テラーノベル
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──SSクラスDom、ジョングク。彼に対し発令されたのは「強制拘束命令」。
それは国家および国際機関における、最上位クラスDomに対する「生存制限措置」。
つがいとの分離、バース抑制剤の投与、身体拘束──
そして、将来的な“研究用管理対象”としての隔離。
「……ふざけんな」
ジンが壁を叩いた。
「人をモノ扱いして、何が“安全のため”だ。
誰がこんな命令に従うと思ってんだよ」
ホソクも珍しく静かに怒りを滲ませる。
「しかも、“つがいとの同意なし”で発令? 聞いたことないですよ」
ナムジュンが資料を見ながら呟いた。
「これは……明らかに狙い撃ちですよこれ。
“つがいそのものを壊そうとしてる”」
テヒョンの声が低く響く。
「……つまり、“次”はミンジュだってことだ」
⸻
数日後。ミンジュはひとり、機関から届いた“拘束命令書”の写しを見つめていた。
《SS-Class Dom / 対象:Jeon Jungkook
拘束理由:バース反応不安定による暴走リスク。
つがいの影響下における理性喪失の可能性》
「──冗談じゃない」
思わず声が出た。
彼は、誰よりも冷静で、誰よりも繊細だった。
ミンジュが震えた日も、彼は決して手を出さず、ただ温かく包んでくれた。
「それを……“暴走リスク”って言うの?」
彼女は立ち上がる。
「私、行く。あの機関に、自分の意思で会いに行く」
「ミンジュ……!」
ジミンが止めようとする。
だがミンジュの目は、まっすぐだった。
「私は、もう“守られるだけ”じゃない。
“つがい”として──私の言葉で、彼を守る」
⸻
その日、彼女はProject Reinの施設へ足を踏み入れた。
「おひさしぶりですね、キム・ミンジュさん」
ハンリョルが現れた。
「彼の拘束は、あなたの安全のためでもある。
SSクラスの本能が暴れた時、SクラスのSubでは制御ができない」
「私は……制御するために、つがいになったんじゃありません」
彼女は静かに、でもはっきりと告げた。
「グガは“檻”に閉じ込められるために生まれてきたんじゃない。
彼は“守るために”生きてる。私を、仲間を、自分の本能さえも」
「あなたは……」
ハンリョルが言葉を失う。
そのとき、施設の非常ベルが鳴り響いた。
──爆発音。
──非常灯。
──暗転。
そして──
「……ヌナ、迎えに来たよ」
背後の影から現れたのは、
血の匂いを纏いながらも、穏やかな目をしたジョングクだった。
「誰が俺を檻に閉じ込めるって?」
⸻
施設はBTSメンバーと反Project Reinの内部協力者によって、完全に攪乱されていた。
ナムジュンとユンギがセキュリティを落とし、
テヒョンとジンが車を回し、ホソクが監視ルームを制圧する。
ジミンは最後までミンジュの背後を守りながら、言った。
「──ミンジュ。もう、こっちの後ろを見なくていいよ。
……“君の未来”は、グガと一緒に、前だけを見て」
ミンジュは泣きそうな顔で笑った。
「ありがとう、ジミナ」
⸻
ジョングクの手が、ミンジュの手を握った。
共鳴音が走る。
心と心の奥、DNAレベルで共鳴する感覚。
「ヌナが俺のものになってくれて、……本当によかった」
「私も。あなたが、私を“つがい”にしてくれて、……生きていてよかった」
その瞬間、施設全体がシャットダウン。
つがいの波動が空間を“焼いた”。
──支配ではない。
──融合でもない。
それは、“真の共鳴”。
“SSクラスDom × SクラスSub”が完全につがい化した瞬間──
すべてのセンサーがゼロ反応を記録した。
「つがいは、抑えられない」
それが、この世界に残された最強の証明だった。
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