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直樹が遺した「悪のリスト」の効果は絶大だった。
九条の残党、収賄に関わった政治家
そして帝国開発の不正を黙認していた官僚たち。
彼らは一円の逃げ場もなく、司法の手によって次々と「損切り」されていった。
私は、その混乱の最中
帝国開発の旧本社ビルを買い取り
そこを「自立支援センター・ルーツタワー」として再生させる計画をぶち上げた。
「……今日という日を、負債が利益に変わる『転換日』とします」
記者会見の壇上で、私は父の万年筆を手に力強く宣言した。
拍手が鳴り響く中、会場の片隅に立つ、一人の青年の視線に私は気づいた。
年齢は18、9歳ほどだろうか。鋭い眼光と
どこか見覚えのある、計算高そうな口元。
会見後、彼は迷いのない足取りで私の元へ歩み寄ってきた。
「……あなたが、詩織さんですね」
「どなたかしら。アポイントメントのない方の時間は、私の帳簿には載っていませんが」
青年は皮肉げに笑い、一枚の古い写真を取り出した。
そこには、若き日の直樹と、莉奈ではない別の女性が写っていた。
「俺の名前は海斗。直樹があなたと出会う前、あの地方都市で『捨てた』女の息子です」
「……直樹が死んだと聞いて、彼の『正当な遺産』を受け取りに来ました」
私は内心の動揺を一円も見せず、彼を見据えた。
「遺産? 直樹が遺したものは、すべて私が公的に、被害者救済と社会再生のために計上しました。あなたに渡すべき『端数』は残っていません」
「金が欲しいわけじゃない。……俺が欲しいのは、彼があなたに遺した『悪のリスト』の続きだ」
「直樹は、あのリストに載せていない『本当の黒幕』を、俺の母親に託していた。…あなたがこのタワーを本当に『白く』したいなら、俺と組むべきだ。一円の損もさせませんよ」
海斗と名乗る青年。
彼の瞳には
直樹と同じ「数字を武器にする者の冷徹さ」と、それを超える「激しい憎悪」が同居していた。
「……いいでしょう、海斗君。あなたの持っている『数字』の価値、精査させてもらうわ。ただし、私を騙そうとしたら、そのときは覚悟して」
復讐は終わったはずなのに、帳簿はまだ閉じさせてくれない。
残り18日。
私の本当の「最終決算」は、まだ先にあるようだ。
【残り18日】
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