side 黒
そっとドアを開ける。彼のいるベランダに静かに向かい、隣で「座っていい?」なんて聞いたら、
「いいよ」
と優しい声で返ってくる。
数分間、綺麗な夜空を二人で見つめる。そんな空気の中、彼は
「ねぇ北斗、綺麗だね」
と言っている。俺は「綺麗だね」と返した。夜空は綺麗だった。まさにドラマみたいだな、なんて思いながら夜空を見つめる。
「京本っ…」
「ん?」
そうだ言いたいことがあった。
「……月が綺麗ですねっ」
告白。一般的には『好きです』とかを言うのだろう。でも、そんな勇気の無い俺はドラマみたいな告白をする。
もし…彼が意味を知らなかったら、俺の勇気は無駄になるだろう。
少しの間、静かな時間が生まれる。サーっと風が吹く。
「…ふふ、月はずっと綺麗でしたよ」
「!、ありがとう」
「いえいえ、俺から言おうと思ってたんだけどね」
良かった…。相思相愛…だったのかな…?
「愛してる」
彼は『愛してる』なんて言葉を照れずに言える。でも、俺はそんな言葉を言えない。だから…
「…俺も」
言えるまで、俺のことを好きでいてくれませんか、?
コメント
3件
めっちゃ素敵な告白でした!次も楽しみにしてます!
月が綺麗ですね↝あなたが好きです。 月はずっと綺麗でしたよ ↝私もあなたのことがずっと好きでしたよ