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それから警察署の待合室には、連絡を受けた保護者たちが既に集まっていた。
張り詰めた空気の中、真っ先に信愛の銚子が娘へ歩み寄る。
「全くアンタは!こんな無茶して!」
信愛は肩を落とし、小さく頭を下げた。
「ごめんなさい・・・」
その様子を見て絹が穏やかな笑みを浮かべる。
「まあまあ白縫さん」
続いて言葉を継ぐ。
「みんな誇れる事をしたんですから」
八乙女鳴子も力強く頷いた。
「そうですよ」
さらに、花牟礼秋穂が銚子の肩にそっと手を置く。
「ここは褒めてあげましょう」
二人になだめられ、銚子は口を閉ざした。
すると茜の母・菅生小夜が、娘を優しく抱き寄せながら頭を撫でる。
「でも詐欺師を捕まえちゃうなんて
すごいじゃん♬茜♬」
その顔には誇らしさが滲んでいた。
茜は照れくさそうに笑い、胸を張る。
「でしょ♬でしょ♬」
得意げに続ける。
「私たち凄いんだから♬」
その姿に銚子は苦笑し、ふっと表情を和らげた。
「まあ、今回は世の中の為になる事をした訳だし」
少し間を置いて、優しく言い添える。
「これ以上は何も言わないわ」
信愛は安堵の息を漏らし、微笑んだ。
「ありがとう・・・」
銚子は信愛の目をまっすぐ見つめる。
「でも無茶はしないようにね」
そして、他の生徒たちにも視線を向けた。
「もし貴方達の身に何かあったら
私たち生きた心地しないから」
秋穂も大きく頷く。
「そうよ?みんな」
焔垂は申し訳なさそうに頭を下げた。
「すいません・・・」
朝陽も静かに続ける。
「もう無茶しません・・・」
その様子を見届けた美月は、一歩前へ出ると保護者たちへ深く頭を下げた。
「ですが今回は私が生徒を巻き込んだので」
真っ直ぐ前を見据えながら言葉を続ける。
「全責任は私にあります」
信愛は思わず声を漏らした。
「美月先生・・・」
銚子は何も言わず、美月を見つめている。
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
美月はさらに頭を下げた。
「大事なお子さんを守らなければ
ならない立場でありながら、この様な事態を
招いてしまい、誠に申し訳ありません!」
深々と頭を下げる美月。
しかし茜が慌てて前へ出た。
「違うよ?お母さん?」
小夜へ向き直り、首を横に振る。
「私たちが無理矢理首突っ込んだだけ」
さくらも大きく頷いた。
「そうだよ!美月ちゃんは何も悪くなんて無いから」
焔垂も続く。
「そうだよ母さん」
朝陽も静かに言葉を重ねた。
「僕たちが勝手にやった事だから」
銚子は生徒たちを見渡し、小さく笑う。
「まあ、みんなこう言ってますし」
それでも美月は首を横に振った。
「ですが・・・」
秋穂は優しい口調で言う。
「結果的に何事もなく無事に終わったんですから」
美月はゆっくりと顔を上げる。
「でもそれは、あくまで結果論で──」
その言葉を遮るように鳴子が口を開いた。
「いいじゃないですか。結果論でも」
美月は目を丸くする。
「え?」
小夜が穏やかに微笑んだ。
「そうですよ」
そして、我が子を見つめながら静かに続ける。
「結果的に我が子が怪我ひとつせずに
戻ってきてくれた。それだけで十分なんです」
小夜は柔らかな笑みを浮かべ、美月へ静かに語りかけた。
「それだけで十分ですから」
続いて絹も優しく頷く。
「ですから、あまりご自分を責めないでください」
その言葉に、美月は目を潤ませる。
「あ、ありがとう・・」
声が震え、言葉が途切れる。
「ございます・・・」
溢れそうになる涙をこらえながら、もう一度深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
その瞬間、堪えていた感情が決壊した。
美月は静かに涙を流しながら、何度も何度も頭を下げ続けた。
コメント
1件
いやー、今回のエピソードすごく良かったわ…!保護者たちが集まってるシーン、最初はピリピリしてたのに、みんなで「結果オーライ」って空気に持っていくのが本当に温かかった。特に小夜さんが「怪我なく帰ってきてくれただけで十分」って言ったところ、ぐっときた。美月先生が涙こらえながら謝るシーンも感情移入しちゃったよ…。×××さん、ほっこりしながらも感動させてくれる描写、さすがです🔥