僕は入学して早々、恋をした。
初恋だった。
僕が恋した相手は白里 優。
僕が同性愛者のことは
まだ誰にも言っていない。
もし言ってしまったら、
『仲間はずれにされるかもしれない。』
『バカにされるかもしれない。』
そう思ったからだ。
なのに相談も誰にもしなかった。
『弱い男は男じゃない』と自分で自分に
語りかけてしまっていたからだ。
僕はいわゆる完璧主義者というものだった。
『男は泣いてはダメだ』
『男は強くなきゃいけない』
『こんな問題解けないのは男じゃない』
など今まで自分自身に言ってきた言葉だった。
僕が完璧主義者になった理由は多分、
いつも母に
『貴方は何かも完璧な男の人になりなさい』
そう言われて生きてきたからだと思う。
そんな僕が恋した白里くんは、
とても可愛かった。
クラスの女子からの評判も良いらしい。
いつも女子といて男子らしくない。
僕はそう思った。
だが、それが彼にとっての
落ち着く居場所らしい。
僕は今日、
初めて友達の怜に自分が同性愛者であることを
カミングアウトした。
すると怜は
「いいんじゃない?俺は別になんでもいいと思うよ?恋なんて防げないし」
そう言われた。とても嬉しかった。
そして彼は今まで会った人の中で
1番優しい人だと思う。
彼を色で例えるならクリームのような
優しい色だと思う。
カミングアウトから2日後、僕は今日、
白里くんに告白することを心に決めた。
屋上へ呼び出す手紙を
白里くんのロッカーへ入れ、
放課後屋上で白里くんを待った。
「朝日、、くんだっけ、?なんの用?」
ドアの音と共に白里くんが僕に用を尋ねた。
「白里くん、ずっと好きでした。男だけど付き合ってくれますか、?」
と僕が言うと白里くんは
困ったような顔をした。
その時、白里くんと同じクラスの女子が屋上へ入ってきた。
「え、?もしかして白里、告白されてる感じ?てか相手男かよ」
と笑いながら言った。
「で?優はこいつと付き合うわけ?」
という問いに白里くんは
「んなわけないでしょ」
と笑いながら答えた。
僕の心は炭酸が舌に広がるかのように
痛かった。
次の瞬間僕の視界は歪んだ。
大粒の涙が僕の視界を奪っていったのだ。
「優、早く行こ?花も待ってるし」
「そうだね」
そんな会話は僕を置き去りにし、
僕は屋上に1人になってしまった。
だが、ピコンとスマホが震えた。
『告白上手くいった?』
怜からのメールだった。
僕は手を震わせながらそのメールに応答した。
『無理だった(笑)』
『今どこ?』
『屋上』
『りょ』
こんなメールを交わしてなんの意味があるのだろうか?
そんな考えをしている中、バンッと勢いよく屋上の扉が開いた。
泣いている僕を見て
「だと思った」
と笑ってる怜が居た。
怜の顔を見た瞬間、今までの感情が一気に涙となって溢れてきた。
怜は何も言わずに僕を抱きしめた。
怜の懐はとても温かかった。
「朝日、俺さ朝日のこと好きだよ?朝日と出会ってからずっと。」
「、、ぇ、?」
「しかも、朝日が同性愛者ってことも知ってたし」
「ちょ、ちょっと待って、え、?知ってたの!?」
「うん、何年一緒にいると思ってんの?」
知ってるなら言って欲しかった、、と心の中で声を漏らす。
「で、答えは?」
「え?何、答えって?」
「俺告白したじゃん、朝日に、もしかして聞いてなかった?」
「いや、、聞いてたけど、、」
「どうするの?」
こんな失恋した後に普通告白するか?
怜と付き合う、、、まぁ悪くは無いけど、、
また誰かに何か言われたら、、
いや、でもこんな優しいやつ譲れないし、、
と何人もの自分と葛藤する。
「もし、また誰かに言われたらどうするの?」
「そんときは俺が朝日のこと守るに決まってんじゃん」
「それは流石に迷惑かk」
「迷惑じゃない」
怜は僕の言葉に覆い被さるように答えた。
「じゃあ、、よろしくお願いします、?」
「なんで疑問形なんだよ」
と怜は笑った。
僕は今日のうちに、振られて告られた。
まさに僕の恋はクリームソーダのようだった。
あれから僕は白里くんを見かけたが、
前みたいな恋の感情は無くなっていた。
それどころか全然意識していなかった怜に
恋の感情が芽生えている気がする。
「朝日ー?食わねぇの?俺食うけど?」
「え、あ、ダメ!」
「?じゃあ早く食べてどっか行こーぜ」
「う、ん、、」
やばい。前みたいに接したいのに!
「なぁ朝日、顔赤くね?熱あんの?」
そう言いながら怜は僕に近づく。よく無意識でこういうことできるな!!なのに怜は女子には興味無い。いつもモテモテのくせに!!!
「、、?」
「、、朝日!?」
「朝日、お前、、暑いなら早く言えよ!!」
「すいません、、」
「急に倒れたからビビったわ!!」
「本当にすいません、、、」
顔が熱かったのは恋じゃなくて
熱中症のせいだった。
コメント
1件
書くのめっちゃ上手い!!🫶 こんな恋してみたい!