テラーノベル
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―翌日
朝10:55―
桜子は家の中でそわそわと落ち着かず部屋の端から端を行ったり来たり…。しきりに鏡を覗いては崩れるはずのないメイクを何度もチェックしていた…
遂に塁がこの家に来る。
ボイスチェンジャーまで使い塁を騙してこの家に誘い込んだことに罪悪感はもちろんある…
でも2人が偶然の再会を2回もした事にも何か絶対に意味があるはず…。
ただ自分の都合の良いように捉えたいこじつけかもしれないが、桜子はどうしても塁の事が諦めきれないでいた。
知りたい…。
金融屋、金貸しという肩書きの盾を取り払った先にある…塁の気持ちを…
今日という日にそれを確かめる…。
桜子は窓の外に広がる昼時の大阪の街を眺める…こちらへ向かってきているはずの塁の姿を想像してキュッと拳を握った。
―11:00―
「もうそろそろ来るかな。ふぅ…。」
パチパチっ!
桜子は自分の頬を叩き気合いを入れた…
“必要なものは全て持っている……準備は万全……大丈夫…”
“ピーンポーン”
その途端、タイミングを見計らったかのようにインターホンが鳴った。
11時ちょうど。遅くも早くもない。ぴったりの時間にくるあたりが塁という人間を表しているかのようだ。
桜子は急いでボイスチェンジャーを持ち、口元に当て、震える手でボタンを押しインターホンに出た。
…………
「………はい。」
「……金矢金融のもんですが。」
塁のあの無機質で低い声が響く。
「金矢さんお待ちしておりました。どうぞお入りください。そのまま部屋のドア開けて家あがってもらって構いません。」 そう言って、桜子はマンションのオートロックを解除した。
…………。
今この部屋に塁が向かってきている。
ドクドクと心臓が壊れそうなほど強く速く打っているのが自分でも分かった…
「落ち着け…落ち着け…。」
そう小声で呟きながら塁を待つ。
その時…
“…ガチャッ”
玄関の扉が開く音がした。
ザザッ…
重い革靴を脱ぐ音…
そして…塁が廊下を進み…こちらへ近づいてくる影がリビングの扉の磨り硝子越しにどんどんと大きくなってくる…。
桜子はさらに強く拳を握りしめ、リビングの真ん中に立ちその影を見つめている…
“カチャッ…”
「…金矢金融の……。」
扉をあけながら挨拶をしようとした塁は途中で言葉を詰まらせ固まった…
当然の事だろう…
金を貸してほしいお客がいるはずの家に、桜子が居るのだから。
「……塁…わざわざ来てくれてありがとう……。」
そう口にした桜子の声と膝は微妙に震えている…
一方、いつもは無表情で感情が読めない塁も微かに困惑していた…
「…何で…お前がおるんや…。金貸してほしい言うてたお客は…?」
「お金貸してほしいお客なんて本当は居てへんねん…。ごめん。」
桜子は持っていたボイスチェンジャーを口元に当ててそう話した。
その姿を見た塁はその一瞬で全てを悟った………
「はぁ……なるほどな…。なんか変やと思ってたんや。お前……またわしを騙したな。」
鋭い眼差しが桜子を射抜く…
が、…塁の拳は軽く握られていた…。 この状況をどう処理したらいいのか… 頭をフル回転させていた。
「ほんまにごめん…でも私が素直に誘ったところで絶対に相手にしてくれへんかったやろ…?」
「で…、わしを騙してこんなとこ連れ込んだんや…なんぞ大層な理由でもあるんやろうな?」
ポケットに手を突っ込み探るような目で桜子を問い詰める
「目的…知りたい?」
「……お前……変な事企んどるんやったら……やめとけよ。」
桜子の空気感が変わったのをすぐに察知し塁は少し身構える。
「変な事?それって…。」
サッ…
獲物を狙うような目で塁に勢いよく近づいた桜子はおもむろに塁の腕を掴んだ。
……ガタっ!
突然、近付いてきた桜子と距離を取ろうとした塁。
後ろにあったダイニングテーブルに足をぶつけ僅かにバランスを崩しそちらに一瞬、気を取られた……
その瞬間
ギギギッ。
一瞬の隙をついて塁の手首に何かが繋がれた。
「……!?お前……なにしてんねん!」
塁の左手首に繋がれた銀色に光るもの…
ギギギッ…
その銀色の輪っかの一方を今度は自分の右手首につけた桜子。
「これが私の目的。」
「わしを繋ぐことがか……お前…ほんまに狂っとんな……。」
2人の手首に繋がれた銀色に光るもの……それは手錠。桜子が持っている鍵を解かなければ絶対に外れない。
鬼と呼ばれている金融屋に手錠をかける女など桜子以外に恐らく居ないだろう…まさに狂気の沙汰だ。
「……もう狂ってるって思われてもいい。ただで済むなんて思ってない……。」
そう言いながら桜子は塁に体を近づけた。
ぐぐ…。
「やめんかい……!お前の仕事やったら…もっと他に条件のええ男はぎょーさん寄って来よるやろ…。わしなんかに執着すな…。」
「……またそんな事言うんや…。三年前も同じようなこと私に言ったよな。”もっとマシな男に抱かれる女になれ”って……。残念やけど…塁以上にええ男に出会ったことない…。」
その言葉を聞いて塁は呆れたようにふっと片方の口端をあげた…
「あほか…それはお前の見る目が無いんや。」
「そうやったとしても別にいい。私は塁じゃないとあかんねん…。」
そう言って自分の体をさらに塁に密着させ体重をかける桜子。
塁はその重みで後ろにあったダイニングテーブルに思わず寄りかかった。
ギギっ…
ダイニングテーブルの軋む音が部屋に響く。
塁の体格があれば桜子の事など片手でも軽々押し返せるはずだ。
でも塁はそうしなかった……。
そのかわりに微かに頬が紅潮してきている。
「どない言われてもわしの答えは三年前と変わらんぞ…。そやから早くこれ外せ。」
「そっか…。これでもあかん?」 そう言って 桜子は体を密着させた…。
唇が重なる……
「…!?」
ヌチュッ…
「―んっ!」
桜子はそのまま自分の舌を塁の唇に這わせ舌を絡めた…
塁もそれを抵抗しながらも…… 少しずつ受け入れていた……
抗えない……男としての本能…
「ん……。」
「…んんっ…!!」
ヌチッ…
舌と舌が絡み合う音、漏れ出る吐息と声がお互いの耳に響く…。絡み合った舌の温度がかすかに上がりお互いの鼓動が高鳴っていくのが密着させた体から伝わるのが分かった。
………。
「ん…!やめろ…っ!」
塁は必死にそれを振りほどくように顔を横にそらした… その顔は恥じらいからか、ほのかに赤みを帯びている。
「……顔赤くなってる…。」
「そ、そんなわけないやろ…!」
「そんなわけあるよ?鏡で見てみる?」
「余計なことすな!」
「でも…私、片方にしか手錠してないよ?ほんまに嫌やったら片手でも…私の事押し返せると思うけど…?」
「な…それは…。」
普段、冷静沈着で何事にも動じない塁が動揺し恥じらいを感じている… 強く抵抗しないということはまんざらでもないのか?
「塁が…悪いんやで…。」
「は?こんなことわしは……んっっ……!」
チュッ…
再び塁にキスを落とし、 今度はそこから首筋に唇と舌を這わせていく…
チュっ…
「ぅ……//」
キスを落とすたびにぴくっと反応するその体。
分かりやすく反応するその姿はこれまで桜子が見てきたどんな男よりも色っぽく…艶めいている…
嫌がっている割には私に成されるがままの塁の体。
二人の間でカチャリと鳴る銀色の手錠…
その手錠が桜子の塁への歪な愛と執着を表しているようだった……
「嫌がってる割にはえらいおとなしいね…。」
桜子は塁を見つめながら意地悪にそう問い詰める。
「それは…!わしがどうあがいてもお前は手錠外さんのやろ?そやから…仕方なく…」
「へぇー?だから仕方なくいう事聞いてくれてるん?こんな体ピクピク反応させて…」
「ちゃう……//!」
そう顔を赤らめながら否定する塁。
“この反応…、ふーん…塁って意外とそういうことに関しては初心なんや…”
それが余計に桜子の独占欲に火をつける…
「ふーん。でもここはそうじゃないって言ってるみたいやけど…。」
ぐいっ…
塁の言葉とは裏腹に体を密着させている桜子の太腿に感じる、硬くてあたたかいものの存在…。
桜子は太腿を擦り付けるように押し当てた。
「うっ!……やめ…///」
今度は分かりやすくビクリと反応した塁の体。
「やっぱり気持ちいいんや?」
桜子はその反応がもっと見たくて、さらに硬く熱くなっている塁のそこに強く太腿を擦り付けた。
「うぅ…、違う…!//」
「塁……ほんまに頑固やね…。」
ヌチュッ…
桜子は再び塁に唇を重ね舌を絡めながら、硬く熱くなったそこを指先でなぞるようになで上げた。
ビクビクッ!
「ぁ……っ…やめっろ…!」
ガシッ!
次の瞬間…塁はそこに触れている桜子の手を勢いよく掴み、ぐいと体を引き離した。
「……わしを弄ぶのもええ加減せえよ!」
塁の怒鳴り声が部屋に響き渡る
塁は少し息を切らしながら桜子の顔を鋭い目つきで睨みつけていた。
「お前………自分が何しとんのか…分かっとるんか…!」
塁は遂に怒りを爆発させた。
コメント
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おお…第10話、ついに来たかこの展開!桜子の狂気じみた執着、めっちゃ刺さるわ。手錠で繋ぐとか、頭おかしいけどその歪な愛に引き込まれる…。塁の動揺してる姿、普段の冷静なギャップがエグいほどに艶めかしくて、こっちまでドキドキした。抗いながらも受け入れちゃう感じ、たまらんかったわ。ラストの怒鳴り声でどうなるんやろ…続きが気になりすぎる🔥
#執着
さぶれ
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あおい
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らむらむ
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