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奈緒の「答えてよ!」の叫びに胸がぎゅっとなったよ…!!😭💔 女の人の「知らない方が身のため」って優しさじゃなくて完全に逃げ道断つための言葉なんだね、怖すぎる…奈緒が気づいちゃった「最初から切るつもりだった」って部分がもうね、読んでて胃が痛くなった🥺 でも最後の神崎先生の「後悔しない方を選ぼう」って台詞にめっちゃグッときた!悠真くんだけじゃなくて一花さんにもこんなに誠実に向き合ってくれるの尊すぎる…追跡パートも続きが気になりすぎるよ〜!!次話も楽しみにしてるね🌸💕
「だったら教えてください」
奈緒が食い下がった。
「誰がこんなことをさせたんですか?」
「まだ聞くの?」
「だって、私はもう巻き込まれてる!」
奈緒の声が震える。
「知らないままなんて……無理です……」
女はしばらく奈緒を見つめていた。
やがて、小さく息を吐く。
「あなたは頼まれたことをした。それだけよ」
「それだけって……」
「一花さんがどうなればいいと思っていたかは、あなた自身が一番分かっているでしょう?」
奈緒が息を呑む。
「私は……」
「彼女が少しくらい不幸になればいいと思った。旦那さんとうまくいかなくなればいいとも思った」
「それは……そうだけど」
「あなたはお金を受け取って、自分の意思であの男と会った」
女は淡々と言葉を並べていく。
「私が無理やり連れていった?」
「違う……」
「脅した?」
「それも、違うけど……」
「だったら、全部あなた自身が選んだことよ」
奈緒が何も言えなくなる。
一花は唇を噛んだ。
奈緒がしたことを許すつもりはない。それでも、目の前の女がどうやって奈緒を動かしたのかは、少しずつ分かってきた。
弱いところを見つけ、そこへ言葉を差し込む。
そして最後には、「あなたが自分で選んだ」と切り捨てるのだ。
「でも、あなたに頼まれたから……」
奈緒が掠れた声を絞り出す。
「あなたが、あの人と会ってほしいって言ったんじゃない」
「それを警察に話せば?」
女は少しも慌てなかった。
むしろ、その言葉を待っていたかのようにさえ見える。
「あなた、私の名前も知らないでしょう?」
奈緒の瞳が揺れた。
「最初に連絡したアカウントだって、誰のものか証明できる?」
「でも、まだ残ってる」
「だから?」
女は小さく首を傾げる。
その仕草には、焦りも苛立ちもなかった。
「警察に何を話すの? どこの誰かも分からない相手に頼まれましたって?」
奈緒の顔から、じわじわと血の気が引いていく。
「今までのやり取りだって、ほとんど残ってないでしょう?」
「それは……最初から、消えるようになってたから」
「そうね」
女はあっさりと認めた。
「残しておく必要なんてないでしょう?」
733
きなこもち
183
#サレ妻
都築七美
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その瞬間、奈緒の表情が固まった。
これまで深く考えずに受け入れていたひとつひとつが、すべて自分だけを切り離すためのものだったのだと、ようやく気づいたようだった。
「……最初から?」
女は答えない。
「最初から、何かあったら私を切るつもりだったの?」
奈緒の声が震える。
「私を使って、全部私が勝手にやったことにするつもりだった?」
「奈緒さん」
「そうなんでしょ?」
奈緒の手のひらが、テーブルを強く叩いた。
鈍い音が響き、グラスの中の水が大きく揺れる。
「答えてよ!」
それでも女は顔色ひとつ変えなかった。
揺れる水面を一度見ただけで、ゆっくりとグラスへ手を伸ばす。
一口だけ水を飲み、音も立てずに元の場所へ戻す。
その落ち着きが、何より答えのように見えた。
「私は、一花のことが嫌いだった」
奈緒が言う。
「嫉妬してたし、不幸になればいいって思った。でも……それを知ってたから、私に近づいたんでしょ?」
女の視線が、ゆっくりと奈緒へ戻る。
「私が俊介を好きなのも……」
「それは、あなたが分かりやすかっただけよ」
奈緒の呼吸が止まる。
「彼女の話をしている時と、旦那さんの話をしている時。あなた、全然顔が違ったもの」
女の口元に、かすかな笑みが浮かぶ。
「だから、少し背中を押しただけ」
「……背中を、押した?」
「あなたは最初から、きっかけを待っていたように見えたわ」
奈緒の顔が歪んだ。
一花の胸の奥にも、冷たいものがじわりと広がっていく。
この女は奈緒の中にある嫉妬や未練を見抜き、それを利用した。
奈緒自身に選ばせる形を取りながら、望む方向へ少しずつ誘導していたのだ。
「最低……」
奈緒が呟く。
「あなた、最低だよ」
「そう?」
女はまるで他人事のように返した。
奈緒が勢いよく椅子を引く。
一花も反射的に立ち上がりかけたが、その腕を蓮がすぐに掴んだ。
「待ってください」
「でも――」
「今出れば、相手を警戒させます」
蓮は女から目を逸らさない。
「もう少し聞きましょう」
一花は唇を噛んだ。
今すぐあの女の前へ出て、誰に頼まれたのか、自分がなぜ狙われたのか、すべて問いただしたかった。
けれど、ここで感情のまま動けば、この女のさらに向こうにいる人間へ辿り着けなくなる。
一花は震える息を吐き、もう一度席へ身体を沈めた。
奈緒も結局、立ち上がることはできなかった。
椅子へ座り直し、女を睨みつける。
「……誰に頼まれたんですか」
「まだ聞くの?」
「教えて」
「だから、知らない方がいいって言ってるでしょう」
「私はもう、十分巻き込まれてる!」
奈緒が声を押し殺して叫ぶ。
「今さら知らないままなんて無理です」
女は奈緒をしばらく見つめた。
それ以上話す価値はないと判断したように、ゆっくりと立ち上がる。
「だったら、好きにすればいい」
「待って」
「警察に行くのも自由よ」
女はバッグを手に取った。
「ただし――」
奈緒を見下ろし、静かに言う。
「その時は、自分が何を望んでいたのかも忘れずに話すことね」
奈緒が言葉を失う。
女はそれ以上何も言わず、席を離れた。
一花がその背中を目で追う中、蓮が耳元のイヤホンへ軽く触れる。
「明、頼む」
『了解』
短い返事が返ってきた。
店の近くでは、榊が車の中で待機していた。
女が店を出てくるのを確認すると、運転席で静かに姿勢を起こす。
女は一度周囲を見回し、そのまま駐車場へ向かった。
一台の車の前で足を止めると、迷いなく運転席へ乗り込む。
『確認した』
イヤホン越しに、榊の声が響く。
少しして、女の車が駐車場を出ていく。
十分に距離が開いたところで、榊の車もゆっくりと動き始めた。
『じゃ、追跡開始といきますか』
その言葉を最後に、榊との通話が途切れた。
奈緒を先に帰し、一花も神崎とともに店を出た。
外へ出た途端、張り詰めていたものがほどけ、一花は長く息を吐く。
「お疲れさまでした」
神崎が静かに声をかける。
「このあとは榊に任せましょう。何か分かれば、また連絡が来ると思います」
「はい……」
一花は頷いたものの、その場を離れようとはしなかった。
「先生」
「はい」
「……本当に、ありがとうございます」
神崎が一花を見る。
「水野のことも、奈緒のことも。ずっと助けてもらってばかりで……」
奈緒が屋上から身を投げようとしていた時のことが蘇る。
あの時、神崎が駆けつけてくれなければ。
「特に奈緒の時は、先生がいなかったら……本当に死んでいたかもしれません」
「……間に合ってよかったです」
神崎は、いつもと変わらない落ち着いた声でそう言った。
一花はその横顔を見つめ、少し迷ってから、以前から胸に引っかかっていたことを口にする。
「……どうして、ここまで協力してくれるんですか?」
神崎はすぐには答えなかった。
「悠真のことだけでもお世話になってるのに、私のことまで……」
わずかな沈黙が落ちる。
神崎は少しだけ目を伏せた。
「……決めていたことがあるんです」
「決めていたこと?」
風が、二人の間を静かに抜けていく。
「あの時は、何もできなかった」
一花は神崎を見つめる。
「だから次は――」
神崎はゆっくりと顔を上げた。
「今度は、後悔しない方を選ぼうと」
その言葉に、胸を打たれた。
何があったのかは分からない。それでも、神崎が軽い気持ちで口にした言葉ではないことだけは伝わってきた。
「あの時って……?」
神崎はすぐには答えなかった。
わずかに伏せた目元に影が落ち、その表情を読み取ることはできない。
「……すみません。今は、まだ」
そこには、これ以上は踏み込めないという明確な線引きがあった。
それが分かったからこそ、一花は何も聞けず、ただ小さく頷いた。
その頃、榊の車はまだ、女の乗った車を追っていた。
女の車は帰宅する様子もなく、街中を走り続けている。
何度か道を曲がり、やがて人通りの少ない通りへ入っていった。
榊は一定の距離を保ちながら、その後を追う。
「……さて」
ハンドルを握り直し、前を行く車を見据える。
「まずは、どこの誰なのか――そこからだな」
名前も、素性も、まだ何も分からない。
それでも、ようやく追うべき背中が見えた。
今度は——一花たちがその正体を追う番だった。