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恵菜が自宅でくつろいでいる時、実家の母から電話が掛かってきた。


『もしもし』


『恵菜? 久しぶりだね。数日前、勇人くんのご両親にお中元を送ったら、今日、向こうのお母さんからお礼の電話が掛かってきたよ』


『そうなんだ。いつもありがとう』


『まぁ、それはいいとして……』


電話の向こう側の母が、少しの間、黙り込んだ。


『あれ? お母さん?』


何か話しにくい事でもあるのか、恵菜は声を掛ける。


『…………勇人くんのお母さん、ちょっと変わりモノじゃない?』


『変わりモノ?』


『あのお母さん、おしゃべりな性格なのかね? お中元が届いたっていう知らせの電話だけのはずなのにさ、一時間近く、ず〜〜っっと喋ってんの。思わず何分話したか、時計でチェックしちゃったよ!』


『ああ…………確かに、おしゃべり好きかもね』


恵菜は苦笑を浮かべ、居住いずまいを正した。


『あのお母さん、“恵菜さん、結婚して急激に太ったから、お母さんからも痩せるように言って下さい”なんて言ってきたのよ。そんな事、わざわざ嫁の母親に言う?』


『…………マジ?』


『向こうのお母さんから、“恵菜さんには、私がお母さんに言った事、内緒にしておいて下さいね”って言われたけどさ、何かムカついたから恵菜に報告したんだけどね……』


うちの母親にまで、あの義母は言ったのか。


恵菜は、呆れを通り越して、乾いた笑みを零すしかなかった。




良子のダイエット推奨発言と同時期に、夫の勇人は帰宅が遅くなり、会社の同僚や野球部の仲間と飲みに行く機会が、格段に増えた。


時々、女性用の香水の残り香を、フワリと纏わせながら帰宅する事もある。


それは決まって、野球部のメンツと飲みに行った日。


(香水の主は……マネージャーだった女だろうね……)


恵菜は、勇人と、彼の事を高校時代から想い続けている、野球部の一年後輩、汐田 理穂(しおた りほ)の不倫を疑った。


(まぁ……私が二十キロも太ったし、勇人も、私を女として見られなくなったんだろうけど……)


結婚して二年、既に二人はセックスレスの状態。


恵菜は、悶々とした気持ちに白黒付けたいと、勇人が風呂に入っている時に、こっそりとスマートフォンを覗き見した。

Caro mio ben 〜俺と恋を始めよう

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