テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
#ざまあ
#裏切り
#モテテク
「……莉奈。莉奈だけは、俺を分かってくれるはずだ」
実家すら追い出された俺は、ボロボロになったスーツを引きずり、莉奈のマンションへと辿り着いた。
深夜。冷たい風が染みるが、今の俺にはここしか行く場所がない。
オートロックのパネル越しに、必死に莉奈を呼び出す。
「莉奈! 俺だ! 全部失った……でも、お前さえいればやり直せるんだ!」
何度も何度もインターホンを鳴らし、ようやく繋がった。
画面に現れた莉奈は、俺の知っている「可愛い部下」の顔じゃなかった。
パックを貼り付けたまま、冷徹な目で画面を睨みつける、まるで見知らぬ女だ。
『……しつこいわね。会社にも言ったでしょ? あなたに脅されて無理やり付き合わされてたって』
「何言ってるんだよ! あのネックレスだって、200万もした……俺の愛の証だろ!」
俺が必死に叫ぶと、莉奈は鼻で笑った。
『ああ、あれ? ……質屋に入れたら「1万円」だったわよ。メッキにガラス玉のパチモンだって。……ねえ、もしかしてあなた、200万も出して偽物掴まされたの? 本当に救いようのないバカね』
「……え?」
思考が停止した。
詩織から盗んだ200万で買った、あの最高級のネックレスが……1万円?
まさか、あの店員までグルだったのか?
俺が莉奈に見栄を張るために訪れたあの店で
俺は200万をドブに捨て、それを莉奈は裏で笑っていたというのか。
『あなたみたいな男、最初からカモにされてただけ。……じゃあ、二度と来ないで。警察呼ぶから』
ブツッ
音がして、画面が真っ暗になった。
俺は力なくその場に膝をついた。
愛していると信じていた相手からは「財布」として利用され
しかもその財布の中身は、妻の人生を削って奪った金。
結局、俺の手元には何一つとして「本物」なんて残っていなかった。
その時、震える手で取り出したスマホに一通のメールが届く。
詩織からだった。
『直樹、莉奈さんには私から「あのネックレスの領収書、あなたが偽造してたみたいね」って吹き込んでおいたわ』
『……あ、それと。今、私の元にはIT大手企業の役員の方が来ているの。私のデザイン実績を評価して、正社員として迎えてくれるんですって』
「……ぁ……あ……」
喉の奥から、声にならない呻きが漏れる。
俺が「家計簿の檻」に閉じ込め、ゴミのように扱っていた詩織が
今や俺の到底届かない高みへと駆け上がろうとしている。
俺が必死に奪おうとした金は偽物に消え、あいつは自力で本物の価値を掴み取った。
『あなたの人生は、今日で完全に「損切り」完了よ。さようなら』
夜の街に、俺の絶望の慟哭が響く。
だが、誰一人として足を止める者はいない。
暗闇の中、一円の価値もなくなった俺は、ただ悔しさに打ち震えることしかできなかった。
【残り85日】