TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「空茉は、本当に俺の兄弟なの?」

言ってしまった。言ってはいけないことを言った。わかっていた。絶対に口に出してはいけないんだと。でも、勝手に俺の口からその言葉が出た。その時にはもう、手遅れだった。

「なんでそう言う話になるかなぁ…」

空茉が首を右に傾けて、少しの笑みを浮かべる。これは空茉が本気で怒った時によくする仕草だ。くせになっているんだと思う。その仕草を見て、俺は全身の血の気が引く。俺の勘が、身構えろと言う警告音を出してくる。

咄嗟に腕を顔の前にした時、空茉の腕が伸びた。

「ヴっ…!」

「そう言うところだよ奏茉の鈍いところ!僕はそれが大っ嫌いなんだよ!この上ないほどにね!」

空茉の声が頭に響く。頭を打ちつけたのか、グラグラして脳が正常に働かない。

「奏茉が相羅を好きなのは知ってるよ。川へキャンプに行った時、溺れた相羅を見て奏茉は川へ飛び込もうとしたんだからね。でも、それはあいらを友達として好きだったからでしょ?僕は違う!僕は相羅を本気で好きなんだ!恋愛感情って言うんだよ。あいらになら命を賭けれるさ!」

空茉は、怒った時は言葉で責める。だから最初に手を出したのはおかしかった。今の言葉もそうだ。空茉はレンアイカンジョウって言うやつであいらが好きだといった。きっと、それは俺の相羅への好きより大きい気持ちなんだと思う。でも、だったらなんであいらが溺れた時にすぐに助けに行かなかったんだろう。命をかけれるって言ったのに。空茉の言っていることはおかしい。なんだか変だ。

重い頭を起こして空茉を真正面から見る。俺は同じ時間に生まれた空茉の弟じゃない。双子なんだ。

「空茉が好きなのは、相羅じゃないよね。それに、レンアイカンジョウってやつも違うんだと思う」

「何言ってんの?やっぱり奏茉は馬鹿だから僕の言っていることがよくわからないのかな」

挑発するように俺を見て笑う。これは、図星の時の反応だ。

「空茉。空茉が本当に相羅のこと好きなら、俺と一緒であの時足が動いたはずだよね。レンアイカンジョウっていうのはよくわからないけど、それが俺の好きより大きい気持ちなら、俺よりもっと先に動いていたかもしれない」

だんだんと、空茉の顔が渋っていく。歪んでいく。俺と同じ顔なのに、今している表情は全く違う。

「空茉の本当の気持ちは、何?」

「僕は…僕の、本当の気持ちは」

言いたそうで言い出せない空茉を見る。こう見えて空茉は本当のことはすぐに言えない。言葉にするのが下手なんだ。

「あの時、奏茉が相羅を助けようとしたのを見て怖かった。奏茉も、もしかしたら溺れると思った。相羅も大事。奏茉も大事。でも、俺は相羅より奏茉を大事にする。でも、奏茉はあいらの事が好き。だから…その、なんていうか」

顔をしかめる空茉を見て、なんとなくわかった。空茉は今自分にイラついているんだ。大切な弟が大切にしているモノを大切にできない自分に。

なぜか、今の俺は空茉より先を行っていると思った。この瞬間だけは、俺の方が兄のような気がした。

「うん。それは当たり前だよ空茉」

空茉が俺の顔を見る。いつもの冷静そうな顔とは違って、泣きそうな顔だ。

「友達より家族を大切にするのは、当たり前の事だよ。空茉」

あえて、兄弟とは言わなかった。さっき兄弟なのかと言ってしまったから。

「俺と空茉は兄弟じゃない。双子なんだよ。兄と弟で分けるのはおかしい。その時によって兄と弟が変われるんだよ」

「奏茉、そんなの存在しない。俺の方が2分早く生まれたから」

「変なところでこだわるなぁ。空茉らしいや」

さっきとは違う、吹っ切れた笑みを浮かべた空茉は少し下を見て、また悲しそうな顔になって、真っ直ぐと俺を見た。

「奏茉、ごめん」

「うん、いいよ」






loading

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚