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崇高《むねたか》が、やけに、気難しい顔をして立っていた。


「あれ?崇高樣、女房って、もしかして、御屋敷は人手不足なんですか?」


紗奈の一言に、


そうではなくっっーーー!!!


崇高と、何故か、常春が、共に叫ぶ。


「た、橘樣!!!これは!!」


「さあ、これは、と、言われても。常春様、私も何がなんだか」


オロオロする常春に、橘は、笑いを堪えていたが、


「さて、これを、そそのかしたのは、崇高樣?うちの人ですね?」


橘の問いに、さすがは、ワシの女房殿じゃーと、髭モジャが、ひょっこり顔を覗かせ、答えた。


「うん、ワシは、なかなか、良い組み合わせじゃと、思ってなぁ。女童子の活躍に、さすがの崇高も、舌を巻いた。ならば、どうじゃ?と、問うてみたら、まんざらでもなさそうでのう。検非違使庁でも、出世頭のこいつが、いつまでも独り身では、いかんだろう」


「男やもめに、うじがわく、というやつですね?」


「え?!橘樣!崇高樣の御屋敷って、そんな事に?!困りましたねぇ」


だから、そうではなくっっーーー!!


と、再び、崇高と常春が、叫んだ。


「なんでも、女童子の、あの腹の座り具合に、見惚れてしもうたようじゃ、そのわりに、どうしようもなく、鈍感なところが、また、良いと」


髭モジャが、ニヤニヤしながら、崇高を小突いた。


「い、いや、その、我は、まあ、そうだっっ!!!」


顔を真っ赤にしながら、崇高は、必死の形相を紗奈へ向けた。


「崇高樣、少しお休みになられたら?そのご様子は、お疲れが、たまってますわよ」


いや、そうじゃなくってーーー!!!


と、今度は、小さいが、しっかりとした声が響いた。


「橘樣!タマにだって、わかるのに、上野樣は、なんで、分かんないですかっ!!!」


「さあー、なぜでしょうねぇー」


おっかしいよなぁー、と、タマまでが、ぶつくさ言っている。


そんな、様子に、橘はクスクス笑った。


「紗奈、お前、どこまで、鈍感なんだ。童子検非違使なんて、やってた頃は、もっと、しっかりしていたろうに」


けんもほろろで、常春は、妹に言うが、それが、また、崇高へ火をつける。


「……なるほど!女童子殿!我らは、同じく、検非違使!!したがって、共にいるのが、一番だと!!!」


崇高は、ああ、と、何か納得していた。


「おっ、崇高や、もしや、検非違使繋がり、運命の出会いじゃ、とか、言うのではなかろうなぁー」


ワッハハと、髭モジャが、大笑いした。


「あっ、私……」


「……わ、私……?!」


紗奈の言葉に、崇高は、身をのりだし、その続きを待った。


「着替えてこなきゃー、結構、冷たくなってきたかも。すみません、崇高樣、失礼します」


言って、衣を抱えた紗奈は、スタスタと、崇高の前を通り過ぎ、着替える為に、小屋を出ていった。


「なっ、き、着替え……」


一種、散々な扱いに、崇高は、肩を落とした。


ところが、あっ!と、紗奈の声

流れて来る。


続いて、


「なんと!紗奈姉《さなねぇ》は、あの様な者が、好みなんですかっ!!私の方が、マシでしょう!!」


と、守満《もりみつ》の叫びが。


「守満様、何、言ってるんですか?それより、守恵子《もりえこ》様は、じっとされてますか?と、いうか、お方様のお世話をお願いしたら良かったんですよねー、あー、うっかり、してたわ」


「うっかりも何も、紗奈姉!」


「あっ、ちょうど、崇高樣もお越しです。今後について、大納言家の考えをお伝えしておくべきかと……」


「だから、その、崇高だ!紗奈姉は、いったい!」


「あー、私ですか。衣が濡れちゃって、冷たいので、着替えて来ます。すぐ戻りますから。橘様も、兄様も、いらっしゃるし、守満様は、皆で話し合っていてください」


では、とかなんとか言う、紗奈の声と、隣の染め殿へ向かう足音が、小屋の中に響いていた。


当然、小屋の入り口では、いや、そうではなくっーーー!!!と、叫び、苛立つ、崇高、常春、そして、守満が、いた。


「ありゃ?なんだか、風向きが、可笑しな方向へ流れておるぞ?」


「髭モジャ様!おかしいのは、上野樣ですよー!なんで、わかんないかなぁ??」


そうじゃのおー、と、首を傾げる髭モジャに、ですよねー!と、タマまで、ムッとしている。


「まっ、そこが、紗奈らしくって、愛嬌がある、と、皆樣、お思いなのでしょ?」


複雑な面持ちを崩さない、男達へ、橘が言った。

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