テラーノベル
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―翌日―
他人のものと偽って自分の連絡先を塁に教えた桜子。
あれから塁からいつ連絡が来るか…と気が気ではなかった。
何の計画性も無い行き当たりばったりな自分に呆れてしまう。
塁から連絡がきたら声で桜子だという事がバレてしまうではないか…。
どうやって正体を隠そうかその方法をずっと模索していた。
自分の家のソファに寝そべり天井を見上げながら考えあぐねていた……
…………。
「あ…!そうや!あれがあった!」
考えあぐねた末、とっておきのものがあるのを思い出した桜子はある物を探すためクローゼットの中を捜索し始めた。
「確かこの辺にしまってあるはず。
…………あった!」
クローゼットの奥から見つけ出したのは防犯用に購入しておいたボイスチェンジャー。
水商売という職業柄、突然訪問してくる人間にはどうしても警戒心が強くなってしまう。
さらにセールス相手にも役立つと思い購入したもの。
が、持ち前の負けん気の強さもあり、そんなものを使わずとも相手をあしらえる桜子はそのボイスチェンジャーをクローゼットの奥にしまい込んでいた。
「まさかこんな事に役立つとは…。ほんまに備えあれば憂いなしやわ。」
言葉の使い方を少し間違っているかもしれないが、とりあえずの解決策を見つけ出した桜子はホッとしていた。
どうして塁にこんなにも惹かれてしまうのか自分でも分からない。
逃げられると追いかけたくなってしまう、自分のものになってくれないと分かっている相手を好きになってしまうのが自分の性分なのか?
塁に会うと桜子の中の理性はだんだんと壊れていく一方であった…。
そしてその日の夕方。
ドレッサーの前でいつものように出勤の準備をしていた桜子。
ブー、 ブー…。
「は…!」 けたたましく震え出したスマホにビクっと肩に力が入った。
着信画面には知らない電話番号が表示されている。
「これは恐らく…。」
その着信の相手の予想が着いた桜子は自分だとバレないようにどう対応しようか頭をフル回転させていた。
急いで用意しておいたボイスチェンジャーに口を近づける…
「うゔん!よし…いつもよりちょっと低めの声で……。」
少し震えた指先で通話ボタンを押した…
「………はい、もしもし。」
「…クラブ・トリスタナのママから紹介いただいた、金矢金融事務所の金矢いうもんですが…。」
やっぱり塁や…
桜子のスマホを持つ手に力が入った……。桜子はどうこの電話に対応するかということに頭をフル回転させ始めた。
「あー!金矢さんですか!連絡お待ちしておりました!ママから金矢さんのお話は聞いております。忙しいところわざわざ電話いただいてほんまありがとうございます。」
「いえ、こっちの事はおかまいなく。で…銭、融通して欲しい言う話でしたな? 」
バレてない……?
「そうなんですわ。ちょっと急な入り用がありましてなぁ…。お金貸してくれるとこ探してまして…。」
「そうでっか。ほな、いっぺん直接話聞きにいかせてもらいます。急な話やけど明日はどないですか?」
「ほんまですか!ありがとうございますぅ。明日やったら何時でも大丈夫やから、金矢さんの好きな時間においで下さい。」
「そしたら明日の午前11時にママから教えてもろた住所に行かせてもらいます。場所がまずかったらうちの事務所に直接来てもらってもええでっせ。」
「いや…ちょっとお手間取らせますけど、直接うちの方に来てもろてもええですか?」
「分かりました。明日11時に…。」
「はい!ほな明日お待ちしております!」
ッ……プー、プー…。
「………はぁ、やり切った…。」
電話を切った桜子はそれまでの緊張の糸が切れ、全身の力が一気に抜けた。
全神経をこの電話にどう対応するかという事に集中していたためか、一気に疲労感が襲ってきてそのままベッドへ崩れるように倒れ込んだ。
「ああ”ー、めちゃくちゃ疲れた…。バレてなかった?よな? 」
塁の返答の仕方や声色などを聞く限りこちらを怪しんだりしている様子は無かったように思う。
「もし私やってバレてたとしたら、塁やったらそうやって言うやろうし…。っていうか…今更ながら私は一体、何をしてるんやろ…。 」
桜子は自分はどうして塁の事でこんなにも駆り立てられているのか…胸がキュッと苦しくなった…。
しかも嘘をついて自分の家に誘い込んだ事が分かれば塁に嫌われてしまう可能性も大いにある。 何故そんなハイリスクなやり方で家に誘ってしまったのか…。 今更後悔が襲ってきて深い溜息をついた…
「はぁ………。」
でも…今回の事が原因で嫌われるならその方が自分としては諦めがつくかもしれない。むしろ一層の事嫌われてしまった方が楽かもしれないとさえ思えてきた。
泣いても笑っても今回が最後…
桜子は覚悟を決めた。
コメント
1件
あー、もう第9話も読み終えたわ。桜子の緊張感がひしひし伝わってきた…!ボイスチェンジャーを引っ張り出して電話ごまかす場面、めっちゃ手に汗握った。塁にバレてないかこっちまでドキドキしたし、終わった後の脱力感がすごい共感できる。それでいて「嫌われるならそれでいい」って覚悟しちゃうとこ、切なすぎるやろ…。次が気になるわ、らむらむさん!
#執着
さぶれ
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#胸キュン
あおい
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らむらむ
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