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junp_Sn-Fk.
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本当なら、もう少し一緒にいたかった。
できれば、このまま泊まっていってほしかった。
けれど、康二くんには明日の朝早くから予定がある。
引き留める理由なんて、どこにもなかった。
「ちょっと飲み過ぎたかな。少しだけ、仮眠とってもええ?」
そう言って笑うと、康二くんは、俺が使っていないほうのベッドへ身体を預けた。
さっきまでそこには何もなかったのに、急に康二くんの場所になったような気がした。
「もちろん。」と答えると、じゃあ三十分、といってあっという間に深い眠りについてしまった。
少し酔った康二くんは、子どもみたいに気持ちよさそうに眠っていた。
長いまつ毛が頬に影を落とし、少しぽってりした唇からは、規則正しく小さな寝息がこぼれている。
Tシャツから伸びた腕は普段見て知っているそれよりずっと長くて、白いシーツの上に、すらりと投げ出されていた。
眠っているだけなのに、細い腰のあたりには妙に目を奪われる。
それを見ている自分のほうが、なんとなく悪いことをしているような気がして、俺は一度、目をそらした。
けれど、すぐにまた見てしまう。
スースーと小さな寝息をたてているのを聞いていると、胸の奥が妙に騒がしい。
こんなふうに無防備な姿を見ていると、もっと近くで、もう少しだけ眺めていたいという気持ちが、抑えようとしてもふくらんでくる。
眠っているだけなのに、どうしてこんなに目が離せないのだろう。
ほんの少しだけ、身体を近づけた。
ベッドのそばまで行って、眠っている顔を覗き込む。
長いまつ毛も、わずかに開いた唇も、近くで見るとひどく無防備で、こんなに近くにいるというのに、起きる気配はまるでない。
そっと髪に触れる。
指を滑らせると、さらさらした髪が指のあいだをほどけるように落ちていく。その感触が思いのほか柔らかくて、もう一度触れたくなる。
もう少しだけ、と顔を近づけた。
すると、いつも愛用している香水の甘い匂いに、眠っている身体から生まれた汗の匂いが混じって、ふいに鼻先をくすぐった。
知っているはずの匂いなのに、こんなふうに近くで嗅ぐと、まるで知らないもののようだった。
胸の奥が、じわりと熱くなる。
眠っているだけなのに、その無防備さがいけなかった。触れてはいけないものに触れてしまったような、そんな甘い後ろめたさまで込み上げてくる。
もう一度、顔を覗き込む。
近い。
さっきよりも、ずっと近い。
眠っているせいか、いつもより少しだけ唇が柔らかく見えた。
その唇から、細い吐息がこぼれる。
気づけば、指先がその唇へ伸びていた。
触れるか、触れないか。
ほんのわずかなところで一度止まる。
それでも、指先は引き返さなかった。
そっと、下唇の端に触れる。
驚くほど柔らかかった。
ほんの一瞬触れただけなのに、その感触が指先から身体の芯へ、静かに広がっていく。
もう一度、今度は確かめるように、指の腹でそっと撫でる。
眠っている彼は何も知らない。
ただ規則正しく息をしている。
その無防備さが、かえって胸を苦しくさせた。
指先を離そうとする。
けれど、その柔らかさを知ってしまったあとでは、なかなか離すことができなかった。
眠りを邪魔しないように、息まで小さくする。
それでも、鼓動だけはどうしようもなかった。
どくん、と大きく鳴るたび、自分の気持ちが身体の内側からばれてしまいそうになる。
あと少しだけ。
そう思って、顔を近づける。
康二くんの放つ甘美な香りと、眠っている身体の熱が混じった空気が、鼻先から胸の奥へ入り込んでくる。