭の会話に、シーちゃんが怒りながら入ってきた。
「シーちゃんが騎士団に所属してたって事は、コンラット達みたいにカッコイイ騎士服を着てたって事だよね?」
「は、はい、もう何年か前の事ですから…」
シーちゃんの返答を聞きながら、シーちゃんの騎士服姿を想像する。
さっきみたいな乱暴な話し方で、剣を持ってるシーちゃん…。
やば、カッコイイじゃん!!!
「シーちゃん!!!めちゃくちゃ、カッコイイじゃん!!!写真とかないの!?芣婭、シーちゃんの騎士姿見たい!!!」
「え!?しゃ、写真ですか?カーディアック家に行けば、あると思いますが…。芣婭様は、私の言葉使いを聞いて…、その…、幻滅したりしないのですか?」
「言葉使い?あー、さっきみたな乱暴な感じの?ぜーんぜん?芣婭は敬語の方が慣れないかなぁ。気を使ってほしくないしさ?友達なのに、敬語とかないっしょ」
芣婭の言葉を聞いたシーちゃん達は、すごく驚いてる感じだった。
そんなに驚く事はないと思うんだけど…。
やっぱ、芣婭の常識は異世界に通じないのか…?
ボンボンッ!!!
カチャッ。
芣婭の目の前に煙が立ち込み、ドレッド君と眼鏡お兄さんの2人が腰に下げていた剣を抜く。
「あ、ケロちゃん、ベロちゃん」
「ケロちゃんとベロちゃん?この2人の事ですか?一体、何者なんですか?黒猫が人間に化けた…?」
ミー君は突然、人間の姿になった2人を見て混乱しているようだった。
「ドレッド君、眼鏡お兄さん!!!ケロちゃんとベロちゃんは敵じゃないから!!!えっと、剣を下げてもろても…?」
「ドレッド君?」
「眼鏡お兄さん?とは、僕の事なのか?芣婭様がそうおっしゃるなら」
カチャッ。
ドレッド君と眼鏡お兄さんは、芣婭の言葉を聞いて剣を下ろしてくれた。
ホッとしいてると、ケロちゃんが芣婭の体を強く抱き寄せ、眉間に皺を寄せたベロちゃんが前に立つ。
「お前は魔法医師だったか?俺等の正体が知りたいなら教えてやるよ。ケルベロス、名前く来聞いた事があんだろ」
「ケルベロス!?まさか、冥界の番犬と呼ばれた狂犬の悪魔と契約していたと言う訳ですか。その首に着けられた首輪、宝石の色が芣婭様と同じ色…。名付けの儀式も、既に済ませていると…」
ベロちゃんの話を聞いた眼鏡お兄さんは、眼鏡を掛け直しながら呟く。
「これが聞きたかったんだろ、教えてやったんだから感謝しろよ。聞かれる前に言っとくが、芣婭はこの世界の人間じゃねぇ、異世界人だ」
「「え!!?」」」
ミー君、ドレッド君、眼鏡お兄さんの3人が、一斉に芣婭の方に視線を向ける。
コンコンッ。
「芣婭様、朝食の御用意が出来ましたが、いかがなさいますか?」
「あ、グロおじだ。とりま、朝ごはん食べながら話そ?芣婭、お腹空いちゃった」
「「「…」」」
グロおじが扉をノックして来たので一旦、芣婭達は会話を終えた。
***
同時刻 ルナ帝国 上部街の裏側に位置する魔石洞窟周辺
皇帝ガルシアの命により、ギルベルト率いる黒騎士はゴブリン討伐に訪れていただが…。
ズシャッ!!!
「グアアアアアアアアッ!!!」
「ちょいちょい!!!森にもゴブリン達が待ち構えてたんですけど!?どうなってんすか!?」
ヒューズはそう言いながら、襲い掛かって来たゴブリンを斬り付ける。
ギルベルト達が森の中を訪れた瞬間、武装していたゴブリン達が待ち構えており、黒騎士団達に一斉に飛び掛かったのだ。
ドンッ!!!
ブシャアアアアアアッ!!!
黒髪のセミロングのウルフカットに獣の耳が揺れ、色白の肌にピンクアッシュの瞳、左肩に青色のマントが付いた騎士服を肩に掛け、黒のチューブトップに黒のダメージが効いたスキニーを履いている女性がゴブリンの頭を踏み付ける。
獣人族の女性に踏まれた瞬間、地面に叩き付けられたトマトのように、血と血や眼球が飛び出す。
「うわぁ!!!相変わらず容赦ないなー、エリアは。蹴りだけで、ゴブリンの頭がぶっ飛んでる」
「しっかりしてよ、ヒューズ。アンタ、第1部隊の副隊長でしょ?率先して、ゴブリンを殺さないといけないんじゃないの?」
「いやー、エリア達獣人部隊がゴブリン達を一掃してくれてるじゃないかー。俺の出る番ないわー」
ヒューズの言葉を聞いたエリアは、明らかに嫌そうな顔をした。
黒騎士の左肩に付いているマントは、黒騎士団の中のどの部隊に所属しているのかを、マントの色と長さで示していた。
足首までの長さのマントは部隊長、脹脛までの長さは副部隊長、太ももまでの長さは隊員になっており、コンラット率いる第1部隊は赤、第2部隊は青、第3部隊はターコイズブルー。
特に第2部隊のメンバーは、団長以外は獣人族である。
「コンラットとギルベルト様は?」
「聞いてよ、エリア!!!あの2人、俺の事を置いてさー、先に洞窟に行っちゃたんだよ!!!」
「…、最初から追い掛ける気なでしょ?アンタ」
「ピュー、ピュー」
エリアの問い掛けに答えずに、ヒューズは顔を逸らしながら口笛を吹いた。
ガチャンッ、ガチャンッ!!!
「なっ!?何で、鎧が勝手に!!?壊れた…?」
「おい、お前!!!何かしたんだろ!?」
武装していたゴブリン達だったが、ある男の前に立った瞬間、着ていた鎧が破壊されたのだ。
パーマが掛かったグリーンアッシュの髪は、細かく紫色のメッシュがありセンター分けされ、髭は丁寧に整えてあり、黒いサングラスを着けた男はあ気怠気に口を開く。
「はぁ…、せっかくの休暇だってのによぉ…。お前等がのさばり出した所為で、出勤しなくちゃいけなくなったじゃないか」
「はぁ!?それは俺等に関係ないだろ!?」
「おい、コイツを取り囲め!!!先にコイツを殺す!!!」
男の言葉を聞き、腹を立てた1人のゴブリンが仲間を集めてサングラスの男の周りに、数人の武装したゴブリン達が集まる。
「ったく、何人集まろーが同じだっつーの…」
「殺せぇええ!!!」
「「キイエエエエッ!!!」」
バッ!!!
武装したゴブリン達が一斉に、サングラスの男に飛び掛かった瞬間だった。
「武装解除」
パチンッ。
サングラスの男が呟きながら指を鳴らすと、ゴブリン達が着ていた鎧に魔法陣が現れ、一瞬で破壊される。
ガチャンッ、ガチャンッ!!!
*武装解除、武相手の身に付けている物を強制的に外す魔法。
ただし、魔力での阻害があると失敗する可能性があります*
「だから言ったろ、束になっても無駄だってな」
カチッ。
そう言いながら、サングラスの男をは煙草を咥え、ライターで火を付ける。
「鎧が壊されたって、剣があんだよ!!!死ねぇ!!!」
ブンッ!!!
ゴキッ!!!
小太りのゴブリンが、サングラスの男に剣を振り下ろそうとした瞬間、背後から現れたエリアに顔に蹴りを入れられた。
「ゴフッ!!!」
ドサッ。
首が横に思いっきり曲がり、血を噴きながら地面に倒れ込む。
「クソがあああ!!!アガッ!?」
エリアに向かって行った痩せ型のゴブリンが槍を構えながら走り出すが、エリアはゴブリンの顔を鷲掴みする。
ガシッ。
「邪魔」
エリアはそう言いながら、ゴブリン顔を掴んだまま地面に強く叩き付けた。
ゴンッ、ブシャッ!!!
地面に叩き付けられたゴブリンの顔は潰され血が噴き出し、エリアが頭を持ち上げると、ゴブリンの顔はもはや原型を留めていなかった。
「副団長に続けええ!!!」
「「おおおお!!!」」
エリアと共に合流した獣人族の兵士達は、集まって来ていたゴブリン達と戦闘を始める。
「エリア、ヒューズ達の方は片付いたのか?」
「ローレンツ、仕事サボってたでしょ。隊長なのに、あたし等に仕事させ過ぎ」
「そう言っても、エリアは俺の事を助けてくれんだろ?」
ローレンツと呼ばれた男は、サングラスを少しずらしてエリアの顔を覗き込む。
「ふ、ふん!!!いつもいつも、あたしが来れる訳じゃないんだからね!?」
そう言って、エリアは赤くなった顔を見られないように背ける。
「ローレンツ隊長!!!こっちは片付きやしたぜ」
「おう、ご苦労」
「ウッス!!!」
ローレンンツに報告来た獣人の1人は、嬉しそうに返事をし尻尾を揺らす。
「あらたか、森にいたゴブリン達は殺れたけど。なんか、妙じゃない?」
「ゴブリン達が着ていた鎧の事だろ?見覚えがあるもんなぁ。あー、やっぱりな」
エリアの話を聞きながら、ローレンツは砕かれた鎧の破片を手に取った。
拾った鎧の破片は胸の部分の物で、月の女神ルナの肖像が彫られてあるのが見える。
ローレンツは鎧の破片を見ながら、エリアに尋ねた。
「我ルナ帝国に加護を与えた女神の肖像が、胸部分に彫られている鎧を着る騎士団はよ?1つの団しかないよな」
「白騎士団しかいない。宮廷騎士団の鎧にしか、女神の肖像を掘る事は許されていな…。コイツ等が着ていたのは、白騎士団の鎧だったって事でしょ?ゴブリン達が盗んで、着ていた…って所?」
「エリア、宮廷の警備の高さは知ってるだろ。宮廷全体に結界が張られ、24時間体制で警備を行っている。ゴブリン達が安易と入れるものじゃない」
ローレンツの言葉を聞いたエリアは、驚いた顔をしながら口を開く。
「まさか、宮廷の中の人間が意図的に渡していた…?ゴブリン達に?何の目的で?」
「ゆっくり話したい所だが、構ってほしそうな奴等が来たぞ」
「チッ」
再び現れたゴブリン達を見て、エリアは舌打ちをして睨み付ける。
ローレンツの周りを獣人達が固め、ローレンツはサングラスを掛け直した。
***
甘野芣婭(17歳)
シーちゃんに着替えを手伝って貰ってから、芣婭達は食堂に向かう事に。
今日のコーデは上は、胸元がV字にカットされた黒の
タイトな長袖に、水色のフリフリなロングスカートのワンピース。
髪型は緩くハーフアップにアレンジされ、黒色の大きなリボンを付けてくれた。
勿論、ワンピースはマダムロザリアの物だ。
シーちゃんがあ扉を開けてくれて中に入ると、座っていたミー君達が一斉に立ち上がる。
「ちょっ!?そんな、かしこまらないで!?座って、座って!!!」
「芣婭嬢がこう言ってくれてるし、座ろうか」
「座ろ、座ろ」
「おはようございます、芣婭様!!!」
ミー君達が座ってから、グロおじに椅子を引かれて座るとシェフおじが声をかけてきた。
シェフおじの前に置かれた大きめのワゴンの上に、切り込みが入れられたクロワッサン、ハムや卵、きゅうりやトマトが並べられている。
隣の大鍋からはコンソメの香りがし、中にスープが入ってるのが分かった。
「おはよ、シェフおじ。今日はなんか、パーティみたいだね」
「芣婭様の不安を無くす為に、これからは芣婭様の目の前で調理をしようと思いまして!!!いつも、果物ばかりだと栄養が偏りますから。食欲がなければ、スープもご用出来ます」
「芣婭の為にわざわざ…?申し訳ないなぁ…、でも嬉しい!!!ありがと、シェフおじ。芣婭、お腹ぺこぺこ」
芣婭の言葉を聞いたシェフおじは、照れながら嬉しそうに食事の準備を始める。
「芣婭様、先程は失礼致しました。ここに来たのは、芣婭様の護衛騎士になったので御挨拶に伺いました」
「ごえーきし…、つまりSPって事か」
「SP?聞いた事がない言葉ですね」
眼鏡お兄さんは眼鏡を掛け直しながら、不思議そうに答える。
「あ、そっか。さっきの話の続きをしないとね」
芣婭は眼鏡お兄さん達に、ここに来た経緯を話だして数分…。
「興味深いです!!!つまり、ケルベロスと契約した際に何んらかの影響で、こちらの世界に来たと。そんな事、今まで聞いた事がありません!!!興味深いなぁ…」
「悪いな、芣婭様。コイツ、未知な事を知ると興奮すんだよ」
興奮している眼鏡お兄さんの横から、ドレッド君が謝ってきた。
「少し驚いたけど、大丈夫!!!そんな訳だから、芣婭い様付けしなくて良いからね?ドレッド君」
「あはは!!!分かった、じゃあ芣婭ちゃんって呼ぶ事にするな?俺はドレッド君じゃなくて、ニックス・ブラウンって言うの。ニックスで良いよ、お前も興奮してないで自己紹介しろ」
「ハッ!!!し、失礼致しました。私はレヴァリオ・
ヴェスパーと言います、レヴァリオと呼んで下さい」
2人は丁寧に自己紹介してくれたけど…、名前覚えられるかな…。
「あの、嫌じゃなかったらだけど。レヴァ…さんって呼んでもおけ?」
「私も構いませんよ」
「へー、珍しい事もあんな?お前がそう言うなんてよ。芣婭ちゃん、レヴァが女と普通に話す事なんて、ほとんどないんだぜ?しかも、同じ黒騎士団のエリアと元団員のシエサだけ」
レヴァさんと話してると、ニックが割って入ってきた。
「お前、芣婭に色目使うなよ」
「なっ!?そ、そんなもの使いませんよ!?」
ベロちゃんに睨まれたリヴァさんは、慌てて否定する。
なんか、異世界に来てから楽しい事ばかりだなぁ…。
芣婭いた世界でも楽しい事はあったけど、異世界にいる方が楽しいし…。
お兄ちゃん…は、どうしてるかな。
芣婭がいなくなったから、めちゃ心配しいてると思う。
プニッ。
お兄ちゃんの事を考えていると、ケロちゃんが芣婭の頬を指で突いて来た。
「ケ、ケロちゃん?」
「フッ、やっと俺の事を見ましたね?今日、初めて芣婭と目が合いました」
「へぇ!?も、も〜、ケロちゃんたらっ!!!メロ過ぎ!!!」
ケロちゃんの突然メロ発言んい面食い、顔が真っ赤に染まって行くのが分かる。
「あ、そう言えば芣婭。今日、やりたい事あるんだけど…」
「やりたい事?何ですか?」
「芣婭、魔法が使えるようになりたい!!!」
ミー君の問い掛けに、芣婭は元気よく答えた。
「あれ?芣婭ちゃんは異世界人だから、魔力はないんじゃ?」
「それがね、ニック。芣婭の謎の発熱は体の中に、魔力が作られたかららしいの。なら、芣婭も魔法使えるんじゃない?芣婭だって、異世界みたいな事したい!!!」
「あー、成る程。それなら…」
「僕の仕事場に来たらいいよ」
ニックと話していると背後から声が聞こえ、振り向くとシュバルトお兄さんが立っていた。
ニックとリヴァさんは立ち上がり、シュバルトお兄さんに頭下げる。
「あ、シュバルトお兄さん」
「芣婭さん、体調は良さそうだね。魔法が使えるようになりたいんだって?なら尚更、僕の職場に遊びにおいで」
「シュバルトお兄さんの?お仕事って、何してるの?」
「魔法省の省長をしながら、魔法と魔道具の研究してるよ」
シュバルトお兄さんの言葉を聞いていると、優しく頭を撫でてくれた。
「君自身の護身に使えるし、魔法を使えるようになっていた方が良い。ここに居る皆んなで、行こうじゃないか」
「魔法省とかテンション上がるワードだ!!!超楽しみなんですけど!!!早く行こっ」
「分かった、分かった。娘の頼みだからね、馬車の用意をさせよう。食事が済んでいるなら、行こうか」
椅子から腰を上げると、ベロちゃんが芣婭の手を掴む。
「芣婭、俺等は用があるから別行動な」
「え、用事?」
「あぁ、大事な用事だ」
芣婭の質問に答えたベロちゃんは、何故か意地悪な笑みを浮かべた。
まさか、芣婭が知らない所で、とんでもない事が起きておるとは思ってもみなかった。