テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#YJ
みー
1,048
❤︎
18
943
6話までの予定です!
ハッピーエンドではないです꒦꒷
通報❌
1話 [大丈夫じゃない僕に]
僕は、ずっと大丈夫なふりをしていた。
「大丈夫」
そう言えば、全部終わると思っていた。
嫌なことをされても。
傷つく言葉を言われても。
笑って流せば、何も無かったことになると思っていた。
だから今日も、いつも通り笑った。
「またひとりじゃん笑」
後ろから聞こえてきた声に、
僕は振り返らなかった。
「別にいいでしょ」
そう返すと相手は小さく笑った。
「強がってるだけじゃん笑」
その言葉が、胸の奥に刺さった。
本当は嫌だった。
教室に入ることも。
休み時間も。
誰かの視線も。
でも、誰かに心配される方が怖かった。
だから僕は、なんでもない顔をした。
「……大丈夫」
誰に言うでもなく、そう呟いた。
放課後。
僕はひとりで教室に残っていた。
机の中を整理しようとして、違和感に気付く。
「……ない」
探していたノートが見つからなかった。
どこを探してもない。
きっと、まただ。
そう思った瞬間、胸の奥が苦しくなった。
でも、泣くわけにはいかなかった。
「大丈夫」
自分に言い聞かせるように呟いた。
その時。
「これ、探してる?」
突然声が聞こえた。
振り返ると、そこには知らない男の子が探していたノートを持って立っていた。
「……それ」
「落ちてた」
差し出されたノートを受け取る。
「ありがとう」
それだけ言って終わるはずだった。
でも。
「なんで笑ってるの」
「……え?」
突然言われた言葉に、僕は固まった。
「辛い時まで笑わなくていいじゃん」
その言葉を聞いた瞬間、何も言えなくなった。
今まで誰にも言われたことがなかった。
大丈夫って言っている僕を、
本当は大丈夫じゃないんじゃないかって見てくれた人なんていなかった。
「……なんで」
「ん?」
「なんで、そんなこと言うの」
すると彼は少し困ったように笑った。
「なんとなく」
「なんとなく、?」
「うん。でも、無理してるように見えたから」
その時、初めて思った。
この人には、隠せないのかもしれないって。
「俺、勇斗」
「……僕は」
名前を言うだけなのに、少し緊張した。
「ゆっくりでいいよ」
その優しい声に、なぜか安心した。
「ありがとう」
もう一度言った。
でも本当は、ノートを拾ってくれたことへのお礼だけじゃなかった。
僕の小さな変化に気付いてくれたこと。
僕の作った笑顔の奥を見てくれたこと。
それが、嬉しかった。
この日からだった。
僕が勇斗を目で追うようになったのは。
まだ、この気持ちがなんなのか分からなかった。
ただ。
もう一度、あの優しい声を聞きたいと思った。
この時の僕はまだ知らなかった。
僕を救ってくれたその優しさを、
いつかの僕は手放せなくなることを。
コメント
1件
うわあ……第1話、読み終わったよ……😭💦 「大丈夫」を連呼する主人公の必死さ、すごく伝わってきた。「辛い時まで笑わなくていいじゃん」って勇斗が言ったシーン、もう胸に刺さりすぎてやばかった……。 まだ1話なのに、この関係がどうなっていくのか気になって仕方ないよ。続きめっちゃ早く読みたい!!🌸