テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
休日の昼下がり。1
リビングには心地よい日差しが差し込み、窓からは風がカーテンをゆっくり揺らしていた。
ソファに並んで座る海斗と凛花。
テレビはついているものの、二人とも特に見ているわけではない。
凛花はクッションを抱えながら大きく伸びをした。
凛花:暇だねぇ。
海斗:暇だな。
凛花:何かする?
海斗:何したい?
凛花:んー……。
少し考える。
凛花:思いつかない。
海斗:俺は一個ある。
凛花:え?
海斗はゆっくり凛花の方を見る。
口元に小さな笑み。
その表情を見た瞬間。
凛花:あ。
海斗:何。
凛花:その顔、絶対ろくなこと考えてない。
海斗:失礼。
凛花:違うの?
海斗:半分。
凛花:半分は当たってるんだ。
海斗はくすっと笑う。
海斗:勝負しよう。
凛花:勝負?
海斗:うん。
凛花:何で?
海斗:どっちが先に『降参』って言うか。
凛花は首をかしげる。
凛花:どういうこと?
海斗は両手の指をひらひらと動かした。
凛花:……。
海斗:くすぐり対決。
凛花:やっぱり。
海斗:ルールは簡単。
凛花:聞こう。
海斗:相手をくすぐって、『降参』って言わせたら勝ち。
凛花:なるほど。
海斗:途中で笑うのは自由。
凛花:うん。
海斗:でも『降参』って言った瞬間、負け。
凛花:それだけ?
海斗:それだけ。
凛花は少し考えてから、にやっと笑った。
凛花:いいよ。
海斗:自信ある?
凛花:最近ちょっと強くなった気がする。
海斗:へぇ。
凛花:今日は勝てるかも。
海斗:そう。
海斗はゆっくり立ち上がる。
凛花:……。
海斗:じゃあ。
凛花:?
海斗:俺から。
凛花:え?
海斗:言い出しっぺだから。
凛花:それ関係ある?
海斗:ある。
凛花:絶対ない。
海斗:勝者の特権。
凛花:まだ勝ってないよ?
海斗:あ。
凛花:ほら。
海斗:じゃあ挑戦者の特権。
凛花:今作った。
海斗:そうです。
凛花:適当だなぁ。
二人とも笑う。
海斗はソファへ座り直し、凛花との距離を少しだけ縮めた。
凛花も思わず少し後ろへ下がる。
海斗:逃げる?
凛花:まだ。
海斗:まだ?
凛花:まだ逃げない。
海斗:偉い。
凛花:でも警戒はする。
海斗:それは自由。
海斗は両手を見せるように広げた。
海斗:何もしないよ。
凛花:信用できない。
海斗:ひどい。
凛花:今まで何回くすぐられたと思ってるの。
海斗:数えてない。
凛花:私は数えるのやめた。
海斗:そんなに?
凛花:途中で分からなくなった。
海斗は笑いをこらえる。
海斗:じゃあ始めよう。
凛花:……。
海斗:準備は?
凛花:できてる。
海斗:ほんと?
凛花:うん。
海斗:じゃあ。
海斗がゆっくり手を伸ばす。
凛花は反射的に肩をすくめた。
海斗:まだ触ってない。
凛花:びっくりするんだもん。
海斗:かぁわいい。笑
凛花:褒めてもダメ。
海斗:残念。
そのまま。
海斗の人差し指が、凛花のお腹へ――
ちょん。
凛花:ひゃっ。
小さく体が跳ねる。
海斗:一回。
凛花:今のはびつくりしただけ。
海斗:笑ってない?
凛花:全然。
海斗:強気だね。
凛花:余裕だね。
海斗:そう。
もう一度。
ちょん、ちょん。
凛花:っ……。
口元がぴくっと動く。
海斗:今。
凛花:動いてない。
海斗:笑いそうだった。
凛花:気のせい。
海斗:ほんと?
凛花:ほんと。
海斗は少しだけ目を細める。
海斗:じゃあ、本気出そうかな。
凛花:え?
海斗はにこっと笑った。
凛花:あ、その笑顔……。
海斗:始まりだよ。
指先が、お腹の横へゆっくり伸びていった。
休止の昼下がり。2へ続く―
#葛葉
コマさん
105
#ホラー
コメント
4件
続きは、今月中に出します!!
ああもう、この二人の空気感がたまらなく好きです……!海斗の「ちょん」って触る仕草とか、凛花が「ひゃっ」て跳ねるのが目に浮かぶようでした。くすぐり対決なんて子どもっぽい遊びなのに、二人の間に流れる信頼と親密さがじんわり伝わってきて、読んでて自然と頬が緩みました。永遠の始まりってタイトル、まさにこういう穏やかな日常の積み重ねなんだろうなって思います。続きも楽しみにしていますね🌷