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コメント
5件
ちいちゃい✨ゆり組さん✨めっちゃ可愛らしい💙❤ もふもふしたいなぁ(*˘︶˘*).。.:*♡
雫さん、こんばんは。ゆり組のストーリー、とても楽しかったです。そして、イメージ画がとても可愛いです!想像の3倍くらいもっふもふでした❤️💙
水瀬菜音
11,918
#岩本照
絶対辰哉
525
#BL
うさみみ
20
少しずつ秋から冬へと向かう気配が深まり、森の空気がひんやりと肌を刺すようになった、ある日の午後。
「こんにちは!」
いつものように森の入り口へとやってきた僕は、首元をすっぽりと覆う手編みのマフラーに顎を埋めながら声をかけた。
『大ちゃん、それどしたん?もこもこしててあったかそうやな!』
木々を揺らして現れたこうちゃんが、こちらに向かいながら流れるように炎の中から人間の姿へと変わり、僕の首元を興味津々に覗き込んでくる。
「これね、修道院の仲間が編んでくれたマフラーなんだ。最近風が冷たくなってきたからね。可愛いでしょ?」
そう話しながら丸太に座ると、《似合ってる。》と涼太さんが穏やかな笑みを浮かべて歩み寄り、もそもそと外套の中へ潜り込んでくる。
「わ、わっ…!」
『佐久間、あったかい…。』
外套の合わせとマフラーの間からぴょこっと顔を出すと、彼はゴロゴロ喉を鳴らして目を細めた。
その頭を撫でていると、ふと熱い視線を感じた。そちらを見て、ばちっと目が合ったのは照さん。一瞬だけ目を見開くと、彼は顔を逸らしてしまった。
首を傾げていると、僕の足元で伏せをしながら翔太さんが少し揶揄うように言った。
『おいおい、今から寒がってたら、本当の冬は越せねぇぞ?ただでさえここはもっと寒くなるってのに。』
「えっ、そんなにですか?」
外套越しに涼太さんのもふもふを堪能するようにぎゅうっと抱き締めている僕を見て、翔太さんは大袈裟に頷いてみせる。
『一晩で視界が真っ白になるくらいには。…まぁ、ここ数十年の冬はだいぶマシだけどな。』
ふと、僕達の背後で照さんが口を開いた。
「あぁ、そういえば昔、一度だけ猛吹雪の時があったな。」
『…うん。確かにあの年は酷かった。』
近くの木陰にいた蓮さんが静かに言葉を重ねる。照さんは腕を組み、どこか懐かしむように遠い空を見上げた。
「蓮が気付かなきゃ、流石の俺でも外へ出ようとはしなかったくらいだ。」
照さんのその言葉を聞いた瞬間。それまで軽口を叩いていた翔太さんと、ゴロゴロと喉を鳴らしていた涼太さんが、一瞬だけピクリと身体を揺らした。
「蓮さんが、気付く…?」
僕の復唱に二人はお互いに視線を交わすと、少しだけ気まずそうに笑んだ。
『…確かにあの時は、流石にマジで死ぬかと思ったわ。』
『うん。』
翔太さんの言葉に、涼太さんは短く頷くだけだった。その表情は穏やかなままなのに、どこか遠い雪景色を見つめているようで。翔太さんも何も言わない。
ただその沈黙だけが、その日のことを物語っていた。
「…そういえばお二人は、ずっと北の国の精霊さんですよね?どうしてこの森で暮らしているんですか?」
二人は一瞬だけ顔を見合わせ、小さく頷いた。
それを見届けた照さんの低い声が、静かに森の空気を震わせる。
「…じゃあ、その時の話でもするか。数十年前の話だ。」
照さんが静かに語り始めると同時に、僕の目の前の景色が、凍てつく白い闇の記憶へとゆっくりと溶けていった。
俺が蓮と暮らし始めて、十数回目の冬のことだ。
その年は、俺がここに来てから数える程しか記憶にない、酷い大雪だった。外は一歩先も見えないほどの猛吹雪が吹き荒れ、重い雪が容赦なく視界を白く染め上げている。
俺でも人間の姿ではこの寒さは無理だと、目を黄金色に輝かせて地面に魔力を流す。パキパキッと音を立てながら氷のドームを築き、その中でフェンリルの姿でじっとしていた。
『蓮、お前にも造るか?』
『俺は結界張ってるから大丈…、』
すると、ふっ、とそれまで大人しく暖を取っていた蓮が、何かを察知したように顔を上げた。その蒼い瞳が、鋭く外の闇を見据えている。
『、どうした?』
『…幻獣…いや、精霊かな。二つ居る…でも、一つが消えそう。』
蓮の言葉は短かったが、その声には明らかな緊迫感が混じっていた。
『どこに居る?』
『あそこ。』
蓮が示した方向は、雪山だった。
『よりによって、か…。』
だが、消えかけている命があるというなら、放っておけるわけがない。俺は直ぐに激しい雪山へと深く足を踏み入れた。
吹き付ける風が刃のように皮膚を叩き、雪を掻き分ける足が重く沈む。咆哮を上げる嵐の中、耳を極限まで澄ましていると、微かに、本当に微かな力のない声が雪の隙間から聞こえてきた。
「…しょうた…。」
掠れた、今にも途切れそうな声。それに続くように、一生懸命ながらも、今にも泣き出しそうな幼い声が激しい風に紛れて響く。
「りょうたぁーっ!」
俺は四肢に魔力を集中させ、足場に氷の道を生み出して駆けた。視線の先に、徐々に二つの小さな影が浮かび上がる。
まず先に捉えたのは、青みがかった美しい長毛の犬だった。遠い異国の島に居る筈の精霊──クー・シー。まだ若く、身体も小さい。まだ子供だ。その幼い彼が、前足で必死に雪を掘り返している。
その先には、赤毛の同じく長毛の猫──ケット・シーが横たわっていた。彼もまた、クー・シーと同じ国に生きる精霊。見れば、猫の身体が分厚い強固な氷の塊に挟まれて身動きが取れなくなっていた。雪国の精霊とはいえ、体温は奪われこのままでは遠からず二匹とも雪に埋もれて死んでしまう。
『おい、犬。退け。』
『わああああああっ!?』
突如現れた巨大な銀狼に、幼い犬はビクゥッと身体を跳ね上げたが、直ぐにその小さな身体で猫を庇うように立ちはだかった。ボロボロの身体で震えながらもガルル、と必死に鋭い牙を見せ、威嚇してくる。
『こっちくんな…!りょうたは、おれがたすける…っ!』
『襲わねぇよ。見てろ。』
まともに相手をする時間すら惜しい。俺は犬の威嚇を無視して猫へと近付くと、鋭い爪の先にそっと魔力を込めた。そして、猫の身体を縛り付けている頑固な氷を、無言でちょん、と一突きする。
その瞬間、パキィンと高い音が響き、強固だった氷が一気にひび割れてガラガラと音を立てて崩れ去った。
『あ…、!』
自由になった赤毛の猫が、限界だった身体を震わせながら、目の前の犬にしがみつくように飛び付いた。
『しょうたぁ…っ、』
『りょうた…!』
張り詰めていた糸が切れたのだろう。二匹は互いの身体をきつく抱きしめ合い、声を上げてわんわんと泣き出した。俺は激しい雪の中、ただ黙ってその光景を見つめていた。小さな彼らが、二人ぼっちでどれ程の恐怖に耐えてここまでお互いを支え合ってきたのかが伝わってきた。
二匹の涙が少し落ち着き、温かい息を吹き返し始めた頃、俺は彼らを背中に乗せながら下山していく。
『お前ら、こんな所で何してんだ。どうやってここに来た?』
俺の問いに、翔太がまだ拙い言葉で答える。
『…ふね。』
隣で涼太が、コクコクと頷きながら言葉を繋げた。
『のってたの。…にんげんの、ふね。』
そこからぽつりぽつりと話す二匹の拙い説明を要約すると、こういうことだった。
故郷の国で人間の船に興味本位で紛れ込んでしまい、そのまま閉じ込められて長い航海に出る羽目になったこと。その途中で恐ろしい大嵐に遭遇し、船が難破してこの見知らぬ大陸へと流れ着いたこと。そうして命からがら辿り着いた土地で、せめて故郷にあったものと同じ『雪』を求めて、本能のままにこの山へ逃げ込んできたのだという。
『帰り道は分かるのか?』
俺が尋ねると、二匹は力なく首を横に振った。海を渡る術も、自分たちが今どこに居るかも解っていない様子だった。
『じゃあ、お前らの居た国は…、』
その問いには、二匹とも完全に黙り込んでしまった。俯く小さな頭を見て、俺は察した。コイツらにはもう、故郷へ帰ることができないのだと。
猛々しかった嵐の音が、少しだけ遠く聞こえた。深く溜息を吐き、俺は一つの提案をする。
『それなら…俺んとこ、来るか?』
立ち止まり、ただそれだけ尋ねる。翔太が、じっと涼太を見る。涼太が、じっと翔太を見返す。二匹は無言で何かを確かめ合うように視線を交わすと、同時にこちらを振り返って力強く頷いた。
『『いく。』』
『…ん。分かった。』
再び歩を進め、住処へと戻る。少し落ち着きを取り戻した吹雪。入り口では、蓮がじっと佇んで俺達の帰りを待っていた。
背中から二匹を降ろしながら、俺は蓮に向かって言った。
『増えるからな。』
蓮は小さく頷くと、物珍しそうに二匹の姿を凝視する。そして、じっと翔太を見つめて呟いた。
『……犬。』
その一言に、翔太がカチンときたように小さな前足を上げて吠える。
『ただのいぬじゃねぇ!クー・シーだ!』
『…猫。』
今度は涼太を見つめる蓮。涼太は疲れからか、くしくしと顔を前脚で拭きながら否定も無しに小さくにゃあ、と鳴いた。その様子を見て、俺は少し笑う。
『まぁ、…二足歩行とはいえ、猫だな。』
その夜、二つだった寝床の間に、小さく丸まって身を寄せ合う二匹用の寝床が加わり、住処は少しだけ賑やかになった。
翌朝。昨日までの猛吹雪が嘘のように晴れ渡り、澄んだ冬の青空が広がっていた。
寝床から広場を見ると、昨日衰弱していた幼い涼太と翔太が、雪の上を元気いっぱいに転げ回りながら追いかけっこをしている。犬の姿の翔太がワンワンと吠えて飛び付けば、猫の姿の涼太が鮮やかに雪を蹴ってそれをひらりと躱す。
俺と蓮は、黙ってその微笑ましい光景を見守っていた。
「一気に騒がしくなったな。」
俺が白い息を吐いてそう溢すと、隣にいた蓮がほんの少しだけ目元を緩めた気がした。
『そうだね。…でも、悪くないかも。』
感情を表に出さない蓮にしては、本当に珍しい発言だった。真っ白な雪景色の中、尚も楽しそうに跳ね回る赤と青の小さな影を見つめながら、この騒がしさにもそのうち慣れるんだろうと思った。
【迷子のクー・シーとケット・シー:翔太、涼太】
翔太:風の力を持つ。基本的には獣の姿。人の姿になる時は獣の姿だと不便な時だけ。
変化すると、目はキャラメル色。暗い青の毛並みのシェットランド・シープドッグ(シェルティ)風。
涼太:雷の力を持つ。とにかく超マイペース。基本的には獣(二足歩行)の姿。
変化すると、目は緋色、二足歩行の赤毛のノルウェージャンフォレストキャット風。寝る時は四足歩行モード。
以下涼太の二足歩行モード
※画像はAI生成です。