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「……だけど、どうしてこういつも目立つ車にするの? それでなくても颯は有名人で目立つのに」
聞こえてしまった、周りのあけすけな会話が耳について離れなくて、ついそんな皮肉っぽい言い方になると、
「さっきのこと、気にしてんのか?」
そう返されて、彼は気づいてたんだと感じた。
「うん、まぁ……」
曖昧に頷く私に、
「ああやって囲まれたりするのは、俺はメディアにも露出してるから、仕方のないことだと思ってる」
彼がハンドルを握り、前を見据えたままで話す。
「ただな、注目をされることもビジネス戦略の一環でもあるからな。人目を引くことで、引いては会社そのものにも興味を持ってもらえる。
その場は興味本位の人間が大半だとしても、話題が人づてに広がることで、どこでビジネスチャンスに結びつくかはわからないだろう。
俺はそういう意味でも、目立つことには価値があると思ってるんだよ」
横断歩道の手前で車が止まり、彼が話し終えると、今付き合っている自分の彼氏が、クールズ・コーポレーションという巨大IT企業を担う鷹騰社長だということを、改めて思い知らされた気がした。
彼の信条が知れて、神妙な面持ちで「……うん」とだけ答える私に、
「まぁ、車は俺も好きだから、目立つのがステータスだとは思ってるけどな」
彼が顔を向けニッと笑って見せた。
「それと、おまえもあんまり周りなんか気にすんなよ。
おまえが、俺にとっての一番であることには、変わりはないんだからな」
一言で、私の心の中でもやもやとよどんでいた気持ちをさらりと凪ぎ払って、大きな手の平でガシガシと頭を撫でてくれると、青に変わったシグナルに彼がアクセルをグッと踏み込んだ──。
「──で、どこに行くんだよ?」
「決めてないんだ? やっぱり」
このやり取りも毎度のことで、ちょっと慣れてきたところもあるけれどと感じる。
「俺は目的地を決めないで走るのも構わないんだが、おまえは嫌なんだろう? だから、おまえが行きたいところを決めろって」
彼の言葉に、どこか行きたいような場所ってあったかなと考えていると、
「そうだ」と、彼の方が思い出したように口を開いて、「ひとつ行きたいところがある」そう話した。
「行きたいところ?」いつもは行き当たりばったりなのに珍しいなと思う。
「ああ、おまえに希望がないなら、そこでもいいか?」
訊かれて、「うん、別にないから、いいよ」答えて、
(一体、何処に行くんだろう?)と、思った──。
コメント
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お読みいただきありがとうございます! 第72話、読み終えたよ〜!!🌸✨ 颯くん、社長としての信念を語るところとかっこよすぎる…!「目立つことに価値がある」って言い切る姿勢、さすがクールズを担う男って感じ😭💕でもその後に「おまえが一番」ってサラッと言うのずるすぎるでしょ!!照れ隠しみたいに頭撫でてくるのも最高のキュンポイントだよ…! そして珍しく颯くんから行きたい場所があるっていう展開、気になりすぎる〜!次が待ちきれないよ⋆♡