一日中、ユリは俺のそばを離れなくなってきた。1人暮らしなのに、寂しくならないのもコイツがずっとそばにいるからなのか。
風呂の時もトイレの時も外を歩いている時もずっと一緒、見れば見るほど藍原に似てるな。姉妹だから当たり前か。
年齢でいうと25歳くらいか、一番人生で楽しい時を植物状態で魂と肉体が離れ離れとは酷いものだ。
「今日はお前の妹と会うんだけど、いいですか?」
返事をするはずはないが、なんでユリは妹の藍原でなく俺に憑いているのかわからない。
-新宿-
風間は新宿のネコの前で藍原を待つ。
「ごめんなさい🙏」藍原が息を切らし走ってきた。珍しく遅刻してきた、とはいっても10分程度だ。
「でどこ行く?」
「。。。。」
藍原と出かけるときはいつもお互い無計画、とりあえず目的もなく人混みを歩いていた。こうやって2人で会うのも久しぶりのせいかやけに藍原は会話を走らせる。
「ちょっと待て!」俺は藍原の腕を掴み、引き寄せた。何か匂う、死臭のようななんとも言えない臭いだ。あまりの人の多さで感知しづらい。
「藍原スイッチいれてみてくれ、何かただならない気配がする。」
藍原は舌打ちをして、オンした。
「先輩あの人達じゃないですか?」
藍原は小声で囁き、視線を向ける。ベンチに腰掛ける若者の男性二人組だ。顔色は悪いし、周囲は浮遊霊が取り囲むよう、這いずりながら2人に迫っては吸収されている。
「あの2人酷い事になってますね。」
「あぁ、もう長くないかもな」風間この違和感の気配の正体がわかるとその場を後にするよう先に進んだ。
「先輩いいんですか?あの人達危険な状態ですよ」
風間は立ち止まり呆れた顔をして藍原を見つめる、藍原はどうにかしろと言わんばかりの顔をして風間を見つめ返す。
「あぁあ、わかった、わかったよ、いきますよ」風間は根負けして、若者の方に向かう。
「こんにちは、体調悪そうですが大丈夫ですか?」藍原は二人組に話かけた。
「。。。」
「救急車呼びます?」
風間はバックからアスカがもらっていた護符を取り出し2人のうなじに貼り付けた。
「ゴホッ、ゴホッ」
2人は咳き込みだし、深呼吸する。
「どうだ少し楽になったか?」
「はい、何をしたんですか?」
「まぁ少し休んでろ。藍原水を買ってきてくれ」
風間は藍原に水を買ってくるよう伝えて2人が落ち着くのを待った。
護符の文字がゆっくりだが滲み出してきた。風間は通りでタクシーを呼び止めた。
「話はあとでゆっくりしよう、時間がないから、今から秋葉にいく」
2人をタクシーに乗せて4人は秋葉を向かった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!