テラーノベル
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洞窟の入口へ戻ったK-T、ミステー、カキは、採取した鉱石を整理していた。
カキは鉱石を一つずつ並べ、ミステーは拾ったクモの巣を眺めている。
「この鉱石があれば、もっと強い武器が作れるかな」
「作成可能な装備を確認する」
K-Tはガラケーを開いた。
そのとき、画面に小さな表示が浮かんだ。
位置情報を受信
K-Tは画面を見つめる。
メバル、マサカゲ、アオノ。
三人の位置情報が、東の森の先に集中していた。
しかし、移動していない。
「止まっている」
「休憩中?」
カキが尋ねた。
K-Tはもう一度、位置情報を確認した。
「違う」
「どう違うの?」
「高所に固定されている」
ミステーが静かに顔を上げた。
「吊られている」
カキの表情が変わる。
「え?」
ミステーは東の方角を見た。
「悲鳴が聞こえる」
洞窟の外には、風の音しかない。
カキには何も聞こえなかった。
「聞こえないけど……」
ミステーは立ち上がった。
「村がある」
K-Tはすぐに装備を整えた。
トンファー、警棒、クロスボウ。
さらに、洞窟内で見つけた鉱石を使い、簡易的な防具を作成する。
カキはその場に立ち尽くしていた。
「村……? でも、村に人がいるなら、助けてもらえるんじゃないのか?」
「位置情報が動いていない」
K-Tが言う。
「それに、ミステーは悲鳴を聞いた」
「でも……用心棒がいたら? あの鉄のやつ、俺たちじゃ勝てないかもしれない」
カキの手が震え始める。
K-Tはカキを見た。
「来られるか」
「……」
カキは答えられなかった。
洞窟でクモと戦ったときとは違う。
相手は、村全体を守るほどの鉄の用心棒。
さぶれ-SABURE-
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K-Takasaka
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もし正面から攻撃されたら、今度こそ誰かを助けられないかもしれない。
カキの足が動かなくなった。
「怖い」
小さな声が漏れる。
ミステーがカキの隣に立った。
「怖いと、足が地面になる」
「それ、どういう意味だよ……」
「足が動かないという意味」
「そのままだな!」
K-Tは東の空を見た。
「俺が先に行く」
「Kさん、待って!」
カキがようやく声を出した。
しかし、K-Tはすでに走り出していた。
ミステーはカキの肩を軽く叩く。
「行く」
「無理だよ。俺、動けない」
「では、足を動かす」
ミステーはカキの背中を押した。
カキはよろめきながら、一歩踏み出した。
二歩目は、さらに遅い。
だが、K-Tの背中はすでに遠くへ進んでいる。
「Kさんが一人で行った!」
カキは恐怖を押し込め、走り始めた。
村へ近づくにつれ、金属の音が聞こえてきた。
そして、視界の先に巨大な装置が見えた。
村の外れにあるクレーン。
その先に、牢屋が吊り下げられている。
牢屋の下には、赤く煮えたぎるマグマ。
ミステーが立ち止まった。
「処刑まで、あと一分」
「どうして分かるんだよ!」
「時計がある」
村の壁に、赤い数字が表示されていた。
00:59
K-Tはすでに村の入口へ到達していた。
鉄の用心棒が、彼の前に立ちはだかる。
K-Tは止まらない。
用心棒の腕が動いた。
鎖が伸びる。
K-Tは横へ跳び、鎖をかわした。
そのまま村の内部へ侵入する。
「敵を確認!」
用心棒の赤い目が光った。
村中から、何体もの鉄の用心棒が立ち上がる。
カキが村の入口で足を止めた。
「多すぎる……」
ミステーは数字を見つめている。
00:43
K-Tはクレーンの操作装置へ向かって走っていた。
「止まれ!」
鉄の用心棒が両腕を広げる。
K-Tは警棒で腕を打ち、隙間を抜けた。
別の用心棒が鎖のムチを振り回す。
K-Tは警棒で受け流し、装置へ近づく。
00:30
「Kさん!」
メバルの声が、牢屋の中から聞こえた。
K-Tは上を見上げた。
鉄格子の中に、メバル、マサカゲ、アオノがいる。
牢屋はすでにマグマの上へ移動していた。
K-Tは操作盤へ手を伸ばす。
しかし、用心棒が先に攻撃した。
鎖のムチが、K-Tの脇腹へ叩き込まれる。
金属がぶつかる音が響いた。
K-Tの体が横へ吹き飛ばされる。
「Kさん!」
メバルが叫ぶ。
K-Tは地面を転がった。
すぐに立ち上がろうとするが、鎖の衝撃で体が動かない。
00:21
鎖のムチが再び振り上げられる。
K-Tは警棒を構えた。
だが、別の用心棒が背後から迫る。
視界の端で、カキが震えているのが見えた。
ミステーは赤い数字を見つめていた。
00:15
「Kさんが危ない!」
カキが叫んだ。
ミステーは走り出そうとした。
その瞬間、用心棒の鎖が地面を叩いた。
鉄片が跳ねる。
恐怖で足が止まった。
カキの視界が白くなる。
ミステーの声が遠ざかる。
「あと、十五秒」
次の瞬間から、二人の記憶は途切れた。
*
メバルは、牢屋の床が赤く染まるのを見ていた。
マグマがすぐ下まで迫っている。
鉄の床が、じゅうじゅうと音を立てて溶け始めていた。
「熱い……!」
メバルは鉄格子から離れた。
床の一部が赤く変色し、靴の裏から熱が伝わってくる。
アオノが格子の接合部を調べていた。
「床面の融解が始まっています。あと数秒で、牢屋内部にも影響が出ます」
「あと数秒って、どれくらい!?」
「正確な測定は困難です」
「困難じゃなくて、急いで!」
マサカゲは鉄格子をつかんだ。
「アオノ、格子を外せるか」
「この素材は非常に硬い。工具なしでは――」
「Kさんが来てる!」
メバルが叫んだ。
牢屋の上から外を見下ろす。
K-Tが装置のそばで、用心棒たちに囲まれていた。
鎖のムチを受けたらしく、片膝をついている。
「Kさん、逃げて!」
メバルは叫んだ。
K-Tは顔を上げた。
その瞬間、クレーンの装置が大きく揺れる。
00:07
マサカゲが鉄格子を殴った。
「何をしている、Kさん!」
K-Tは立ち上がった。
警棒を握り直し、目の前の用心棒へ向かって走る。
00:05
鉄の腕が振り下ろされる。
K-Tはその腕の下をくぐり、操作盤へ警棒を突き刺した。
00:03
火花が散る。
00:02
装置が大きく揺れた。
00:01
牢屋の床が、マグマに触れる寸前まで下がる。
00:00
轟音が響いた。
クレーンが停止する。
牢屋はマグマのすぐ上で止まっていた。
床の一部は赤く溶けている。
あと少し下がっていれば、牢屋ごと落ちていた。
メバルはしばらく声が出なかった。
「……止まった?」
アオノが装置を確認する。
「停止しています」
マサカゲが上を見た。
牢屋の屋根に、K-Tが立っている。
服は汚れ、脇腹には鎖の跡が残っている。
それでも、いつものように冷静だった。
「Kさん!」
メバルが叫ぶ。
K-Tは返事をせず、牢屋の屋根へ警棒を突き立てた。
一撃。
二撃。
鉄の屋根がへこむ。
マサカゲが声を上げた。
「そこからでは、こちらの牢格子まで届かない!」
K-Tは屋根の縁へ移動した。
警棒をしまい、トンファーを抜く。
そして、牢屋の側面を狙って振り下ろした。
鋭い衝撃音が響く。
鉄格子が大きく曲がった。
「もう一度!」
メバルが叫ぶ。
K-Tはトンファーを振り下ろした。
鉄格子が外れ、マグマの熱気が牢屋内へ流れ込む。
「出ろ!」
「でも、どうやって!?」
「隣の牢も開ける」
K-Tは屋根の上を走り、マサカゲたちの牢屋へ移動する。
用心棒がクレーンの足場を登ってきた。
K-Tは振り返り、トンファーでその腕を受け止める。
鉄の腕とトンファーがぶつかり、火花が散った。
K-Tは相手を押し返しながら、もう一方の牢屋へ近づく。
「アオノ、内部のロックを解除できるか」
「試します」
アオノは扉の機構へ手を伸ばした。
「動力が停止したことで、ロックが不安定になっています」
「開けろ」
「あと少しです」
用心棒が再び鎖のムチを振り上げた。
K-Tが前へ出る。
鎖を警棒で受け、足場の端へ流した。
「今です!」
アオノがロックを外した。
扉が開く。
マサカゲが先に外へ出て、メバルの牢へ向かう。
「メバル、こちらへ!」
「うん!」
メバルはマグマの熱から逃げるように、鉄格子の隙間を抜けた。
三人が足場へ移動した直後、牢屋の底が大きく崩れた。
鉄の塊がマグマへ落ち、赤い火柱が上がる。
メバルは震えながら、K-Tの腕をつかんだ。
「Kさん……本当に来てくれた……」
「遅れた」
「遅れたけど、来てくれた!」
メバルは泣きそうな顔で笑った。
そのころ、村の入口では、カキとミステーが倒れていた。
カキは地面に伏せ、ミステーは壁にもたれている。
K-Tは二人のもとへ駆け寄った。
「カキ、ミステー」
ミステーが目を開けた。
「……村に来た」
「ああ」
「その後は?」
「覚えていない」
カキもゆっくり起き上がった。
「俺も……Kさんが走っていったところまでは覚えてるけど、その後がない」
メバルが二人へ駆け寄る。
「大丈夫? ケガはない?」
「たぶん……」
カキは周囲を見回す。
「牢屋は?」
「壊した」
K-Tが答えた。
「Kさん一人で?」
「そうだ」
カキはしばらく口を開けたまま固まった。
「すご……」
ミステーが、落ちていた鉄格子の一部を持ち上げた。
「これで家を作れる」
「今それ?」
カキが突っ込む。
「村の家より丈夫」
メバルは緊張が切れたように、その場へ座り込んだ。
「怖かった……本当に、もうダメかと思ったよ」
アオノが周囲を確認する。
「全員の生存を確認しました」
マサカゲも息を整えた。
「全員、無事だ。まずは村の外へ移動する」
カキが拳を握った。
「Kさんが来てくれたから助かったんだな!」
「メバルたちの位置情報を確認した」
K-Tが言う。
「位置情報があったから、ここまで来られた」
メバルがK-Tを見上げる。
「ガラケー、すごいね」
K-Tは答えず、周囲を警戒した。
しかし、次の瞬間。
村中から金属音が響いた。
一体。
二体。
十体。
鉄の用心棒たちが、家々の陰から現れる。
村人たちは一斉に建物の中へ逃げ込んだ。
赤い目が、六人へ向けられる。
拳銃を持った骸骨も、村の門に立っていた。
クロスボウを構えた個体が屋根の上へ上がる。
さらに遠くの塔には、長い銃身を持つ骸骨が姿を現した。
アオノがそれを見た。
「長距離射撃用の武器を確認」
「スナイパー持ちか」
マサカゲが構える。
六人は、鉄の用心棒と骸骨たちに囲まれていた。
メバルは麻酔銃を握る。
カキは剣を構えたが、手が震えている。
ミステーは鉄格子を持ったままだ。
マサカゲが周囲を見回す。
「突破口を探す」
K-Tはトンファーと警棒を構えた。
敵の数は多い。
銃を持った骸骨。
クロスボウを持った骸骨。
遠くから狙うスナイパー。
そして、鎖のムチを装備した鉄の用心棒たち。
K-Tは一歩前へ出た。
「流石にこれはきついかもな」
その声を合図にするように、全員の武器が一斉にこちらを向いた。
コメント
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うわっ、めっちゃ緊迫してましたね……! 冒頭からカキの震える足、ミステーの独特な“足が地面になる”って台詞がすごく印象的で。 カウントダウンの演出も相まって、ページをめくる手が止まらなかったです。 ラストで「流石にこれはきついかもな」ってK-Tが言った瞬間の空気、一気に変わってゾワっとしました。 全員無事かと思いきやの総力戦、もう次が気になって仕方ないです……!