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医師はしばらく言葉を選んでいた。
診察室の空気が、さらに重くなる。
そして静かに、はっきりと告げた。
「正直にお伝えします」
兄たちの視線が一斉に医師へ向く。
「翔太くんは今、非常に不安定な状態です。身体的にも精神的にも消耗が大きく、回復の力が追いついていません」
一瞬の沈黙。
「このまま意識が戻らない可能性もありますし……」
医師は一度言葉を切る。
「最悪の場合、2度と目を覚まさない可能性も、ゼロではありません」
その瞬間。
空気が完全に止まった。
辰哉の手からペンが落ちる音だけが響く。
照は椅子に深く沈み込むように動かなくなった。
康二は唇を噛みしめ、声を殺して震えている。
大介はただ一点を見つめたまま、瞬きすらできない。
そして亮平は――
ゆっくりと立ち上がりかけて、
そのまま力が抜けるように椅子に崩れた。
「……そんなの」
かすれた声。
「そんなの、嫌だ……」
医師は厳しい言葉を続けながらも、その表情にはわずかな迷いがあった。
「ただし、希望が完全にないわけではありません。今は集中治療を続けながら、身体の回復力を信じる段階です」
でもその“希望”は、
あまりにも細く、頼りなかった。
兄たちの頭の中には、
さっきまでの手術室の光景がよみがえる。
青白い顔。
細い腕。
返事のない呼吸。
そして思い出す。
あの小さな手紙。
『ぼくのことを、すてないでくれてありがとう』
亮平は両手で顔を覆った。
「違う……違うんだよ、翔太……」
声が震える。
「捨ててなんかない……気づけなかっただけなんだ……」
その言葉は、
もう届かない場所に向けられていた。
診察室には、
後悔と恐怖だけが静かに残った。
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kaede🍁
コメント
6件

泣いちゃういや泣いた(?)やばいって!!!ハッピーであれよ?((圧