テラーノベル
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夜の街並みを車で走る。俺はこの仕事が好きだ。
お客さん。どちらまで行きますか?
俺はただのタクシードライバー。深く人と関わることも、陽気に話すこともできないが…運転だけは自信がある。
ええと…ここまでお願いできますか?
乗車した女性はスマホを見せてくる。
わかりました。
エンジンをかけて、夜を駆け抜ける。
…お客さん、終電逃したんですか?
えっ…あ〜そうなんですよね……恥ずかしい話なんですけど………
夜には色々な人がいる。俺はその人たちの話を聞くことが好きだ。
私もよく逃しますよ…意外と早いですよね、終電が無くなるのって
ですよね…あはは……
お客さん、ついてませんでしたね…
…でも、そんなことなかったんですよね
…え?
あ…その……公園あるじゃないですか。近くに。
ああ…ありますね。それがどうかしたんですか?
あそこの、普通の景色を見て…なんだか心が軽くなったんですよね。
心が…ですか
そうなんです…おかしな話ですよね
いえ、いいと思います。そういうの
…そうですか。ならよかったです
タクシーを停止させる。
ここで大丈夫ですかね。ありがとうございました。
どうもありがとうございました〜
お客さんを下ろし、再び夜の街を走らせる。
自分だけでは味わえない、人それぞれの夜。
…やっぱこの仕事好きだな
今宵も車が街を駆け抜ける。心地の良い音と共に。
コメント
5件
終電逃しちゃったオネイサン! 夜のタクシーって昼間のタクシーよりかっこよく見えるフェルターかかるよね
あら、すごく趣のあるお話ですね…!夜のタクシーという、すれ違うだけの関係性だからこそ交わされる会話の距離感が、とても丁寧に描かれているなと思いました。 特に「自分の夜」と「人の夜」を重ねて見つめる運転手さんの視点に、じんわりと心が温かくなりました。公園の景色で心が軽くなった、というお客さんの言葉も、なんだか大事にしたくなる一文ですね。静かで優しい、素敵な夜の一片でした🌙
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#オリジナル
えれめんたる
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