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#普通
野々さくら
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ありあ
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白縫家のリビング。
温かな照明に包まれた部屋で、焔垂はソファに腰掛け、ようやく呼吸を落ち着かせていた。
信愛は心配そうに焔垂の顔を覗き込む。
「どう?落ち着いた?」
焔垂は小さくうなずく。
「あ、ああ・・・」
だが、その表情はまだ暗いままだった。
「色々とごめん・・・迷惑かけて」
信愛は首を横に振る。
「ううん、八乙女くんが謝ることないよ」
一瞬言葉を詰まらせると、自分を責めるように目を伏せた。
「私が悪いの、自分が目視できないからって
霊は居ないって決めつけちゃったから」
焔垂は静かに首を振る。
「それは違う、元はと言えば
俺が協力してほしいなんて言わなかったら」
その言葉を遮るように茜が肩をすくめた。
「てか今は誰が悪いって話じゃなくない?」
その一言に、部屋の空気が少しだけ和らぐ。
すると、銚子がお茶を運びながら優しく微笑んだ。
「確かに菅生さんの言う通りね。」
「お母さん・・・」
茜はカップを受け取りながら、思い出したように口を開く。
「でも驚いちゃった
信愛でも視えない霊って居るんだね」
信愛も神妙な表情で頷く。
「私もこんな経験初めて・・・」
焔垂は黙ったまま視線を落としていた。
その様子に銚子が穏やかな声をかける。
「八乙女くんだったわね?」
「は、はい・・・」
「どうかした?先さっきからずっと
下を向いてるけど?まだ気分がすぐれない?」
信愛も心配そうに顔を覗き込む。
「どうかしたの?」
焔垂はゆっくりと顔を上げる。
「いや、何と言ったら良いか・・・」
すると茜が冗談めかして笑う。
「まさか霊に取り憑かれて
ラッキーなんて思ってないでしょうね?」
焔垂は慌てて身を乗り出した。
「違う!そんな事思ってねーって!」
そして再び言葉を探すように視線を泳がせる。
「ただ・・・」
信愛が続きを促す。
「ただ?」
焔垂は深く息を吸い込み、慎重に口を開いた。
「なんて言ったら良いか・・・あの霊に取り憑かれた時
変な映像が頭の中に流れて来たんだよ・・・」
「変な映像?」
信愛が首をかしげると、茜が何か思い当たったように目を見開く。
「もしかしてそれってこの前信愛が佳苗の時に
見たっていう魂に刻まれた記憶じゃないの?」
信愛ははっと息を呑む。
「あっ!そうかも!」
焔垂は聞き慣れない言葉に首を傾げた。
「魂に?何それ?」
信愛は焔垂にも分かるように、以前佳苗の一件見た「魂に刻まれた記憶」について丁寧に説明した。
話を聞き終えた焔垂は、小さく頷く。
「もしかしたらそれかも」
信愛は身を乗り出す。
「どんな映像だった?」
焔垂は目を閉じ、脳裏によみがえった光景を思い返す。
「なんか・・・一人の女の子が大勢の女の子に
いじめられてる・・・みたいな映像だった」
「いじめ・・・」
信愛は思わず言葉を失う。
焔垂は苦い表情のまま続けた。
「どう表現するのが適切か分かんないけどさ
なんか・・なんとも辛い映像だった・・・」
「辛い映像・・・」
信愛は焔垂が見たという、魂に刻まれた記憶の内容を想像するように頭を悩ませる。
部屋が静寂に包まれる中、その静寂を破ったのは、銚子だった。
「絵に描いてみたら?」
全員の視線が銚子へ向く。
「そうしたら、もっと
分かりやすいんじゃない?」
その提案に茜がぱっと表情を明るくした。
「あ!そうですね!」
信愛も大きく頷く。
「確かに!」
すぐに銚子へ向き直る。
「お母さん?紙とペンある?」
銚子は微笑みながら軽く手を振った。
「はいはい!待ってて」
そう言うと席を立ち、奥の部屋へ向かう。
ほどなくして、裏地に何も書かれていないチラシと、数本のペンを手に戻ってきた。
「はい、これ使って」
コメント
1件
第37話、読んだよ!霊に取り憑かれたときに見えた「魂に刻まれた記憶」の映像、気になる展開すぎる…。焔垂くんが「辛い映像」って言うあたり、ただの怨霊じゃなくて背景に重いエピソードがありそうで、もう先が気になって仕方ない。そして絵に描くってアイデア、素直に名案だと思った!銚子さん、さすがの機転だわ。次回が待ち遠しい🔥