TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

私に好かれてるのが嬉しいんだって。先生はきっと、私が先生を選ぶことに後悔をしないかを心配してくれてるんだね、先生…そういうところが大好きなんだよ」
それは、私が先生に告白したことを表す呟き。


そのリプ欄は祝福で充ちていた。


〈すごい、おめでとう!〉


 〈なにこの青春〉 


そんなリプライが沢山届いていて、私はそれを眺めながら


「みんなありがとう」


それだけ呟いてベッドに身を沈ませた。


それからも齋藤先生への好意を呟く度にいいねがついていき、DMでも応援のメッセージが届くようになった。




その翌日───…私は病院に来ていた。


そこに行く発端となったのは今朝のこと


母はどうしてか、私に「ネネ、病院に行きましょう」と言ってきた。


唐突にそんなことを言われ、戸惑う私をよそに


「そうしましょう、知り合いにいいカウンセラーがいるの!ネネのためにもカウンセリングしてもらった方がいいわ」


言いながら、母はスマホを手に取って誰かに電話をかけ始めた。


その通話が終わるのを、私は呆然としたまま眺めていた。


数分後、母と車に乗り到着したのは心療内科で、緊迫とした雰囲気になんとなく緊張してしまう。


そして今に至るのだが──


中に入って受付を済ませた後、広い待合室で椅子に座って待っていると看護師さんに声をかけられた。


診察室に通されるとそこには看護師の女性と白衣を着た医師の男性が居た。


2人は私に気が付くと軽く会釈をして椅子に腰掛けるよう促してきたので素直に従うと「今日はどうされましたか?」と聞かれ


未だに状況が理解出来ていない私の代わりに母が男性に


「うちのネネが最近おかしいんです。担任と付き合ってるだとか両想いだとか…ネネの嘘だとは思ってるんですけど。」


すると、医師の表情が険しくなり診察室に緊張が走ったがすぐにその重そうな口を開いた。


「そうですか…ネネさん、いくつか質問をするので正直に答えてもらえますか?」


私が頷くと問答が始まった。


「お母さんに話したことは全部本当のこと?」


聞かれ、縦に首を振る。


「それじゃあ、どうして担任と両想いだと思うのかな、その人は教員なんだよね?」


「ううん、だって先生に告白したら嬉しいって言ってくれました。それに先生は独り身だし…先生は大人だから、建前で付き合うことはできないと言ってきたけど、遠回しに卒業したら付き合おうってことを言ってくれたんです!」


途中、声を荒らげて言い返し、先生と私は相思相愛なんだと言おうとしたところ、遮るように医師は言う。


「わかりました。とりあえず、1度カウンセリングを受けてみましょうか」




そうして数分後、私は別室に連れて行かれた。


カウンセラーさんの自己紹介が済み、私も名前、好きな物、学年を教えると、さっき医師に話したことを再び聞かれた。


「担任の先生が好きなんだっけ?どんなひとなの?」


「この人です!」


そう言って私は写真フォルダのお気に入り登録している300枚近くの写真を画面越しに見せた。


「…そう、どうしてこんなにその人単体の写真が?」


「好きなものは撮りたくなる。先生は好きの一部だから、撮らせて貰ったんです」


「ネネちゃんの中ではその人は恋人なのね?」


「いえ、先生の中でもそうだと思います。」


自信たっぷりにそう言うが、カウンセラーさんは険しい顔のまま私に言う。


「よく思い出して、それはあなたの妄想なの」


「も、妄想…?」


「そんなはずない、だって私は先生の恋人です!付き合ってるんです…!」


そんな酷いことを決定打にして言うなんて嫌なカウンセラーだと思った。


「ネネちゃんのはね、妄想着想っていうのよ」


「もう、そう……ちゃくそう……?」


初めて聞いた言葉に首を傾げた。


「いい?唐突に「私は先生の恋人だ!」とか「俺って神様なんじゃないか…?いや、絶対そうだ!!」と思ったり、突然何らかの原因、動機なしに、異常な考えを思いつき確信することを妄想着想というの。」


「何よりの証拠に、ネネちゃんは担任の先生と付き合っていると思い込んでいるでしょ?」


「え……?私と先生は付き合って、ます…」


「ネネちゃんと担任の先生は付き合ってない。まず教師と生徒の建前上ありえない話なの。」


そんなはずない


そんなはずがない


私は先生の恋人だ


おかしいのは周りだ


「……っ、そんなの嫌だ、そんなの認められないしおかしいよ、だって先生は独身で私の恋人なのになんで否定してくるんですか…!?」


そんな私を落ち着かせるようにカウンセラーさんは言う。


「ネネちゃん落ち着いて、質問攻めにしてごめんなさいね。とりあえず、今日のカウンセリングはここまでにしましょう」


でもそれは私を諭すような優しいものではなく、私が妄想を現実だと思い混んでいる狂人であるかのようなものに見えた。


そうして私はカウンセラーさんに連れられて部屋を退出して、受付にてお母さんと一緒に


「失恋のショックで戸惑ってしまい、現実を上手く受け入れられないのだと思います。ですのでお母さんは今は無理に理解させようとせずに、見守ってあげてくれるとネネさんの心の安定にも繋がるかと。」


そう、説明を受けた。

恋というには軽すぎる

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚