ΩヤンキーくんとドSなα
生きるか○ぬか。
(あらすじ)
俺が辛い時、苦しい時いつも通っているお店。
そのお店の店員さんは、俺と同じΩであり心強い相談相手でもある。転校生とたまの事件で悩んでいた俺は、今日もその店へ向かう。
そのお店で人生の先輩に相談を乗ってもらい、心身共に事件がどうでも良くなるほど回復した。自信に満ち溢れた俺は、スキップでもしているか疑わしい足取りで学校へ向かった。
(本編)
「来たぞー!」
俺が学校に着いたのは、5限目と6限目の授業の休み時間だった。
「…ザワザワ」
俺が挨拶をしたのに生徒は皆他のことに夢中でちっともこっちを見てくれないし、声もかけてくれない。なにか、俺が教室に来るよりも重大なことがあったのだろうか。
「おい、どけや」
少々荒々しい口調で生徒を掻き分けるように間を通り、その円の中心で一体何が起こっているのか見た。
すると、そこに居たのは今朝転校生と一緒に居た、たまと呼ばれる男だった。
この人が転校生の恋人…ゴクリと唾を飲み込むと、汚物でも見るような目で見下しながらお前は転校生のなんなんだと尋ねた。
するとそのたまと呼ばれる男はクスッと笑い、
俺の耳元に唇を寄せると
「なんだろうね?♡」
と囁いてきた。耳が元々弱かった俺は、ビクビクッと身震いをさせ、出そうになった甘い声を抑えた後、たまを睨み、その後恥ずかしくなり猛ダッシュで屋上へ走ったーーーー
なんだろうね?と言うってことは、そういう事なのか…そうか。俺は遊ばれていたんだな。
「はぁ…」
俺は肌を撫でるように吹く風と共にため息をついた。
俺は屋上が好きだ。風がどうしたの?と言わんばかりに囁いてくれている感じがして心地いい。夕日が登ってくれば、田舎の畑と一緒に見えるオレンジ色の風景が綺麗で心地いい。
屋上も、俺がいつも行っているあの店も、全部全部大好きだ。俺は中学生時代屋上の屋根の上で1人弁当をしていたものだ。
あれが転校生の恋人…せっかく元気になった心身も、笑えるようになった顔も今では今朝と元通り。
転校生には遊ばれていただけなんだとか思えば思うほど涙が止まらなくなった。
平和だった学園生活に憧れだったヤンキー。
運命の相手……全て上手くいっていたはずだったのに、全て失敗した。何もかも失った。
もう俺には何も残っていない。
「終わりにしよう…。」
もう何もかも、終わりにして楽になろう。
ここから飛び降りれば、楽になれる。
俺はそんなことを思いながら屋上の柵を乗り越えた。
「よいしょ…」
思えばヤンキーと言う選択をしたのも、憧れていたし肩書きだけで舐められないようにしただけ。俺にはヤンキーなんて似合っていなかった。中学生の時の事件だって、俺が未熟だから起こった、Ωだからおこった、それだけの事。
被害者ズラをしていただけで全部俺が悪かったんだ。全部…全部…。
「ねぇ、なにしてるの?」
…暖かい。。。暖かくて優しい声に包まれ、悲しかった出来事が嘘みたいにどうでも良くなってしまう。そして次々と貯めていた涙がこぼれ落ちる。一体誰なんだろう。。。
「お前の運命の相手の俺だよ。」
ああ、そうか。そこに居たのはお前か。お前には沢山話しておかないと行けないことがあったからな、本人から出迎えてきてくれて本当丁度良かった。
「なにって…自○だよ。」
「俺が原因なのか?俺が、何かしたか?」
しらばっくれちゃって…イラつく。
「なあお前、彼女いたんだな。」
「は?」
「お前は運命の相手だとか言ってヘラヘラ笑って俺に期待させるくせに、お前はお遊びだったんだもんな…信じてたのに。」
「裏切られた上に学園生活も台無し。
俺、この世に生きてて何も価値ないなって思って。」
「そんなことない!」
何がそんなことないだよ…
「そんなことないだと!?俺を裏切っておいてよく軽口叩けるな!?恥を知れ!」
「もう、俺の心をこれ以上弄ばないでくれ!!」
「待ってくれ!誤解だ!」
何が誤解だよ。それも俺を騙すための口実なんだろ。分かってるんだよそんなこと…
「あいつは俺と同じαで幼なじみ、そして親友でもある。俺とあいつの間には幼なじみであり親友であるという他なにもない!」
普通は信じれないこの言い文
でもすごく紳士で真面目な顔をしていたから、不思議と信じることが出来た。
「そっか…!そうだったんだな。ごめん…信じてあげれなくて…。俺…俺…!」
チュッ
「んんんッ!?///」
「これが証拠」
突然の出来事に頭が真っ白になる。俺、今こいつに…キ、キスされたんだ。
Ωのヒート状態では裸を見られ触られキスをさせられたけど、ヒートじゃない状態でキスをするのは初めて。
しっかり意識がある時にキスをするのは初めてだから、少し戸惑ってしまった。
同時に証拠まで見せられ、信じる以外、選択が消えたからか、心のモヤモヤがスッキリした。
もう全てダメだと思っていたが希望が見えてきたのだ。本当に良かった…と思った。だが幸せな時はつかの間、次の瞬間、屋上の落ちそうな場所ギリギリに立っていたことを忘れていた俺は、手すりを持っていた手の力が一気に抜け、額に流れる涙と共に真っ逆さまに落ちていってしまった。
やってしまった…希望の光がようやく見えてきたと思ったのに、まあいい。ヤンキーだとかαだとか言ってΩを召使いのように使い回し、嘘をついた後自分のせいではなく他人のせいにした俺に神様からバチが当たったんだろう。
でも、○にたくないのか、今更両親にお礼を言っていないだとか、謝れていないだとかその他諸々全ての事に後悔して、落ち込んでいたとしてもあんな所立つんじゃなかったと過去の自分を責めた。
落ちている間俺は体も声も全てスローモーションに聞こえて、まるで神様がやり残したことは、思い残したことはないかと時間を与えてくれているかのように感じた。
今だったらきっと神様が、仏様が、我が国の神明が助けてくれるんじゃないかと思い、必死に叫んだ。「助けて!!!」と。
奇跡がもし、本当にあるのなら、神様お願いします、1度だけでいい、1度だけでいいから俺を助けてください。地面に体がつきそうになった時、スローモーションだった映像と声は元に戻った。その瞬間、どこからか、
「彼を助けてください!!!!」
という、泣き崩れるような声がしたような気がした。ーー
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今回も見て下さりありがとうございます。
前回の作品、360いいねも本当にありがとうございます。こんなにいいねが来るとは思っておらず、正直びっくりしています。
しかも金賞をとることが出来ました…。
これも、いつも♡を押してくださる皆様のおかげです。ありがとうございます😊✨
これからも投稿頻度は遅いかもしれませんが、暖かい目で見てくださると幸いです。
コメント
3件
金賞おめでとうございます!!!これからも応援します!!!!!頑張ってください