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北朝鮮×韓国♀のNL小説
今回は北朝鮮視点。
爽やかな昼下がり。
さんさんと輝く太陽に照らされた歴史の街を、北朝鮮は一人で進んでいた。
少し強引な客引きを躱して、高層ビル群の下をひたすらに歩く。
この国はやはり広いな、と再確認する。
「寒……」
ほぅと白い息を吐いた時、目的地が見えてきた。
赤を基調とした古めかしい建物。チャイムを鳴らして玄関前に立つ。
暫くすると、内から扉が開けられた。
「你好、 北朝鮮
(こんにちは)」
「안녕하세요。 中国
(こんにちは)」
情報交換が、始まった。
中国の家は、外観からして趣深かったがきちんと手入れしているようで、意外と綺麗だった。
香辛料の香りと茶葉の匂いが混ざりあって、”無臭” とも言える日本の家の雰囲気とはだいぶ違った。
「そこ座るアル。今お茶入れるネ」
「ありがとうございます」
出されたお茶を飲んで一息つく。中国茶はやはり美味しいな。
「……中国のお茶はいつ飲んでも美味しいですね」
「嬉しいこと言ってくれるアルなぁ。おかわりいるアルか?」
「そうですね。……だがその前に」
すっと北朝鮮の目が細められる。中国もお茶を飲む手を止めた。
「本当に協力してくれるんですか」
「当たり前アル。韓国は東アジアの仲間だからな」
中国は俺達と接する時、割と仲間意識が強い傾向にある。きっとそれはアメ公やロシアのアジア進出に対する焦りからくるものだと俺は思う。
……かくいう俺自身も本当はそこまで中国のことを信用しているわけでは、ない。
この考えも見透かされているとでもいうのだろうか?
そんな事を考えながら、中華菓子を一口頬張る。
「………..」
「ま、そう簡単に信じられねーアルよな。でも我はお前のことを信じてるアル」
そっと顔を上げると、中国は切なげな目でこちらを見ていた。
「日本と台湾と韓国は反抗期勃発してアメ公の所に行くし、モンゴルもロシアも昔と変わらずイマイチよく分かんねー奴ネ。
でもお前は違う。」
“お前は我の唯一だ。”
いつものアル口調が外れる。これは中国の心からの思いだと、北朝鮮は本能的に察した。
……この人も苦労しているのだと。
北朝鮮の中にある、モヤのような疑念の思いが晴れていくような、そんな感覚が心を吹き抜けていく。
それは不思議な温かみを持っていて。
「協力するアル。だからここの “契約書” にサインを」
差し出されたA4用紙に書かれていたのは、3つの契約事項。
中華人民共和国は、大韓民国の捜索に協力する。
朝鮮民主主義人民共和国は、中華人民共和国の指示を仰ぎつつ、大韓民国を捜索する。
朝鮮民主主義人民共和国は、捜査協力者の情報と調査結果を週一で中華人民共和国に提出すること。
……中々悪くない条件だ。3の捜査協力者の情報を提出するというのには引っ掛かるが、仲間になってくれるならまぁ別に問題は無いだろう。
北朝鮮は、迷いひとつなく書類にサインした。
「……書き終わりました」
「どれどれ。………..うん、大丈夫アルな」
それから中国は、この契約書は此方で預かっておくと言って鞄にしまった。
本当はコピー用紙でも良かったから契約書が欲しかったが、中国なら大丈夫だろうと “謎の安心感” を覚えて忘れることにした。
帰ったらにゃぽんにも報告しないとな。
「……日も暮れてきたので、そろそろ帰ります」
「そうアルか。気ぃつけろヨ〜」
「はい、失礼します」
そうして俺は、中国の家を後にした。
「…………….」
中国の意味深な表情にも気が付かずに。
???side:
コツ、コツ….と、暗闇の中で足音が聞こえる。
男が持っているのはランプ一つ。そして古びたドアの前で立ち止まった。
ギィィ、とドアを開けるとそこにいたのは一人の少女。
「よう、調子はどうだ?」
“大韓民国サマ?”
to be continued……
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各国の匂いについての豆知識: ある時、ワールドツアーの為に東アジアを訪れたテ○ラー・スウィフトは、日本に降り立った時に「Japanは匂いがしない!!」とSNSで呟いたことがあった。無臭の理由としては、日本人が綺麗好きで掃除を欠かさない為、自然と他の国よりも匂いがしない傾向にあるという(諸説あり)