テラーノベル
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しっかりとした筋肉に覆われた皮膚が、キラキラと水滴を弾いている。
「どうした。そんなにじっと見て」
「いや……薄々思ってたんですけど、尊さんってジムとか通ってるんですか? その……凄く、体格がいいなって」
「いいや? 仕事が忙しくて、定期的に通う時間はなかなか取れないからな」
「えっ、そうなんですか? それでその腹筋……なにか特別なことしてるんですか? 腹筋とか、綺麗に割れてますし……」
「…休みの日には家で自重トレーニングをしてるが、別に特別なことはしてないぞ。習慣になってるだけだ」
「なるほど……」
「恋こそ、なにかしてないのか」
「高校のころは部活のついでにジム通いちょっとしてましたけど、今は全然……。仕事が終わると、ついダラけちゃって」
そう言って苦笑したところで、尊さんが不意に俺の腰を抱き寄せてきた。
「……お前、腰ほっそいもんな。ちゃんと飯食ってるのか?」
尊さんの大きな掌が、俺の脇腹から腰のラインをなぞる。
「ちょっ……!! 尊さん、くすぐったいですって!」
驚いて距離を取ろうとするが、しっかり掴まれた手を振り払えない。
それどころか、引き寄せられた身体がさらに密着する。
「俺と比べて顔もちっさいし、肌も白いしな。おとぎ話の姫みたいだよな、お前は」
「なっ、尊さんと比較しないでください! 俺だって一応男なんですから、姫はやめてくださいよ……」
「ふっ、褒めてるのにな」
「褒め方に悪意を感じるのは俺だけですか?! 絶対に面白がってますよね?!」
半ば冗談めかして言いながら、二人で声を上げて笑い合う。
すると次第に蝉の鳴き声も遠くなり、ただ心地よい水の音と、俺たちの笑い声だけが風に溶けていった。
この一瞬が永遠に続けばいいのにと、心の底から思った。
約束通り、昼食の時間を迎えるころには、身体も心もすっかり解きほぐされていた。
湯上がりの肌を撫でる浴衣の感触が、今はとても心地いい。
◆◇◆◇
旅館の和食中心の昼食は、朝以上にボリュームがあり、素材それぞれが主役級の輝きを放っていた。
お造りに、季節の天ぷら、そして炊き立ての土鍋ご飯。
尊さんは黙々と食べ進めながら、俺が次に何を食べようか迷っているのを察してか、俺の好きなものを小鉢に取り分けたりしてくれる。
その、さりげない優しさが胸に染みる。
俺の好みを知ってか知らずか、いつも一番欲しいタイミングで手が伸びてくるのだ。
それがまた嬉しくて、つい顔が緩みっぱなしになる。
「美味しいですね。なんだか、食べるのがもったいないくらい」
コメント
4件
わー‼️言葉では表せないくらい素敵でした〜💖😍ルイさんの物語、エピソードの名前のセンスとかよすぎませんか‼️💘物語内での会話の流れとかも素敵です✨️💖 ちなみに、物語内での出来事、というか場所っていうのは、ルイさんが行ったことある場所を参考に描いてるのでしょうか❓✨いつもすごく細かくかかれていて素敵です👏💖😍素敵なエピソードをありがとうございました〜💖いつも長文で失礼しました🙇♀️💖これからも応援してます💖
ニヤニヤが止まりませんな...