美容院のドアを開けると、柑橘系のアロマが、ふわり、と香った。
慣れた薫りを嗅いで、ほう、と一息つくと、すぐに受付のカウンターから女性が躍り出る。
「いらっしゃいませ、水戸さん。いつものお席へどうぞ!」
「ありがとうございます」
腕を伸ばして誘導されるのに従い、フロアに置かれた六つのうち、一番窓際の椅子へと向かう。
迎え入れるように回転された椅子に座ると、くるり、と鏡に直った。
「ただ今、担当をお呼びしますね。少しお待ちくださいませ」
そう言って、元気よく、どこか慌ただしそうに、駆けていく背を鏡の中で見送りながら、僅かに手持無沙汰に腕時計を見る。
午後一時。春の陽気らしい晴天。
右方から射し込む温かな陽射しに、思わず誘われるように首を巡らせると、
「――今日は気持ちがいいですよね」
まるでこの陽射しに音を付けたら、こんな音階になるのだろうといっ*******
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