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「侵略者がトップを襲った」
「え?」
啓次郎は理由のわからないことに混乱していた。
「とりあえず俺はセンターの人間なんで一旦戻ります。永島さんはここで待っててもセンターへ来てもいいです」
「というかまず侵略者って…?」
「あ〜…じゃあわかりました。俺に着いてきてください!」
焦った口調でそう喋る。啓次郎は雪彦にそう言われたためついて行くことになった。
程なくして北東センターへ着いた。その光景はまるで先ほどとは全く違った。周辺の人間は「侵略者」に備えるためなのかやりや先の鋭い棒を持っていた。平和とは違った様子である。
北東センター内は慌ただしく部屋から出たり入ったりを繰り返していた。
「永島さん!とりあえずここで待っててください!」雪彦がそういう。
啓次郎は言われた通りセンター内の受付前で待っていた。
約1時間ほど経ちやっと一段落したようだった。部屋から出たり入ったりを繰り返していた人も少なくなり、慌てている様子はあまりなくなった。だがその代わりセンター内は緊張感があった。
すると、スタッフオンリーと書かれた扉から宍色の髪をした青年が出てきた。
「すいません永島さん」雪彦はそう言うと啓次郎にとあるものを渡した。
「え…!?なぜ俺が…?」啓次郎の手には銀色のリボルバーがあった。
「護身用として持っといてください。センターの人は全員持ってます。勿論俺も」
そう言うと雪彦は近くにあったボックスソファに腰掛けた。
「少し侵略者のお話をします。どうぞ座ってください」
啓次郎は言われるがまま雪彦の目の前にあったボックスソファに腰を下ろした。
「侵略者とは”エント”と呼ばれる武装集団です。黒いギザギザとした仮面を被り素顔を隠しています。服装ですが白やシルバーなどのジャンパーに黒いダボッとしたズボンを穿いています。ジャンパーの下にはパーカーを着ておりそのフードを被っているので耳、髪などの特徴は見えません。彼らは主にアサルトライフル、スナイパーライフルを使用します。前後左右の視界を気をつけてください。彼ら、今回は防弾チョッキを着てるので一発で仕留められるかはわかりませんがあくまでも護身用としてそれは使用してください。あと、彼らの一番の特徴はタトゥーです。胸や首元などに虎や龍などのタトゥーを彫ってます。気をつけといてください。あとリーダーの名は水上公晴(みずかみきみはる)といいます。じゃあ俺は行きます。くれぐれも死なないでください」
そう言うと雪彦はセンターを出ていった。啓次郎はそれに続きセンターを出ていった。
「とりあえず情報収集か…」そう言うと啓次郎は街の方へ歩き出した。
どうやら街にも情報は伝わっているようで異様な雰囲気が漂っていた。
「へえ…この街に令和の人が来るとはねえ。実に興味深い」
「うわっ!」啓次郎の後ろには小柄な綺麗な白髪をした70代ほどの男性が立っていた。
「侵略者がトップを襲ったか…まあ歴史は繰り返されると言うしな…」
「え…?歴史は繰り返される…?」啓次郎は男性の言った言葉にそう質問する。
「ああ。まあ50年前くらいかにも彼らは現れたんだ。その時、彼らは時の珠(ときのしゅ)という宝を当時のトップから奪い取って去っていったんだ。そして約17名の子を拉致した。そのまま姿を消したんだ」
「時の珠?」と啓次郎。
「ああ。ハッピーランドと現代(現実)を自由に行き来できる宝だ。そいつはトップの命により厳重に保管されている。レインボーシティにてな」
「レインボーシティって?」
「トップのいる所だ。普段はそこは何十の壁によって関係者以外行けないようになっているがやつらは今回で二回目。難なく突破できたのだろう。現在トップがどうなっているかはトップ本人とボディガードのみしか知らないだろう」
「なるほど…」
「そういえば!君は永島啓次郎だろう?前トップと会ったという」
「あ〜まあはい。誰がトップだったかなんて正直覚えてないですけど」
「君であればレインボーシティに入れる。そこで侵略者とトップの行方を確かめてくれないか?」
「え?俺が…?」突然で驚く啓次郎。
「君にしかできないのだ。頼む。ハッピーランドの”英雄”よ」
そう言われたらやるしかない。啓次郎はその頼みを引き受けることにした。
「それで、レインボーシティってどこにあるんですか?」
「あ〜そうだった。ではこれを使うと良い」そういい男性は啓次郎にあるものを渡した。
「あ!コスモスピーカーじゃないですか!」啓次郎の手には懐かしいコスモスピーカーがあった。
「ほっほ。そなたもその頃にいたからわかるだろうがそいつは競争社会が終わり役目を果たした。その多くがスピーカーとして使用されたんだ」
「懐かしい〜」
「そいつは儂のでな。少々馬鹿なところもあるが許してやってくれ」
「ええ。分かりました。それじゃあ俺は」
「ああ。頑張ってくれ」
そういい啓次郎はレインボーシティへとコスモスピーカーと共に足を進めた。
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