???「うーん美味しい〜」
「雨花」は自動販売機でコーンスープを買って飲んでいた。
???「あんたそれ好きね」
???「確かシャトルランの時も飲んでたって聴きましたけど?」
雨花「おぉ〜そこの可愛いお嬢さんたちは、橙ちゃんに桃時ちゃんだね〜」
雨花に話しかけたのは、「橙」と「桃時」だった。
桃時「何ナンパ男みたいなこと言ってんのよ」
橙「雨花さん、今日も授業サボったんですか?」
雨花「悪いけど学校に真面目に行く気はさらさらないんでね〜」
桃時「まぁそんなことはどうでも良いわ」
雨花「え?ひどくね?」
桃時は雨花の方をガシッと掴む。
雨花「え?何何?どうかした?」
雨花は半笑いで桃時に言葉を返す。
桃時「あんたに頼みがあんのよ」
雨花「頼み?」
桃時「えぇ……」
「「あいつを生徒会室から追い出して欲しいの!!」」
雨花「………へ?」
雨花は少し驚き、橙は首をゆっくり二度縦に振った。
桃時「あんたしか居ないのよ……!!」
雨花「ちょっと待ってよ〜一体誰を追い出したら良いの?」
橙「私たちがうんざりしてる先生……で分かるんじゃないんでしょうか?」
雨花「あぁ〜」
「「紅蓮先生ね」」
改めて説明しよう!
「紅蓮」先生は、美術の先生で、大体の女子から距離を置かれている。その代わり男子ウケがすごい。彼のデスクには、アニメやゲームのフィギュアやグッズがたくさん並んでいる。そして、時々そのフィギュアに話しかけてはブツブツ言っている。その様子をみて、ある女子が「こいつヤバ」と思ったらしく、そこから話が広がり、距離を置かれるようになった……と言われている。しかし、嫌われている訳では無い。繰り返し言おう。嫌われている訳では無い。ちなみに、「紅葉」先生と「紅緒」とは兄妹関係。
雨花「なぁに〜先生今生徒会室いるの?」
桃時「そうよ。あんたを待ってるみたい」
橙「あなたにどうしても話したいことがあるみたいですよ」
雨花「えぇ〜話すこと?そういうのはさ、初めから話したい内容を言って欲しいな。「話したいことがある」って言うと悪いことまで期待しなくちゃいけなくなるじゃん。そういうハラハラする方のドキドキすっごい嫌だ」
桃時「そういえばあんたと紅蓮先生ってよく話してるわよね。前に職員室で……」
✦・┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ・✦
雨花「何ですか?紅蓮先生」
紅蓮「なぁ雨花さん。俺ってやっぱりさ……」
「「女子に嫌われてるよな?」」
雨花「いや嫌いな訳じゃないと想いますけど」
紅蓮「じゃあ何で女子たちはあんな冷めた目で俺をみるんだ!!」
雨花「どういう風に接したら良いか分からないだけで先生を嫌ってる訳じゃ絶対ないです。」
紅蓮「何でどういう風に接したら良いのか分からなくなるんだ!?」
雨花「え?普通に変な態度とか不審な挙動だと思います」
紅蓮「それは「変」でも「不審」でもない。「絶好調」の時の反応だ!!」
雨花「はぁ……」
紅蓮「けっ、もういいんもんだ!俺は嫁たちを裏切る訳にはいかないしな!!」
雨花「嫁が複数人いるなら、それは「浮気」という裏切りでは?」
紅蓮「そんなことないぞ!!二次元ならいくらでも嫁はいて良いんだ!!二次元は最高だぞぉ〜そうだ!お前にもう一個話がある!」
雨花「何ですか?」
紅蓮「頭は鈍いが、運動神経が良くて、悪戯心のある明るいコミュ力高い陽キャ系男子と根暗で挙動がドギマギしてて運動神経は皆無。でも実は頭は良い。陰キャ系男子……お前ならどっちを受けにする?」
雨花「断然陽キャ」
紅蓮「やっぱそうだよな〜普段から明るくてコミュ力も高いから友達も沢山いて、どっちかと言うとモテる男子が夜は物静かで行動があたふたしてる男に愛の攻めをいれられる……くぅ〜……堪らん!!」
雨花「そうですよね!それに陽キャ男子が頑張って攻めをやろうとしてその姿をみた陰キャ男子がますます興奮して激しくなるのも良くないですか?!?!」
紅蓮「おぉ!!最高!!あとは……」
桃時「…………」
✦・┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ・✦
桃時「あの時の周りの先生たち止めたいけど止められない複雑な顔してたわよ!!そういう話は人のいない所でやりなさい!!」
雨花「あの時の話は楽しかったなぁ〜」
橙「あなた、恥ずかしくないんですか?」
雨花「恥なんてものとうの昔に鼻くそと一緒にティッシュに丸めてゴミ箱行きになったよ〜」
桃時「今すぐ拾ってきなさい」
雨花「鼻くそを?」
桃時「違うわよ!!」
橙「そういえば私もきいたことありますよ!雨花さんと紅蓮先生の会話」
雨花「なんか色んな人にきかれてるなぁ〜」
橙「あれは確か……」
✦・┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ・✦
橙「ん?あれは雨花さん?」
紅蓮「兎白さんと瑠璃人さんなら……」
「「どっちが受けだ?」」
雨花「じゃあせーので行きますよ!」
雨花・紅蓮「せーの」
「「瑠璃くん・瑠璃人さん」」
紅蓮「やっぱり!!そうだよな!!」
雨花「推しは被らないのに、推しカプは被りますよね。わたしたち……こういうのって普通逆なのでは?」
紅蓮「まぁまぁそれは天からの啓示ということで……それでよ!白瑠璃の話だけど……」
雨花「要領も良くて成績優秀な少し天然で好きな人をとことん好きになる寡黙な男兎白くんに、成績は良い方でおしゃべりで実は結構現実をみれて好きな人には好きになればなるほど不器用になる男瑠璃くん。兎白くんは瑠璃くんの恋心には気づいてないようで気づいてて段々と距離が近くなってとうとうワンナイトする時、兎白くんが溜まっていた恋心を瑠璃くんに爆発させちゃう……!!なんてどうですかね?」
紅蓮「うんうん!!俺の妄想と一緒だよ!!それから……」
橙「…………?」
✦・┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ・✦
桃時「…………」
雨花「…………すみません」
橙「兎白さんと瑠璃人さんの名前が出てきたのは分かったんですが、言ってることはよく分からなかったので……どういう意味なんですか?」
桃時「知らない方があんたのためよ」
橙「え?」
雨花「…………本当にすみません」
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
桃時「とにかくあんたしかあの男を追い出せる奴はいないんだから早く行ってきてよ」
橙「雨花さん今日どれくらいサボったんですか?」
雨花「うーん……半分以上?」
桃時「あんたね……」
三人は会話しながら生徒会室に行った。
桃時「じゃあアタシたち外で待ってるからチャチャッと終わらせてササッと追い出してよ?」
橙「お願いします!」
雨花「はいはい」
雨花は、生徒会室に入っていった。橙と桃時はドアの窓から二人を覗く。
雨花「紅蓮先生。用事って何ですか?」
紅蓮「あぁやっと来たな!雨花、お前にみせたいものがある!」
雨花「みせたいもの?」
紅蓮は持ってきた紙袋をガサゴソすると……
雨花「そ、それは……!?」
紅蓮が出したのは、あるアニメのぬいぐるみだった。
雨花「それはイベント限定……幻の!?」
紅蓮「そうなんだよ!オタ友の知り合いにお前が好きな「真っ赤色の此岸花」の限定ぬいぐるみを入手した奴がいて、唯一俺に話しかけてくれる女子生徒だからな!俺なりのお礼だ!」
雨花「い、いえ……ありがとうございます……」
桃時「あれは……」
橙「すごく嬉しがってますね……」
紅蓮「あぁそうだ!お前さぁ「スパダリ攻め派」?「スパダリ受け派」?」
雨花「じゃあせーので行きましょ」
雨花・紅蓮「せーの」
「「受け」」
紅蓮「あぁー!!やっぱり?」
雨花「そりゃあそうですよ!高スペックな男子がベッドの中では低スペック(ある意味高スペックかもしれないけど)なの可愛いですし!でも相手がショタだったらショタが受けかなぁ……」
紅蓮「今の()のところ全文同意!!それに、ショタが受けなのも分かる!!しかもその子がツンデレだったら……?」
雨花「もう〜たんっまんない!!」
橙「桃時さん」
桃時「何よ」
橙「全然話終わる気配ないんですけど」
桃時「アタシ前に瑠璃人が言ってたこと想い出したわ」
橙「何です?」
桃時「オタク同士の話には」
「歯止めが効かないって」
橙「あぁ……」
この日はたまたま生徒会の集まりはなかったが、橙と桃時によって紅蓮はしばらく出入り禁止なったそうな。
紅蓮「何で?」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!