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石段の一番上に座り、空を見上げる。
高く透き通った、真夏の青空。
遠くに真っ白な入道雲が見える。
この神社に来て、もうずいぶんたったな、と思う。
ぼくは狛犬で、人間の姿で暮らしている。
もともとは別の神社の狛犬だったが閉鎖されてさまよっているところをここの女神様に拾ってもらった。
女神様も人間の姿でずっと生活していた。
「あら、コマ、そこにいたのね」
女神様が神社から出てきた。
「今日の晩御飯何がいいかしら」
すっかり買い物の準備をしていた。
「お菓子も買ってくるね」
今日は美子もついていくようだ。
美子はぼくがここに来て半年くらいたったある日、ここに迷いこんできた幽霊の少女だ。
美子も人間の姿で一緒に暮らしている。
「えっと…晩御飯はチョコレートがいいです。
お菓子は鶏肉なら何でも…」
二人はわかった、と言って買い物に出かけた。
ぼくは立ち上がり、境内の掃除をはじめる。
ぼくたちの、何気ない日常。
こんな平和で幸せな日々がずっと続いていく。